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磁気粘性流体が歩行をサポート 栗本鉄工所が福祉器具で初の実用化

日刊工業新聞電子版 7月8日(金)15時31分配信

応答性100倍、1000分の数秒レベルで動きを細かく制御

 栗本鉄工所は磁気粘性(MR)流体「ソフトMRF」を、福祉器具向けで初めて実用化した。橋本義肢製作(岡山市南区、橋本泰典社長)の下肢装具に採用された。ソフトMRFの応答性の高さを生かし、歩行時に足の動きを細かく制御できる。人体に装着する安全な製品に搭載されたのを弾みに、適用範囲を拡大する。

 栗本鉄工所が開発したソフトMRFは、磁場の印加(いんか)度合いで粘性が変化する性質を持つ。すでに無線操縦機向けに実用化しており、感覚と力覚を再現するハプティクス分野で応用展開を目指す。

 新しい下肢装具は3軸のジャイロ・加速度の各センサー、足関節角度計、足関節トルクセンサーとソフトMRFを一体化したデバイスを搭載した。センサーの情報から判断した歩行周期の段階に応じて最適な抵抗を装具に発生させ、脳卒中でまひ症状を持つ人の動きを補助する。

 ソフトMRFの採用で制動力を電子制御化した。磁場の力に制動力が比例し、制御もしやすい。従来、下肢装具に使う油圧ダンパーやモーターなどのアクチュエーターに比べ粘性の変化が素早い。応答性は従来の10―100倍で、1000分の数秒で制御可能。


 制御の状態はリアルタイムで確認できる。発生させる抵抗をパソコンで設定し、さまざまな制御パターンのシミュレーションも可能。途中で制動を止めるなどの制御も設定できる。橋本義肢製作は病院でのリハビリ用途や、研究機関や大学での利用を見込み、当面は年10台前後の販売を目指す。

最終更新:7月8日(金)15時31分

日刊工業新聞電子版