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家の鍵がスマートになると何が便利なの? 「Qrio Smart Lock」で確かめた

ITmedia LifeStyle 7月8日(金)14時36分配信

 今回はスマートフォンを家の鍵にできるという「スマートロック」が本当に便利なアイテムなのか。「Qrio(キュリオ) Smart Lock」を使いながら検証してみたい。

家族や友人にQrio Smart Lockの鍵をシェアできる

 Qrio Smart Lockは、ベンチャーキャピタルのWiLがエレクトロニクスメーカーであるソニーと組んで設立したジョイントベンチャー、Qrioにとって初めてのプロダクトになる。昨年にクラウドファンディングを実施して資金集めに成功し、年末に発売。その後ソフトウェアのチューンアップを重ねながら使用感の向上を図ってきた。直販サイトでの販売価格は1万8000円(税別)。

●スマートロックを使うメリットとは?

 本機はスマホやタブレットに専用アプリ「Qrio」を入れて、自宅などの玄関に本体を設置。Bluetooth経由で遠隔操作できるスマートロックだ。Qrio以外にもいくつかのメーカーから同様のスマートロックが商品化されているが、モバイル機器のリモコン操作により鍵の開閉ができるようになると、暮らしのこんな部分が便利になるといわれている。

 まずは物理的な「鍵」を持ち歩く必要がなくなる。恐らくは誰もが経験したことのある「落とす・なくす・忘れる」といった鍵にまつわる“3大うっかり”とさよならできるというわけだ。もっとも、スマートロック化したスマホをなくしてしまっては元も子もないのだが、そんな最悪の自体が起きたとしても、Qrioのアカウント登録を別のスマホに乗り替えることでトラブルは回避できる。

 Qrio Smart Lockの場合、鍵を開けて入室後に鍵をオートロックしてくれる機能がある。反対に、帰宅して鍵が閉まっている状態の玄関に近づくと自動で鍵を開けてくれる機能もある。つまり、鍵を開閉する動作自体が要らなくなるのだ。

 さらにQrio Smart Lockにはもう1つ、スマートロックの管理者が電子鍵を発行して、スマホを持っている家族や友人、親戚など複数のユーザーにシェアできる機能もある。では、これらのことができるようになると、実際に暮らしがスマートになるのか? 実践に移っていきたい。

●ドアに粘着テープで固定するだけ。工事は不要

 スマートロックを取り付けるには、玄関のドア鍵を丸ごと交換しなければならないのではと思われる方もあるだろう。中には簡易な工事が必要になるスマートロックもあるのだが、Qrio Smart Lockはドアの室内側にあるサムターン(指でつまんで回すあれのこと)に被せるように装着して、粘着テープでドアに固定するだけと、設置がとても簡単だ。

 筆者も今回、自宅のドアに粘着テープでぺたっと付けてみることにした。本体の向きは縦でも横でも構わない。取り付けが難しい例として、サムターンのつまみ部分が楕円(だえん)形など特殊な形をしていたり、サムターンとドア枠までの距離がやたらと狭い場合は、あるいは設置ができないこともある。また、サムターンにも色々な解錠方法があり、つまみを押しながら回すタイプや2段階式でロックされるものなどはQrio Smart Lockとの相性が悪い。もし導入を検討される場合は事前に自宅ドアの形状や鍵の動作方式をしっかりとチェックしておきたい。Qrioのサイトに対応状況の詳細も記載されている。

 サムターンはつまみが細かったり太かったり、高さの高低など微妙な違いがあるので、Qrio Smart Lockの本体パッケージに付属するサムターンホルダーや、高さ調整プレートなどを使って微調整していく。

 取り付け作業の工程はiOS/Android対応のQrioアプリで図解入りの解説を見ながら、ステップ・バイ・ステップで進めていける。ドライバー以外に特殊な工具は必要ないので、筆者も簡単に取り付けられた。

 本体のバッテリーは市販の「CR123A」リチウム電池を2本以上使う。バッテリー寿命は2本の場合、毎日10回ほどロックを開け閉めしたとして約300日。バッテリーパックには最大4本の電池を装填しておけるので、その場合は同条件で約600日持つ計算になる。直販サイトのQrioStoreから購入すると電池が4本付属してくる。

 ちなみに、帰宅した時にスマホの側のバッテリーが切れてるということも往々にしてあり得るが、Qrio Smart Lock側のバッテリー切れも含めて、本機を取り付けた後でも物理鍵によるドアの開け閉めは今まで通り普通にできる。ただし、物理鍵を持たずに外出してしまい、スマホの電源が切れると悲劇が起きる。鍵を落としたりなくしたりするうっかりミスから解放される代わりに、スマホの電池切れにはよりセンシティブにならなくてはいけなそうだ。

●手動で鍵をまわすよりも時間がかかる?

 Qrio Smart Lockを取り付けたドアは、見た目にちょっとゴツくて違和感もあるが、慣れればデザイン自体は悪くない。導入後に家族から「美観が損なわれた」と拒否される心配はなさそうに思う。アプリでドアの開け閉めをやってみよう。当然ながら、鍵自体には「開ける」と「閉じる」の2つのステータスしかないので、アプリの操作も極めて単純だ。赤いアイコンが「閉じる」で、青いアイコンが「開ける」。どちらも3秒ほど長押しするとQrio Smart Lockに信号が送られ………。約5秒ぐらい経つとサムターンがくるりと回って、鍵がかかった! むむっ! これはひょっとすると、手で開け閉めした方が早いのでは?

