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イスラム教徒の関取・大砂嵐。断食しているのに、なぜ強い? その思いに迫る

BuzzFeed Japan 7/9(土) 11:00配信

大相撲初のエジプト出身力士、大砂嵐 金崇郎(24)。190cm、体重153キロ。ムスリムとしては初の幕内力士だ。【BuzzFeed Japan / 山光瑛美】

おすもうさんの写真って、なんかほっこりする

2011年、当時19歳だった大砂嵐は、相撲の世界に魅了され、エジプトから日本に移り住み大嶽部屋に入門した。そして2012年3月、初土俵を踏む。そこからわずか10場所で新入幕を果たした大砂嵐は、元大関の琴欧洲を抜いて、外国人力士として史上最速の出世となった。

イスラム教徒の大砂嵐は毎年、1ヶ月間、ラマダンに入る。ラマダンはイスラム教徒にとって神聖な月。この期間は日の出から日没まで、飲食を一切断つ。近年、ラマダンは、7月の名古屋場所と重なることが多い。

大砂嵐は、ラマダンをどのように乗り越えるのか。BuzzFeed Newsは、愛知県稲沢市の大嶽部屋宿舎を訪れた。

稽古の時間

6月28日。あいにくの雨。風が横に強く吹いている。屋外にある大嶽部屋の稽古場。土俵の周りには、見学者用の椅子が並べられているが、どれも雨で濡れていた。

早起きした若い力士たちは、6時半過ぎから箒で土俵の掃除を始める。徐々に他の力士たちも集まり、7時から稽古が始まった。稽古初日は、四股踏みやストレッチ。大嶽親方は座っているところから、四股の踏み方に檄を飛ばす。

外の気温は18度。息を吐くと白くなるくらい、寒い。だが、30分も経たないうちに、力士たちは汗をかき始めた。

休憩時に力士たちは、柄杓でバケツから水を汲み、水分補給する。だが、大砂嵐は飲まない。水を口に含め、うがいを2秒ほど。水は飲み込まずに吐き捨てた。

8時18分。ちゃんこの美味しそうな匂いが土俵の周りにも漂ってきた。

8時半に稽古が終わると、大砂嵐は見学者に投げキッスをしたり、変顔を披露したり、周囲の人を笑わせる。ファンサービスだ。

「人生で一番幸せな瞬間だった」

日本について何も勉強せずに来たと話す大砂嵐。

「日本についてまったくわかんなかった。日本のイメージは、ブルース・リーだった。日本に来て、ブルース・リーが中国人と聞いて大ショックだった」

外国人力士がいない相撲部屋を調べ、7つの部屋に足を運び自分を売り込んだ。次々と入門を拒否された。それに加えて、体験参加した取組で怪我をしてしまう。

それでも諦めきれなかった大砂嵐は、焦りを感じながらも、最後の望みを賭けて大嶽部屋を訪れた。大砂嵐の情熱に感心した親方は、宗教や文化の違いを気にするなとアドバイス。そして、こう言った。「その情熱をどれだけ相撲に使えるかだけを気にしろ」

大砂嵐はこう振り返る。「人生で一番幸せな瞬間だった」

大嶽部屋に入門し、勝ち続ける決意を固めた。自分だけではなく、チャンスを与えてくれた親方のために。そして、遠く離れた場所から応援してくれる家族と母国エジプトのために。

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最終更新:7/9(土) 23:27

BuzzFeed Japan