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タワーマンションの居住階は“社会的地位”の象徴!? 住人の不満と欲望噴出『ハイ・ライズ』

dmenu映画 7月9日(土)21時0分配信

『マイティ・ソー』(2011-13)や『アべンジャーズ』(2012)のロキ役で一躍ブレイク、最近では歌手・テイラー・スウィフトのデート相手としても世間の関心を集めているトム・ヒドルストン。そんなトムが主演する8月6日公開『ハイ・ライズ』は、高名な建築家によって設計されたハイ・ライズ(高層マンション)が舞台のミステリアスドラマ。都会の喧騒を逃れたラグジュアリーなタワーマンション“ハイ・ライズ”には極上の“ハイ・ライフ”が存在するはずだったのですが――?

“社会的地位”で住む階層がわけられたマンションの秩序崩壊

トム・ヒドルストンが演じるのは、姉を亡くした心の傷が癒えない医師、ロバート・ラング。スーパーマーケットやプール、スパまでそろっている40階建てマンション“ハイ・ライズ”に単身で引っ越してきます。

ラングの住居はミッドセンチュリーのインテリアで統一され、住人らのファッションはボヘミアン系の70年代前後の雰囲気。そんな場所で女優や実業家が入り混じる派手なパーティーが夜な夜な開かれます。そこまではラグジュアリーを好む人たちによくある話かもしれませんが、実はこのマンションは、“住人の社会的地位によって住居階が区別される”ヒエラルキーが存在していたのです 。しかし、ある日の停電をきっかけに行動パターンが一変。階層別の秩序は崩壊していきます。

溜まりにたまった階層ごとの不満や欲望が噴出し、暴力もはびこるカオス状態に。幻想世界にトリップするような音楽性で人気のバンド、ポーティスヘッドがABBAをカバーした挿入歌「SOS」も日常離れした空気を助長します。『ハイ・ライズ』の映画ポスターは、狂気の名作『時計じかけのオレンジ』(1971)を彷彿させるアートワークが使われていますが、今作もトムのファンが乙女心いっぱいで見に行くと心臓に悪いシーンが多々出てきます。

マウンティング合戦の土壌が整う舞台

「タワーマンションの居住階」は、地位や年収の高低をそのまま表しているかのようにも見え、お互いを格付けし合う“マウンティング”には格好の土壌。深いつき合いでなくとも、ドア1つ、壁1枚先に住む他人の情報が押し寄せてきて、妬みや自己卑下を生んでいきます。マンションの外から見れば、ハイ・ライズの住人たちは充実した施設で暮らすことを選んだ豊かな人たちのはず。特権意識を持たず、隣人との違いに過剰な関心を持たなければ、階層で敵対することもなかったでしょう。

“ハイ・ライズ”という巨大なハコにすべての人生価値を見出してしまったかのような住人の姿は、時おり映し出される“万華鏡=筒の中だけで展開するオブジェ”に象徴されているかのようです。当初は理想郷であったはずの“ハイ・ライズ”の行く末は、ぜひ映画館で確かめてみてください。タワーマンションにお住まいのあなたは、家に帰るのが怖くなってしまうかも!?

(文/岩木理恵@HEW)

最終更新:7月9日(土)21時0分

dmenu映画

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。