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え、LINE世代は“文字化け”を知らない?

ITmedia エンタープライズ 7月8日(金)11時2分配信

 私が担当する新入社員研修の2回目がやってきた。本来であれば、Excelを教える予定だったのだけど、昨日のミーティングを受けて、急きょメールの書き方やマナーに変更することになった。

【To、Cc、Bccの正式な使い方、知っていますか?】

 Excelといえば……以前、会社の中でWordやExcelを使った書類の作成技術が問題になったことがある。一部の“詳しい人たち”が作った書類は、素晴らしいテクニックを利用して作っていても、それを使う他の社員が仕組みを理解していないと、「なぜそうなる?」と首をかしげることになる。もちろん、修正をしたくてもできない。

 例えば、Excelでは文字を入力できないセルを指定し、入力しようとするとエラーメッセージが出るよう設定できるが、その機能自体を知らない人やどう設定していいか分からない人には、極めてナゾな機能だろう。そういえば、「Wordを使ってたら、文字が“ぴょん”って飛ぶのよ!」とヘルプコールを入れてきた人もいたなぁ。

 そこでヘルプデスク部隊では、社内文書を作成する際のテクニックやノウハウをまとめた自慢すべきデータベース(?)が……ああ、それをFAQっていうのか。新入社員には、せめてここの利用方法だけでも教えておかないと。本人たちも困るし、ヘルプデスクへのコールも減らないからね。

わたし: ヘルプコールをする前に、自ら情報を取りに行く新入社員。んー理想的。ステキな響きだわ。研修で私が頑張っただけ、きっとコールの数が減るはずよ。

 待て私! 今、考えるべきはそれじゃない。次回の研修だ。あああ、いつの間にか現実逃避モード……。考えるのは研修の内容だけじゃない。何をどう教えれば、新入社員たちが覚えてくれるか。先日の反省も踏まえてちゃんとしたいんだけど、プロじゃない「なんちゃって講師1年生」にはどうしていいか分からないのよねぇ。ああ、考えれば考えるほど、分からなくなっていく。

 ええい、もう考えるのはやめた! なるようになるさ。大事なのは、彼らにしっかり理解してもらうこと、覚えてもらうこと、そして何より、使えるようになってもらうこと。そのことだけを考えて(祈って?)やることにしよう。

●To、Cc、Bcc。完璧に使い分けられる?

 いよいよ電子メールの研修が始まったが、新入社員たちは電子メールというツール自体には抵抗感がない様子だ。電子メールとメッセンジャーは違うこと、メールの文章にも書式があって、本題の前に「あいさつ」や「名乗り」をしなければならないことなど、いわゆる“電子メールマナー”があるということは知っている。

 彼らは単に「それをどう書けばいいか分からない」という状態なのだ。だから、基本的な書式やマナーを教えると、それ自体には納得してくれる。今どきのヒトたちのすごいところは、「やってね」とお願いしたことはちゃんとやってくれる点だ。とても素直で前向き。「えー、何でそんな面倒なことしなくちゃいけないんっすかー」とか「それ覚えなきゃいけないっすかー」とかの反発(?)を警戒していた私にはちょっと肩すかしかも。

 電子メールとメッセンジャーとの違いはいろいろあるけれど、大きな違いの1つに「メッセンジャーにはCcやBccがないこと」がある。メッセンジャーソフトは、同じメッセージを複数のユーザーに同報送信する場合も、基本は全て「To」に相当する。

 話を聞くと、このCcやBccの正式な使い方を知らない人が多くて驚いた。なんと同報メールについても、何も考えずに宛先アドレスを全てToやCcに入れていたらしいのだ。中には「1人にメールを送る時はToを使い、2人以上の人に同時に同じ内容のメールを送るときは、2人目以降はCcを使う」と信じて疑わなかった人もいた。それ、一体誰から教わったのよ。

わたし: あー。それって場合によっては情報漏えいになるんだよ。

新入社員: え、そうなんですか!?

 情報漏えいという言葉には多少なりとも敏感なようだけれど、電子メールアドレスも個人情報になりえること、Ccに入れた宛先はそのメールの受け取り手全員に知られてしまうこと、などは知らなかったらしい。

 「個人情報保護に関する詳しいことは情報セキュリティで説明するけれど」と前置きしたうえで、電子メール絡みの情報漏えい対策に関しても簡単に解説する。新入社員たちは真剣に耳を傾けてくれた。さすがデジタルネイティブ。このあたりは真剣に考えてくれている様子だった。もちろん、“彼らなり”なのだけどね。

 と、突然、質問の手が上がった。

新入社員: すいません。ここに書いてある“機種依存文字”って何ですか?

●機種依存文字って何ですか?

 おっと、機種依存文字を知らないのか……。ん? もしかして半角カタカナ、全角カタカナも区別がついていない? うーん、どうしよう。

 ちなみにメール本文で使用している文字コードの情報は、メールのヘッダに記録されている。例えばヘッダに「Content-Type: text/plain; charset="iso-2022-jp"」などと入っていれば、メール本文がJISコードで書かれていることになる。「Content-Type: text/plain; charset="UTF-8"」であればUnicodeだ。

 使われている文字コードで規定されていない文字がメール本文にある場合は、メールの受け取り手がその文字を読めない可能性がある。最近はUTF-8が普及したから、かつて機種依存文字といわれていた文字の一部が解消されているけれど、油断はできない。

 さて。機種依存文字の説明をするなら、この文字コードの話からしないといけないのか? もしかして2進法から? いやいや、さすがにそれは本筋から外れすぎでしょ。

わたし: えーと。PCで文字を扱うときは、それぞれの文字に背番号が付いていてね……。

 せ、背番号? 自分の口から出てきたとはいえ、とんでもないたとえ話になったもんだ。背中に冷や汗をかきながら、この背番号なるものを使って文字コードの説明を乗り越えた。終わったときには、背番号をつけて42.195キロを走ったかのように(走ったことないけど)心臓がバクバクしていた。あ、背番号じゃなくてゼッケンか。

 私って意外とハッタリがきくタイプなのかも。ただ、文字コードの説明の中で文字化けについてはとても理解が早かった。なにせ、彼らがよく経験しているからね。中には「そうだ。PCに絵文字を送ったら見えないからやめろって言われました。絵文字も機種依存文字なんですか?」と質問してくる人も。

 うう、広い意味では機種依存、環境依存と言えなくもないけれど……何にせよ、文字が化けてうまく表示できないという経験をしてくれているのはありがたかった。でも、これもみんながLINEみたいなSNSでしか連絡しないようになったら通じない話になるのかしら。案外そうなる日も近いかも?

 とはいえ、彼らはそういう過去の経験が知識と結び付くととてもうれしそうにしている。なるほど、経験と知識がつながるとより理解が深まるのか。ちょっと講座の進め方を考えてみよう。経験と結び付けること、経験させることが大事よね。ふふ、私も社内講師として成長……いやいや、これじゃ上司Aさんの思惑そのままじゃないか。

新入社員: すみません。メールでスタンプを送りたいんですけど、どうしたらいいんですか?

 す、スタ? スタンプ? うーん、あれも一種の「環境依存文字(?)」なのかしら……。

最終更新:7月8日(金)11時2分

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