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<バングラテロ>海外志向の若者に衝撃 イスラム教徒への偏見懸念

埼玉新聞 7月8日(金)10時30分配信

 「外国が怖くなった」「テロがあった国は避けたい」―。埼玉県富士見市出身の下平瑠衣さん(27)ら日本人7人が命を奪われたバングラデシュの飲食店襲撃テロ。治安が良いといわれるアジアの親日国で起きた惨劇は、仕事や学業で海外志向を持つ県内の若者にも大きな衝撃を与えている。青少年が参加する国際交流団体はイスラム教徒への差別や偏見が広がることを懸念。一方、日本に暮らすイスラム教徒の若者は「イスラム教を汚している」と犯行を強く非難する。

■リスク回避は無理

 「安全と言われていた国なのに…」。さいたま市浦和区の大学4年生の女性(23)は、ショックを隠さない。石油・天然ガス開発企業への就職が内定し、アフリカ、中東、スペインでの勤務を希望している。海外旅行が趣味で、大学に入ってから10カ国以上を訪問。卒業旅行は東南アジアを考えているが、今回のテロで「怖くなった」。

 さいたま市南区の大学4年小角真由さん(22)は、韓国の大学院へ進学を希望している。これまでは外国でテロが起きても、「海外ニュースの一つ」と実感が湧かなかった。今回は「バングラデシュの発展に力を注いでいた日本人が巻き込まれた」ことに心を痛めたという。

 「海外で働くことに『不安がない』と言ったら、うそになる」と明かすのは、さいたま市大宮区の大学4年生の女性(22)。就職の内定先は海外勤務のある総合商社。「事前に対策してテロに遭遇する確率を下げるしかない。でも、確実にリスクを避けることは無理だと思う」

■イスラム教汚すな

 今回のテロはイスラム過激派による犯行との見方が強い。イスラム教徒について、3人の大学生からは「テロを起こすのはほんの一部。『怖い』と考えるのは違うと思う」と擁護する意見の一方で、「差別はしたくないけど、避けてしまうかもしれない」と警戒する声も聞かれた。

 日本に暮らすイスラム教徒の若者は、今回の事件をどう受け止めているのか。都内の大学に留学中のサウジアラビア人男性(22)は「何を考えているのか分からない。彼らがやったことはイスラム教本来の教えに反している。イスラム教を汚してる」と怒りをぶちまける。

 母国では、過激派組織「イスラム国」によるテロが頻発している。男性の自宅近くでも2回、テロが発生したほか、知人もモスクで礼拝中に自爆テロによって殺されたという。故郷に残る両親やきょうだいの身を案じるが、「何もできない」のが現実だ。

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最終更新:7月8日(金)10時30分

埼玉新聞