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【コラム】め組のポップソングはなぜこんなにも「伝わる」のか?1stにして真骨頂、アルバム『恵』について

RO69(アールオーロック) 7月8日(金)17時30分配信

「伝わる」ということは、なんて美しく、罪深いことなのだろう。7月6日にリリースされため組のデビューアルバム『恵』を、何かに取り憑かれたようにヘビーローテーションしながら、優れたポップミュージックが持つ魔力について思う。

元・さよなら、また今度ねの菅原達也(Vo・G)が結成した5人組バンドのめ組は、今年2月にワンコインシングル『500マイルメートル/マイ・パルプフィクション』をリリースし、同時に都内で自主企画ライブの開催をスタート。これまでに3度行なわれている自主企画のステージで、彼らはアルバム『恵』のためにレコーディングされた楽曲群を次々に披露してきた。

菅原達也の頭の中に渦巻く夢想や空想、情けなくも憎めない心模様を飛びっきりのメロディで描いてゆく歌の数々は、富山京樹(G)、大熊諒(Dr)、出嶋早紀(Key)、下山拓也(B)に分かち合われてゆく。多様で厄介なリズムパターンを支える大熊&下山。そして、ぶっ飛んだ歌詞世界を追い越さんばかりの勢いで彩る富山&出嶋。高い演奏技術もさることながら、菅原達也の内なるイメージを完璧に音像化するメンバーの理解が、恐るべき「伝わる」魔力の最初のステップであることが分かる。

“悪魔の証明” ミュージックビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=m0Zmnnm9AOw

『恵』では、シングル2曲の後、3曲目にアルバムのリード曲としてミュージックビデオも公開された“悪魔の証明”が置かれている。ホラー&コミカルなスウィンギン歌謡で、菅原は深夜にムクムクと湧き上がる衝動の形を伝えようとしている。その内面世界をどうにか汲み取り、後押ししようとするバンドメンバーの姿勢に、コミカルな曲調であるにも関わらず感動してしまうのだ。

また、“キキ”という一曲のラストセンテンスで、菅原はこう歌っている。《名曲をつまみ食いした時/ヒントが見つかったの/ちょっと調子に乗って/「1人じゃない」とかって/言っちゃうのです》。頭や胸の内にあるものの大半を上手く伝えられない、言葉の限界を思い知る孤独の実感が常にあって、菅原はそのもどかしさのすべてをソングライティングに込める。それを、メンバーは死に物狂い(ステージ上の彼らは見れば、楽しそうに「死に物狂い」なのは明らかだろう)で音像化しようとする。ここには、バンドという表現様式のピュアな理想があると思う。

まさにめ組の真骨頂、という想像力爆発のロックシンフォニー“脳内コンクール”も凄いが、アルバムの最後に収録された“HEARTFUL”は、ライブのアンコールのために生み出されたという超ロマンチックな名曲である。ぜひがっちりと聴き込んで、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016(出演は2016年8月6日(土))や、次回のワンマンライブ「め組の嫁入り」(2016年9月2(金)@TSUTAYA O-WEST)に備えてほしい。(小池宏和)

RO69(アールオーロック)

最終更新:7月8日(金)17時30分

RO69(アールオーロック)

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。