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伊勢志摩サミットは終わったが経済効果じわり

日刊工業新聞電子版 7月9日(土)17時41分配信

レガシーを地元の努力でさらに生かせるか

 伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の閉幕から1カ月あまり。地元・三重県にとっては「千載一遇のチャンス」(鈴木英敬知事)であり、観光関連を中心に経済効果が表れている。サミットのレガシー(遺産)を核にポスト・サミット効果を生みだし、それを三重県から名古屋圏全域に広げてもらいたい。

 中部圏社会経済研究所(名古屋市中区)の事前の試算では、三重県のポスト・サミット効果は今後5年間累計で1194億円。百五経済研究所(津市)も5年間で1110億円を見込んでいる。2015年の県内総生産が7兆1221億円の同県にとって小さな額ではない。

 三重県の製造業の多くは名古屋に近い県北にある。サミットの舞台だった県南部のポストサミット効果は、国内外からの観光客の増加によるものだ。

 延べ36カ国の報道陣が参加したプレスツアーなど、サミットでは地域の魅力が世界に発信された。会場となった志摩市賢島の土産物店は平日でもにぎわうようになり「夏休みが楽しみ」という声も聞かれる。各国首脳が昼食会で乾杯した純米大吟醸『作(ざく)・智(さとり)』は品薄状態。蔵元の清水清三郎商店(鈴鹿市)は「ニーズに応えたいが、品質を保つために量産はできない」(清水慎一郎社長)と話す。

 こうした人気を一時的なもので終わらせないためには、継続的な取り組みが必要だ。真珠をはじめ特産品の産地では生産、加工、販売が一体となって需要開拓に励む姿が目立っている。サミットをきっかけに規模や業種を超えた連携が芽生えたことは、立派なレガシーだ。

 また今後は国際会議の誘致などに積極的に取り組むべきだ。各国首脳は中部国際空港から海を越えて会場入りした。伊勢志摩は意外に近いことをアピールできるのではないか。名古屋地区のビジネス客の一部を観光に呼び込む方法もあろう。

 鈴木知事は「サミットはチャンスでしかない。口を開けて待っていれば地域が良くなるというものでもない」と話す。サミットのレガシーを生かすのは、地元の努力に他ならない。

最終更新:7月10日(日)0時24分

日刊工業新聞電子版