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岡山県のエンジニアの給料は、全国平均より高い? 低い?

@IT 7月8日(金)6時10分配信

 ここ数年、政府主導で地方創生が促進され、実際に都市部から地方に移住した人の数は5年で4倍に増え、2014年度には1万1735人と1万人を超えた。しかし、まだまだ地方移住に不安を抱える読者も多いだろう。@ITはその理由の1つに「情報の少なさ」があると考えた。

【その他の画像】東京都のエンジニア給与金額の平均

 「@IT式 U&Iターンスタイル」は、全国各地のUIターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えていく。ご当地ライターたちのリアルな情報は、U&Iターンに興味のある方々の役に立つだろう。

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 2012年に岡山にUターンした中嶋政和です。

 U&Iターンの理想と現実:岡山編、前々回は岡山の地理的優位点などの全体像を、前回は岡山の交通や住宅、生活事情をレポートしました。しかし、地方への移住を考えているエンジニアが最も気になるのは、仕事はあるのか、エンジニアとして充実した日々を送れるのか、ではないでしょうか。

 「岡山にはIT企業はあるの?」「面白い仕事はできるの?」「ぶっちゃけ、給与は高いの? 全国と比較してどうなの?」「エンジニアやデザイナーのコミュニティーはあるの?」――岡山編の最終回は、ITエンジニアとWebデザイナーの仕事環境をお伝えします。

●岡山のIT企業

 岡山には、大手ベンダー、地元の中堅どころ、ベンチャー企業、個人経営企業など、規模もジャンルもさまざまなIT企業があります。

 全てを紹介するのは難しいので、本記事では、筆者の視点で選んだ「面白そうな事業に取り組んで、頑張っている」ベンチャー企業にスポットを当てて紹介します。

ジョルテ

 ジョルテは、カレンダーサービスアプリを開発、販売する会社です。

 看板製品の「ジョルテ」は、世界で2800万以上、国内だけでも1100万以上もダウンロードされた、スマートフォン用カレンダーアプリです。

 2012年に本社が東京に移りましたが、岡山には開発センターがあります。

○クレオフーガ

 クレオフーガは、音楽共有サービス「クレオフーガ」や、BGM・効果音のマーケットプレイスサービス「オーディオストック」を開発、運営する会社です。

 西尾社長は岡山大学の学生起業家、東京と岡山にオフィスがあります。

○ミーニュー

 ミーニューは、好みや栄養を考えた1週間分の献立と買い物リストを自動作成する料理サポートアプリ「ミーニュー」や、ママ向けメディア「ミーニャママ」を企画、開発、運営する会社です。

 岡山大インキュベーター内に本社があります。

○シームスブレインズ

 シームスブレインズは、「事務処理支援」「生徒指導支援」「日常業務支援」などの教職員向け製品「Siems(シームス)」を企画、開発、運営している会社です。全国の地域情報ポータルサイト「まいぷれ」の岡山版も運営しています。

 岡山でITベンチャーが育っているということは、岡山はIT産業が盛んで、優秀なITエンジニアを輩出している可能性が高いのではないでしょうか。

●公的資料から読み解く岡山の給与

岡山県と全国の給与比較

 岡山県には、面白そうな事業展開をしているIT企業が複数あることが分かりました。そうなると、次に知りたいのは「給与」でしょう。

 以下の表は、「5人以上の常用労働者を雇用する県内事業所の中から、産業・規模ごとに無作為に抽出された710事業所」を調査し、岡山県の5人以上の全事業所について推計したものです。同じ方法で推計した全国平均と比べてみましょう

地域 / 年 / 現金給与総額 / 定期給与額 / 特別給与額
岡山県 / 平成24年 / 30万2256 / 25万1313 / 5万0943
平成25年 / 30万5105 / 25万4020 / 5万1085
平成26年 / 30万3418 / 25万1079 / 5万2339
全国 / 平成24年 / 31万4127 / 26万1585 / 5万2542
平成25年 / 31万4054 / 26万0353 / 5万3701
平成26年 / 31万6567 / 26万1029 / 5万5538
※岡山県、および全国の賃金の動き(単位:円) ※「定期給与額」=あらかじめ定められている支給条件、算定方法によって支給される給与。所定外労働給与を含む。「特別給与額」=ボーナスなど、特別に支払われた給与額。「現金給与総額」=定期給与額と特別給与額の合計 出典:岡山県毎月勤労統計調査年報公表資料

 平成26年の岡山県の現金給与の総額は「30万3418円」。全国平均「31万6567円」より「1万3149円」低い結果となりました

○産業別給与比較(ITエンジニア)

