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結成20周年ラーメンズ、独自性を貫き築いた特異ポジション

オリコン 7月9日(土)8時40分配信

 今年で結成20周年を迎えるお笑いコンビ・ラーメンズ。かつてより業界内外のコアなファンを持つことでも有名だったが、この上半期は、片桐仁がドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系)でブレイクしたことで、より広くその名が世間に浸透。また近年は個々の活動が続いていたが、小林賢太郎が年に一度届けるコント番組『小林賢太郎テレビ8』(NHK BSプレミアム/6月26日放送)でコンビとして約7年ぶりに“復活”。前評判を裏切らない内容に、ネットには「最高だった」「また2人の公演が見たい!」との声が相次ぎ、今その注目度が高まっている。お笑いというより“アート系”と言われる、特異なポジションを築いてきたラーメンズ。改めて彼らの魅力と強みを紐解いてみよう。

【写真】“7年ぶり2ショット”で見つめ合うラーメンズ

◆噛めば噛むほど味が出る、スルメ的な中毒性

 小林と片桐は、多摩美術大学版画科の同級生で、在学中にラーメンズを結成。1999年、『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)に登場すると、その名は一躍お笑いファンの間に広がった。コント内容は、お笑いというよりは“舞台”という言葉がふさわしい。バックは黒幕で衣装もモノトーン、基本的にセットは組まずアイテムも最小限。暗転やパントマイムを活かし、計算され尽くしたコントを身ひとつで演じながら、観客の想像力に訴える手法をとる。役割的には、小林が出演のほか脚本、演出を担当している。

 「ひと言で言えばシュールなんですね。何の予備知識もなく舞台を見れば『?』となる人もいるでしょうし、面白いか面白くないかは意見が分かれるところです。言葉のフレーズの反復や微妙な意味の変化、体の動きや表情の面白さは、時には意表を突く驚きや感動、恐怖すら覚える不思議な笑いをもたらします。繰り返し見ることで、ジワジワと面白さが分かってくるといった感じで、噛めば噛むほど味が出てくるスルメ的な魅力とでも言いましょうか、ハマる人はどハマりするんですよ」(エンタメ誌編集者)

 実際、CD化もされたラーメンズの『日本語学校』シリーズは、アメリカ人やイタリア人、中国人などが日本語学習するネタで、田中角栄といったフレーズが「タナカカクウェイ!」と英語的な発音で叫ばれたり、御成敗式目が「ゴセイbicycle(バイシクル)=五千円倍にして返してくる」と変化していったり、つい口に出したくなるフレーズが連発される。また、コントの台本をまとめた『小林賢太郎 戯曲集』シリーズ(幻冬舎文庫)も出版されるなど、確かにラーメンズのコントはハマると中毒性を帯びる部分があるようなのだ。

◆脱テレビ、他の芸人たちと“逆行”したことで新たな価値観生む

 また、ラーメンズのお笑いは“ボケ”と“ツッコミ”がハッキリとした漫才の雰囲気があまりなく、どこか芸術性やオシャレ感があるのも特徴で、“アート系”と評されるのもうなずける。実際、高橋幸宏やKREVA、椎名林檎といったミュージシャンから女優の上野樹里など、業界人の間でもラーメンズファンを公言する有名人が多い。

 ラーメンズ自体は、09年から2人揃っての活動は特に行っていないが、その間も(以前からも)小林はひとりでコント公演を行うなどソロ活動を積極的に。一方の片桐は俳優業のほか、粘土などで作った造形作品を発表するなど、いわば美大出身の2人は、お笑いを超えた“総合芸術枠”で活躍していると言ってもいい。

 「小林さんは『テレビには向かない』と話しているようで、年に一度の『小林賢太郎テレビ』ぐらいしかテレビ出演はありません。片桐さんは舞台が中心でドラマなどにも出演していますが、コンビとしてのテレビ出演はほとんどない。これはお笑いコンビとしては異例ですね。普通はバラエティ番組に多く出演して、コンビの名前を売っていくのが王道ですから。でも、ほかの芸人さんたちと“逆行”する選択をしたラーメンズは、かえって独自性やプレミアム感を醸し出す“強み”や“魅力”を持つことにもなります。これは相当の実力と自信、また覚悟がないとできないことだと思いますね」(前出・編集者)

 普段はあまりテレビという表舞台に姿を見せない彼らだが、復活のきっかけとなったのがテレビだったというのも興味深い。この7月からスタートする小林の新作コント公演『カジャラ♯1「大人たるもの」』には、片桐が出演することも発表されている。今後2人はどのような独自性を発揮していくのだろうか? 20年の節目を迎えた孤高のお笑いコンビの今後に注目したい。

最終更新:7月9日(土)8時40分

オリコン