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統計局移転の実証実験 和歌山でデータ利活用シンポ

紀伊民報 7月8日(金)16時42分配信

 和歌山県と総務省は7日、統計データ活用に関心を深めてもらおうと、和歌山市の県民文化会館で「統計データ利活用シンポジウム」を開いた。総務省統計局と独立行政法人統計センターの一部県内移転の検討材料にする目的で、パネル討論では関西の統計専門家らがデータの重要性などを議論した。

 パネル討論には、和歌山大学の足立基浩教授、同志社大学の金明哲教授、県立医大臨床研究センターの下川敏雄副センター長、関西大学の松本渉准教授、統計局の千野雅人統計調査部長、県の高瀬一郎企画部長が登壇。統計センターの椿広計理事長が司会を務め、実業家や行政職員、一般の人ら約300人が聞いた。

 千野部長は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」が成功か失敗かなど、近年、国会の議論に統計データが活用されることが増えてきたと話した。

 高瀬部長は「最少の経費で最大の効果を挙げるためには、客観的根拠に基づくことが必要」と話した。県人口減を抑えるため、出生率上位3県と比較。費用対効果が高い政策として、第3子の出生割合向上の事業を打ち出したことを説明。高いがん死亡率を抑えるため、県立医大と協力し、食生活や習慣などの違いを比較して、効果的な予防策を立案したい考えも示した。

 下川副センター長は「県内の医療データと地域の特性の関係を見ることができれば、健康寿命を伸ばすのに何が役立つかが分析できるのではないか」と提案。金教授は、統計学の人材不足を指摘し、世界各国と比較しても少なく、人材育成の必要性を強調した。さらに「データ関連は新しい産業になる。県は誘致活動をきっかけとして、データサイエンスの拠点にしてほしい」と呼び掛けた。

 今回のシンポジウムは、総務省統計局と統計センターの一部県内移転の実証実験の一環で開かれた。

 終了後、千野部長は「準備の段階で県と密に協力連携でき、支障なくシンポジウムが開催できた。移転については、機能の維持向上が期待できるか、全国の中でなぜ和歌山県なのか、などの観点から分析をしていきたい」と述べた。

 政府は県内移転について、8月末までに結論を出すとしている。

最終更新:7月8日(金)16時42分

紀伊民報