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白血病治療に光 免疫異常とがん再発を両方抑制 世界初、進藤・佐賀大助教ら発見

佐賀新聞 7月8日(金)11時18分配信

骨髄移植に皮膚がん治療薬を使用

 佐賀大学医学部(佐賀県)の進藤岳郎助教(44)らの研究グループが、白血病患者に対する骨髄移植で皮膚がんの治療薬を使用することで、免疫異常を防ぎながら、がん再発も抑制できることを、マウス実験で世界で初めて発見した。移植後に投与する免疫抑制剤が、がん細胞への攻撃力も抑えてしまい、がん再発を招くことが問題になっていた。臨床試験を経て、5~10年後の実用化を目指す。7日、米科学誌「JCIインサイト」電子版に発表した。

 骨髄移植では、ドナーと相性が悪い場合、移植した白血球が患者の正常な体細胞を攻撃し、「移植片対宿主病(GVHD)」と呼ばれる肺炎や皮膚病などの免疫異常を起こすことがある。症状が重いと死に至るケースもある。対策として免疫抑制剤を投与しているが、がん細胞を攻撃する「移植片対腫瘍効果(GVT効果)」まで弱めてしまうことが欠点だった。GVHDを抑制しながら、GVT効果を温存する手法は確立されていなかった。

 進藤助教らは、皮膚がん「悪性黒色腫」の治療薬として日米両国で承認されている「トラメチニブ」に着目した。骨髄移植をしたマウスを使った実験で、GVHDだけを抑制することに成功した。進藤助教は「安全性が確認された承認薬を用いることで、人間に使うハードルを下げられることが大きい」と話す。

 急性骨髄性白血病の場合、抗がん剤だけで完治する患者は2~3割にとどまる。骨髄移植をすると、軽度を含めると約5割がGVHDを起こすという。進藤助教は「できるだけ早い時期に臨床試験を始めたい。腎臓や肝臓など臓器移植にも応用できる可能性がある」と期待する。

最終更新:7月8日(金)11時18分

佐賀新聞