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「伝説の袈裟」発見 立山信仰「地獄で身守る」

北日本新聞 7月8日(金)0時38分配信

■富山・光厳寺が所蔵

 立山信仰の中で語られてきた「伝説の袈裟(けさ)」が、立山博物館の調査で見つかった。地獄に身を投じた僧侶を守った袈裟とされ、曹洞宗の光厳寺(富山市五番町、今村源宗住職)が所蔵していた。江戸時代に信仰の普及に使われたと考えられ、同館は「当時の布教の在り方を知る貴重な史料」としている。16日に同博物館で始まる特別企画展「立山×地獄展」(北日本新聞社後援)で公開される。

 袈裟は「破地獄袈裟(はじごくけさ)」と呼ばれ、立山曼荼羅の絵解き台本「立山手引草(たてやまてびきぐさ)」などで紹介されている。黄色の絹製で、縦1・3メートル、横3・5メートル。袈裟袋と一緒に箱に納められていた。「卍」のしるしなど袈裟袋の特徴から、14世紀の南北朝時代に作られたとみられ、傷みが激しい。

 研究者の間で光厳寺に古い袈裟があるのは知られていたが、一般に公開されておらず、企画展に合わせた調査で詳細が初めて明らかになった。

 16世紀後半に光厳寺の7代目住職を務めた契幡(けいばん)和尚が使ったとされる。言い伝えでは、和尚は立山参詣中に山伏と遭遇。挑発に乗って灼熱(しゃくねつ)の地獄に飛び込むが、身に着けていた袈裟のおかげで炎は消え、けが一つなかったという。その後、同寺で受け継がれてきた。染みのような黒ずんだ箇所は、焼け焦げた跡とも言われている。

 光厳寺は富山藩主前田利次の菩提寺だった時期もあり、越中の曹洞宗の拠点だった。袈裟は、契幡和尚の偉大さを示す象徴として大きな宣伝効果があったとみられ、同博物館の加藤基樹学芸員は「和尚の超人的な力を語ることで、信者を獲得しようとしたのではないか」と話している。

北日本新聞社

最終更新:7月8日(金)0時38分

北日本新聞