 最近Qrioアプリのアップデートが実施され、Andorid版ではウィジェットが使えるようになった。ホーム画面にウィジェットを置けば、アプリを立ち上げなくてもよりシンプルにドアの開け閉めができるようになるのだ。これならもう少しきびきびとスマートロックによる開け閉めができるのではと思って試したが、ボタンへのアプローチは簡略化されたものの、実際にスマートロックが稼働してサムターンを回すまでのタイムラグには大きな変化がない。

 はっきり言って、もう手に物理鍵を握っていて、手を伸ばせば鍵穴やサムターンが触れる距離であれば手で鍵をかけてしまった方が、スマホを取り出してアプリを起動するよりもずっと速いし、所作として自然だ。ではスマートロックを使う意義はどこにあるのか。引き続きQrioの「ロック設定」を深掘りして「オートロック」と「手ぶらで解錠」機能を試してみると、徐々にその真価がみえてきた。

●手ぶらで鍵の開け閉めができる機能がスマートロックの真骨頂

 前者の「オートロック」は、例えば外出先から家に帰ってきた時に鍵を開けて、ドアを閉めたら、サムターンをくるっと回す手間が省けたり、反対に外出する時にも鍵を閉めるというマニュアルの動作をスキップできるようになる機能だ。旅行に出かけると、新しいホテルなら大体備わっているあのオートロック機能と一緒というふうに捉えてもらえればいいだろう。

 使ってみると、これはなるほど便利だ。スマートロックを設置した甲斐がじんわりと感じられる。オートロックがかかるタイミングは最短10秒から変更できる。機能をオンにすると、ドアを開けた状態からカウントダウンが始まり、設定した秒数後にサムターンがくるりと回って鍵がかかる。複数の人と一緒に部屋を出る際には10秒だと少し短いかもしれないので時間を延ばせるが、1人で出入りするときにはなんとなく10秒を持て余した。これがもう少し短い間隔に設定できるようになるといいかもしれない。

 「手ぶらで解錠」は、ユーザーが外出先から帰宅して、アプリをインストールしたスマホを持ってドアに近づくと、GPSの位置情報とBlutooothの信号を元にQrio Smart Lockが自動で解錠してくれるというものだ。現時点でまだβ版として設けられている機能なので、「ロックの設置環境などの条件によっては正しく動作しない可能性がある」と注意書きも加えられている。だから現時点でシビアに機能をチェックするのはふさわしくないので軽く試してみたが、正確に動作するようだ。オートロック機能と正式に併用できるようになれば、鍵を開け閉めする動作からほぼ完全に解放されて、スマートロックを導入する醍醐味が実感できそうだ。

 なお、ふだん普通にアプリから鍵を開け閉めする場合、スマートロックをリモコン操作できる範囲はBluetoothの信号が届く距離とイコールになる。例えば外出後、駅から電車に乗った途端に「あれ、鍵閉めて出たっけ?」と不安になったとしても、スマホのLTE通信経由でロックをかけるといった使い方はできない。アプリのメイン画面から施錠の履歴を時系列に確認できるので、万一ロックをかけた履歴がない(=ドアを閉め忘れたかもしれない)場合は、急いでわが家に引き返す必要がある。LTE/Wi-Fi経由で鍵を操作できる機能も加わってほしい。

●スマート家電と連携できるようになればスマートロックの価値に磨きがかかる

 Qrio Smart Lockに搭載されているもう1つの大事な機能は、アプリのメイン画面から設定できる「キーシェア」だ。オーナーである最初のユーザーが、暮らしを共にする家族や、同じ職場の同僚にQrio Smart Lockの電子版“合い鍵”を発行できるというもの。スマートロックへのアクセス権はメールやLINE、Twitter、Facebookを介して「招待」するかたちで送信する。受け取った側はスマホなどにQrioアプリを入れてから、合い鍵を生成する。例えば小規模の会社を経営していて、アルバイトのスタッフに事務所の鍵を持たせたい場合などにあると便利な機能だ。

 Qrio Smart Lockは物理的な鍵の代替として捉えるのではなく、鍵と併用しながらそこにスマートな機能を足せるデバイスと捉えるのが現時点では正解だと思う。使ってみると鍵を開け閉めする手間は着実に減る手応えがあるし、特にキーシェア機能はスペアキーを作って管理する手間が省けるのがいい。

 今はスマートホーム・スマートオフィスを実現するIoTデバイスとして発展途上にあるスマートロックだが、今後はWebカメラや照明器具、エアコンなどスマート家電と連携できるようになれば、ますます重要な意味を持ってくるだろう。「家の鍵をかけたら、エアコンを消して、Webカメラを起動する」なんてことが自動でできるようになれば、生活がぐんとスマートになる。アップルが開発を進める「HomeKit」など、スマート家電のプラットフォームにシステムを統合していくことができれば、これからスマートロックが日常生活に欠かせないアイテムになる可能性は高いと感じた。HomeKitに対応すれば「Siri」による音声操作も可能になり、iOSでもスマホアプリを起動してアイコンを長押しする手間がぐんと簡略化できるようになる。「Apple Watch」やソニーの「SmartWatch3」による操作にも今年の春から対応したので、合わせて使えばより便利になりそうだ。

最終更新:7月8日(金)20時48分

ITmedia LifeStyle

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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