ここから本文です

賀来賢人「泥臭くシビアな世界」 俳優業の厳しさを実感するも“天職”だと確信

クランクイン! 7月9日(土)6時20分配信

 あくまでも役柄の話だが、天然・野村周平とクールガイ・賀来賢人がほんのり友情を育みながらもまるで歯車が噛み合ない。映画『森山中教習所』は、そんな対照的な2人の若者が織り成す“ズレ感”を楽しむ新感覚のバディムービー。目の表情から体の動き、衣装まで、徹底的にこだわったという賀来が、撮影の舞台裏から、刺激を受けた野村との共演、さらには俳優への秘めたる思いなどを語った。

【関連】「賀来賢人」フォトギャラリー


 本作は、真造圭伍の人気コミックを実写映画化した青春コメディー。偶然再会した脳天気な大学生・佐藤清高(野村)とクールなヤクザの元同級生・轟木信夫(賀来)を中心に、一風変わった自動車教習所でのひと夏をコミカルに描く。メガホンを取るのは『ヒーローマニア‐生活‐』『ソフトボーイ』などの豊島圭介監督。そのほか、麻生久美子、岸井ゆきの、音尾琢真、光石研、ダンカンら、個性豊かな俳優陣が脇を固める。

 いつもは完成作品を観ると、「自分の芝居が気になってしかたない」という賀来が、「今回は何も気にならず、まるで他人の作品のように客観的に楽しめた」と笑顔をみせる。それほど、満足のいく演技ができたようだが、撮影前からキャラクターづくりも入念に行っていたという。「原作の轟木は、もっとモワァっとしているんですが、スタイリストさんと話し合って、映画ではシャープで無駄な動きのない“無表情な男”にしたいということになった」と振り返る。

 「衣装、髪の毛(シルバーのカツラ)、メガネはもとより、歩き方やアクション、さらに無表情な分、目力で表現しようと、なるべく目を泳がさないように常に気を張っていましたね」と述懐。豊島監督は微調整するだけだったというが、この新たな轟木像が、常にバタバタしている清高とのコントラストを明確にし、映画をよりコミカルな世界へと導いてくれる。


 清高役の野村については、大いに刺激を受けたようで、「自分だったら絶対やらないことをいっぱい仕掛けてくるので、凄く楽しかった。発想とセンスの良さを感じました」と絶賛。「アドリブはないんですが、“え?台本をそう捉えるのか?”みたいな。僕は受けの演技だったんですが、その絶妙なズレがとにかく面白い」と自信をのぞかせる。さらに、「清高と轟木のなんとも言えない距離感が好きで、友達なんだけど、深く知らない。知らないけれど、居心地がいい。男特有のベタベタしない友情がとっても可愛いので(笑)、ぜひ女性にも観てほしいですね」とアピールした。

 2010年公開の『ソフトボーイ』でタッグを組んだ豊島監督と約5年ぶりに再会を果たした賀来。「1本芯が通った、成長したな」と声を掛けられ、気負っていた心が一気にほぐれたという。そもそもドラマ『木更津キャッツアイ』に憧れ、華やかな役者の道を目指したという賀来だが、「想像以上に現場は泥臭く、シビアな世界だった」と本音を吐露。

 「当時は誠心誠意、作品と向き合っていなかったので、悔しい思いばかりだった。でも、それは今も同じ。その時の自分の立ち位置によって、何かしら悔しい思いがあるので、一生満足することはない」と表情を引き締める。それでも、「何一つ成し遂げたことがない飽き症の僕が、今も続いているんだから天職なのかもしれない」と一人頷く賀来。俳優という仕事に、心底、手応えを感じているようだった。(取材・文・写真:坂田正樹)

 映画『森山中教習所』は7月9日より全国公開。

最終更新:7月9日(土)6時20分

クランクイン!