 全産業では、全国平均よりも低い岡山の給与水準ですが、「ITエンジニア」だけに絞ってみると、どうでしょうか。業種別の給与平均額を見てみましょう。

・岡山県毎月勤労統計調査年報公表資料 情報通信業の現金給与総額:46万5126円/定期給与予額:36万2135円/特別給与額:10万2291円

 次に全国平均を見てみましょう。

・毎月勤労統計調査平成27年度分結果確報 情報通信業の現金給与総額:48万4026円/定期給与予額:37万9833円/特別給与額:10万4193円

 東京都も見てみましょう。

・毎月勤労統計調査 東京都 平成27年度分結果確報 情報通信業の現金給与総額:50万888円/定期給与予額:39万9012円/特別給与額:10万1876円


 ITエンジニアが該当する「情報通信業」の平成27年の岡山県平均は「46万5126円」。全国平均は「48万4026円」、東京平均は「50万888円」でした。東京と比べると3万円以上の差があります。

 とはいえ、岡山編第2回「吉祥寺と岡山の家賃の差」で分かるように、支出は東京より抑えられるという面もあります。収入の金額差をどう判断するかは人によって異なりますが、決定的な差でないことは確かなようです。

●コミュニティー、研究会、起業家支援施設

○ITエンジニア・Webデザイナーのコミュニティー

 岡山では、さまざまな異業種交流会が開かれています。ITエンジニア・Webデザイナー関連では、下記のコミュニティーが活発に活動しています。

活発に活動している岡山のIT、Web系コミュニティー
・岡山Webクリエイターズ
・岡山IT飲み会
・Okayama.rb(岡山Rubyコミュニティ)
・JAWS-UG 岡山支部

 コミュニティーではありませんが、岡山のIT企業が集まった一般社団法人「システムエンジニアリング岡山(SEO)」は、優れたIT経営を実現し、他の企業などがIT経営に取り組む際に参考となる企業などを表彰する「おかやまIT経営力大賞」を行っています。

○岡山大学ベンチャー研究会(OUVL)

 岡山大学には、起業を目指す学生や起業家が相互に研さんし合う「岡山大学ベンチャー研究会(OUVL)」があり、1ページ目で紹介したジョルテや、宮崎あおいさんのCMで有名なearth music&ecologyブランドの「ストライプインターナショナル」の社長など、岡山の実業家が講演されました。

○インキュベーター施設

 さらに、岡山には起業家を支援するインキュベーター施設がたくさんあります。私もUターンして起業した当初は、いろいろな相談に乗ってもらい、とても頼りにしていました。

 ITエンジニアの中には、UIJターンして起業する人もいることでしょう。そんなときに“使える”インキュベーション施設を紹介します。

岡山のインキュベーター施設
・ビジネス・インキュベーター岡山(BIO)
・岡山リサーチパークインキュベーションセンター(ORIC)
・岡山大インキュベータ
・岡山ニテラス
・岡山クリエイティブセンター

倉敷のインキュベーター施設
・倉敷ベンチャーオフィス(KVO)

●まとめ~安心安全で自然災害が少ない岡山は、開発作業中断の可能性が低い

 岡山の「ワークスタイル」「ライフスタイル」「エンジニアスタイル」を、Uターン経験者の視線で紹介しました。

 私は、岡山はIT開発に向いている環境だと考えます。理由は、自然災害が少なく、天候がよい場所であり、また、記事では割愛しましたが台風の上陸が少なかったり、原発から遠かったりなどもあり、「開発作業中断の可能性が低い」からです。

 自然に恵まれ、大手ベンダーや中堅どころのIT企業もあり、求人もあり、交通の便も良く、ITに関するコミュニティーもあり、果物を筆頭に食べ物がおいしい「はれの国おかやま」、UIJターンを考えられている方はぜひご検討ください。私の記事が皆さんの参考になれば、幸いです。

 U&Iターンの理想と現実、次回は「新潟編」をお届けします。


筆者プロフィール:中嶋政和 クリエ・ココ 代表取締役 2012年4月、Uターンにより岡山市に戻り起業。ITベンチャーで起業するなら「安心安全で自然災害が少なく開発作業中断の可能性が低い場所で」と考えた場所が岡山市でした。ITサービスの価値を高め、豊かな社会の実現に貢献してまいります。

最終更新:7月8日(金)6時10分

@IT

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

暗闇で光るサメと驚くほど美しい海洋生物たち
波のほんの数メートル下で、海洋生物学者であり、ナショナルジオグラフィックのエクスプローラーかつ写真家のデビッド・グルーバーは、素晴らしいものを発見しました。海の薄暗い青い光の中で様々な色の蛍光を発する驚くべき新しい海洋生物たちです。彼と一緒に生体蛍光のサメ、タツノオトシゴ、ウミガメ、その他の海洋生物を探し求める旅に出て、この光る生物たちがどのように私たちの脳への新たな理解を明らかにしたのかを探りましょう。[new]