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《高校野球の今 下》自主性 即応できる力を

上毛新聞 7月8日(金)6時0分配信

●強さの要因

 すっかり日が落ちた午後8時すぎ、全体練習を終えたばかりの伊勢崎清明の野球部専用グラウンドは、さらに活気づく。選手は照明のあるスペースを奪い合うように確保すると、それぞれ自主練習を始める。

 斉藤宏之監督は「早く切り上げるように伝えているが『あと1時間』『あと30分だけ』って聞かないですよね」。苦笑しながらも選手の背中を穏やかに見守る。近年に見る清明の強さの要因は、この「自主性」にあるようだ。

 伊勢崎女から共学の清明に変わり、野球部ができてまだ12年目。2012年夏、その年の選抜甲子園で4強入りした健大高崎を破り、14年夏には決勝に進出して新興の強豪校として名が知れ渡った。だが、その環境は決して恵まれているとはいえない。

 グラウンドの照明は一部のみ。雨天練習場はないため、雨の日は他の部活と校内の空きスペースの取り合いになる。それでも設備の整った私学強豪や公立伝統校と渡り合えるのは、常に「工夫すること」を考えなて取り組んでいるからだ。

●考えて動く

 「最近の生徒は真面目で与えられたことをしっかりこなすのが得意な半面、予想外のことへの対応は苦手」と斉藤監督。だが、予期せぬことが起きるのが野球。その場面に即応できる能力を身に付けるには、日ごろから自ら考えて動く「自主性」を引き出していく必要があるという。

 その一つの例がルールづくり。清明には指導者が決めた規則はない。集合時間や練習への取り組み方、SNS(会員制交流サイト)の使い方まで、時には強豪校のやり方もまねながら全て選手が決める。エース岡本卓也は「自分たちで決めたことだから、破って仲間を裏切れない」と言う。「強くなるためには何が必要か」を考えながら行動しているから、試合でも判断よく伸び伸びプレーできるようになるという。

 選手主体の指導を取り入れて勢いに乗るチームは清明だけではない。春の県大会で過去最高成績に並ぶ16強に入った桐生西もその一つ。同校では、毎日必ず30分間は選手が練習メニューを考えて取り組む時間に充てている。

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最終更新:7月8日(金)6時0分

上毛新聞

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