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次期Windows Serverのココに注目:Hyper-Vホストクラスタの新機能

@IT 7月8日(金)6時10分配信

●Windows Server 2016のフェイルオーバークラスタリング機能

 Windows Serverのフェイルオーバークラスタリング機能は、「記憶域サービス」「Hyper-V(Hyper-Vホストクラスタ)」「ファイルサーバ(スケールアウトファイルサーバ)」「アプリケーション(SQL Serverなど)」に対して、高可用性を付加する重要なサービスです。

【その他の画像】「動的最適化」機能を利用した負荷の平準化

 Windows Server 2016のフェイルオーバークラスタリング機能には、以下に示す通り、さまざまな新機能が追加されます。

・ローリングアップグレード:本連載 第8回参照
・クラウド監視:本連載 第31回
・記憶域スペースダイレクト:本連載 第19回、第20回参照
・記憶域レプリカ:本連載 第21回、第22回参照
・ストレージQoSポリシー:スケールアウトファイルサーバのストレージQoS(Quality of Service)をポリシーで集中管理する機能
・サイトの識別(Site-aware):複数拠点(サイト)にまたがるストレッチクラスタにおいて、ノードの物理的なサイトを識別する機能。フェイルオーバーの動作や役割の配置、クォーラム監視の動作などでサイトを判断材料にさせることができる
・ワークグループおよびマルチドメインクラスタのサポート:本連載 第32回参照
・Nano Serverのサポート:本連載 第40回参照
・仮想マシンの回復性:本連載 第30回参照
・SMBマルチチャネルと複数NICのクラスタネットワークのサポート:1つのサブネットに1つのネットワークアダプター(NIC)までという従来の制限が廃止され、SMB(Server Message Block)マルチチャネルの利用やクラスタネットワークの多重化が可能になる。Windows Server 2016 Technical Preview 5(TP5)からの新機能
・仮想マシンのノードフェアネス:メモリやCPU使用率に基づく仮想マシンの自動的な負荷分散機能。Windows Server 2016 TP5からの新機能
・仮想マシンの開始順序:依存関係にある仮想マシンや仮想マシングループの開始順序を、事前の設定に基づいて制御する機能。Windows Server 2016 TP5からの新機能

 本連載ではこれまで、上記の機能をフェイルオーバークラスタリングの機能として、あるいは他の役割や機能との関連で説明してきました。今回は、Windows Server 2016 TP5で初めて追加された機能「仮想マシンのノードフェアネス(Virtual Machine Node Fairness)」をピックアップして解説します。

●「仮想マシンのノードフェアネス」は既定で有効

 仮想マシンのノードフェアネスは、Windows Server 2016 TP5から利用可能になった、Hyper-Vホストクラスタにおける負荷の平準化機能です。

 Windows Server 2012以降のHyper-Vクラスタでは「クラスタ対応更新(Cluster-aware Updating)」という機能がサポートされ、仮想マシンを「ライブマイグレーション(Live Migration)」でオンラインのノードに退避しながら、クラスタ内のノードを順番にWindows UpdateやWindows Server Update Services(WSUS)で更新し、クラスタ全体の更新を自動化することが可能です。

 しかし、クラスタ対応更新では仮想マシンの負荷バランスは考慮されず、更新が完了しても、仮想マシンが元の場所に自動的に配置されることはないため、管理者がバランスを考慮した配置を手動で行う必要があります。また、仮想化基盤の規模を拡張するためにノードを追加した場合も、新しいノードに手動で仮想マシンを再配置する必要がありました。

 これまで、仮想マシンをノードの負荷に応じて自動的に再配置する機能は、「System Center Virtual Machine Manager」が提供してきました。System Center Virtual Machine Managerの「動的最適化」機能を利用すると、ノードの負荷を監視して、仮想マシンが使用するCPU、メモリ、ディスクI/O、ネットワークI/Oのリソース量に応じて負荷を平準化するように、ライブマイグレーションで仮想マシンを再配置することができます。

 Windows Server 2016 TP5で追加された仮想マシンのノードフェアネスは、System Center Virtual Machine Managerの動的最適化機能の一部を、Hyper-Vホストクラスタの標準機能として実装したものと考えるとよいでしょう。

 仮想マシンのノードフェアネスは、仮想マシンに割り当てられた現在のメモリ量と5分間平均のCPU使用率に基づいて、「低(Low、既定)」「中(Medium)」「高(High)」の強度(即応度)のいずれかに従って仮想マシンをライブマイグレーションで再配置し、負荷を平準化しようとします。

 また、Hyper-Vホストクラスタに新しいノードが追加されたり、停止していたノードが復帰したりした際に、仮想マシンをライブマイグレーションで再配置して、新しいノードを含めて負荷を平準化します。

 この機能は既定で「有効」になっており、クラスタのプロパティの「Balancer」タブで構成できます。「Enable Automatic Balancing of Virtual Machines(既定でオン)」が、仮想マシンのノードフェアネスの有効化/無効化の設定です。「Load balance to a node when it joins」は、ノード追加時のみに負荷を平準化します。「Always load balance(既定)」は、ノード追加時および30分ごとに負荷を平準化します。

 仮想マシンのノードフェアネスの設定は、クラスタの「AutoBalancerMode」プロパティの値をWindows PowerShellで変更して構成することも可能です。

 また、仮想マシンのノードフェアネスの強度(即応性)も、Windows PowerShellでクラスタの「AutoBalancerLevel」プロパティの値を変更することで構成できます。

1:低(ホストのリソース使用量が80%を超えると負荷を平準化、既定)

2:中(ホストのリソース使用量が70%を超えると負荷を平準化)

3:高(ホストのリソース使用量が60%を超えると負荷を平準化、ライブマイグレーションの回数増)

 なお、クラスタがSystem Center Virtual Machine Managerの動的最適化の対象になっている場合は、仮想マシンのノードフェアネスの有効化/無効化の状態に関係なく、System Center Virtual Machine Managerの動的最適化の機能で負荷が平準化されます。

●Hyper-Vホストクラスタにノードを追加すると……

 それでは、現在1ノードだけで稼働中の2ノード構成のHyper-Vホストクラスタで、停止していたノードを起動すると、どのような動きになるのか見てみましょう。

 このHyper-Vホストクラスタでは、高可用性が構成された2台の仮想マシンが実行中です(スケールアウトファイルサーバの役割も有効になっていますが、今回は無視してください)。最初の状態はノードが1つしかオンラインになっていないため、そのノードで2台の仮想マシンが実行されています。

 この状態から停止していたノードを起動し、Hyper-Vホストクラスタに復帰(参加)させると、仮想マシンの1台が復帰したノードにライブマイグレーションで移行を開始し、その後、実行中になります。

 なお、ライブマイグレーション中は、仮想マシンのゲストOSが再起動したり、仮想マシンのゲストOSで実行中のネットワークサービスへのアクセスがアプリケーションレベルで切断されたりすることはありません。

●筆者紹介 山市良:岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。

最終更新:7月8日(金)6時10分

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