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[ニュース分析]韓米日・朝中ロの対立を固定化させるTHAAD配備

ハンギョレ新聞 7月9日(土)19時26分配信

 地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD<サード>)の朝鮮半島への配備が8日、米国主導で公式発表され、米中関係と北東アジア情勢に大きな波紋が予想される。韓米日と朝中ロが対決する最悪の「新たな冷戦構図」が固定化される結果になりかねない不安な展望もされだした。実際、この日の韓米によるTHAAD朝鮮半島配備発表後、中国とロシアが直ちに強い抗議声明を、日本は歓迎声明を出し、THAADが呼び起こした朝鮮半島を取り巻く北東アジアの対決構図を明確に示した。中国外交部の洪磊報道官は8日、定例ブリーフィングで「中国を含むこの地域内国家の戦略的安保利益と地域の戦略的均衡を深刻に害する」と配備決定の撤回を求め、ロシア外務省も同日声明を出し「北東アジア地域と域外地域の状況にとって悲劇的で不可逆的な結果をもたらしかねず、思慮に欠けた行動をしないことを期待する」と警告した。

 米中両国はすでにTHAAD配備の公式発表以前から激しい攻防を繰り広げてきた。中国側はTHAADの適用範囲とレーダー探知範囲は韓米が言う通り朝鮮半島の防衛的な需要を超えいるとし、実質的には中国に向けたものだとする疑念を主張し続けた。中国ではTHAAD配備発表が米中対決構図の戦線を拡張させ、中国の対応力の弱化を狙っていると見ているようだ。今月12日、オランダのハーグ常設仲裁裁判所(PCA)の南シナ海判決を4日後に控えて電撃的に発表されたためだ。上海外国語大のマーヤオ研究員は、中国共産党機関紙「人民日報」国際版の「環球網」とのインタビューで、「決して偶然ではない。これは米国が常に利用する手法で、地政学的に中国を2つの戦線で戦わせようとする計略」と指摘した。

 その結果、今後中国も全方位的に対応せざるをえなくなると見られる。まず戦略的に韓国のTHAADに対抗して軍事力を増強する軍事的対応が予想される。最悪の米中軍事的衝突シナリオの中で「目」に該当するTHAADレーダーを先ず無力化させ、セカンド・ストライク(2撃)でTHAAD防衛網を突き抜けるためだ。THAADを狙うミサイルを大幅に増強するという予想も可能だ。THAAD1個砲隊が持つ迎撃ミサイル防衛能力の48機以上の攻撃ミサイルを配備しなければならない。結果的に、朝鮮半島を中心に軍拡競争が起こり、北東アジアが「火薬庫」に変質していくことを意味する。

 ロシアとの軍事協力の増大も視野に入ってくる。ロシアもまた、中国と同じくTHAADの朝鮮半島配備を「戦略的均衡のき損」と判断している。中国の習近平国家主席とロシアのウラジミール・プーチン大統領は先月末、THAADの朝鮮半島配備に反対する共同文書を相次いで発表した。中国軍事科学院のチャオ・シャウジュオ副主任は、中国メディアとのインタビューでTHAADシステムに含まれる「Xバンドレーダー」の探知範囲は中国東北地方とロシア極東地方まで及ぶ点を指摘し、「これは国家安保の脅威」と断言した。チャオ氏は「中ロは技術的研究を増加し、自らの核威嚇の効果を高め、同時にMD(ミサイル防衛)領域での協力を拡大するだろう」と話した。

 THAAD配備にともなうMD協力で、韓米日の3国が軍事的に事実上の「準同盟」まで進めば、中国はロシアのみならず北朝鮮との協力まで強化することで対応することもありうる。この日、日本の萩生田光一官房副長官がブリーフィングで「THAAD配備について米韓間の協力が進むことは地域の平和と安定に資する」として、THAAD配備決定を直ちに歓迎したことは、朝鮮半島の対決構図に太い一線を引く作業と見ることができる。中国語圏向け民間衛星テレビの鳳凰衛視(フェニックステレビ)に出演した政治評論家の杜平氏は「朝鮮半島へのTHAAD配備で、北東アジアに新たな冷戦が到来するだろう」と話した。中国復旦大の鄭継永教授は「韓国がTHAADの配備決めたことによりうけるであろう禍は重大なものになるだろう」とし「朝鮮半島分断の永久化の序幕が開かれているのは、韓国が抱え込まなければならない禍のうちの一つ」と指摘した。朝鮮半島で韓米日と朝中ロの対立構図が固定化しかねないという意味だ。

 中国は南シナ海においても東シナ海のように防空識別区域(ADIZ)を宣言し、米国の制空権を追い出すなど、中国周辺地域で米国の軍事的覇権を弱化させる可能性がある。また、韓国や日本に迂回的に外交的圧迫を加え、間接的に米国に対抗することもありうる。東シナ海で尖閣列島などに対する巡回査察を増やし、日本を刺激することもありえ、韓国に対しては目に見えない圧迫をすることもできる。貿易に対する制裁や脱北者送還問題に関して中国が非妥協の姿勢を示すことも予想される。

ワシントン、北京/イ・ヨンイン、キム・ウェヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:7月9日(土)19時26分

ハンギョレ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。