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【百貨店、専門店業界の2016年3~5月期決算】百貨店苦戦、専門店快調の傾向が鮮明になる

エコノミックニュース 7月10日(日)15時7分配信

 ■円高が逆風になった企業もあれば、追い風になった企業もあった

 小売業の百貨店、専門店業界の主要各社の2016年3~5月期(第1四半期)決算がほぼ出揃った。

 百貨店は、高島屋 <8233> は営業収益0.0%減(微減)、営業利益3.2%増、四半期純利益43.6%減で、四半期純利益の通期見通しに対する進捗率は14.8%。円高と4月の中国の関税率アップでインバウンド消費の伸びが鈍った。純利益は前年同期に特別利益に計上した持ち合い株式の上場株式売却益がなくなり大幅減。6月も2.5%減収だった。

 セブン&アイHD <3382> の百貨店事業(西武・そごう、ロフト)は営業収益3.8%減、営業損益は赤字が前年同期の920万円から1億円に拡大した。西武・そごうは既存店売上高がマイナスで、粗利益率も悪化。ロフトも減益になった。西武・そごうは6月、3.4%の減収だった。

 東京、大阪の中心部に店舗を持つ百貨店は円高で訪日外国人観光客の「インバウンド消費」に陰りがみられる。政府観光庁発表の訪日外国人客数は減っていなくても、購入品の単価が安いほうにシフトし客単価が落ちている。地方百貨店は引き続き苦戦が続いている。

 専門店チェーン大手は業態、企業を問わず、おおむね業績好調。

 「無印良品(Muji)」の良品計画 <7453> は、営業収益は13.0%増。営業利益は19.6%増、四半期純利益は27.2%増で、前年同期より増加幅は圧縮したものの2ケタ増収増益の好調が続く。四半期純利益の通期見通しに対する進捗率は31.5%。国内で好調だったのはレトルトカレーの新商品を投入した加工食品や、化粧水など生活雑貨、収納家具。前年同期比で客単価は6.7%増、既存店売上高は7.3%増だった。海外で好調だった地域は、上海に大型店を出店し売上高が19%増の中国をはじめ東アジアで、海外事業は15%の営業増益だった。

 カジュアル衣料のしまむら <8227> は売上高6.7%増、営業利益38.5%増、四半期純利益44.2%増で、前年同期と比べて大幅増益。四半期純利益の通期見通しに対する進捗率は26.0%。春夏物は婦人物の半袖衣料、独自企画のパンツなど割安感と品質が両立した商品が好調で既存店売上高が伸びている。採算も商品点数の削減、在庫管理の徹底、値下げの抑制によって好転した。

 靴のABCマート <2670> は、売上高4.5%増、営業利益7.9%増、四半期純利益21.7%増で、過去最高益。四半期純利益の通期見通しに対する進捗率は33.8%。駅ビルや百貨店など都市部中心に41店舗を新規出店し売上が伸びた。女性向け店舗、スニーカー専門店など新業態も好評。高価格帯のスニーカーが売れて既存店客単価が5%アップしている。最終利益の大幅増は固定資産の減損損失が前年同期よりも減ったため。

 家具のニトリHD <9843> は売上高14.9%増、営業利益30.9%増、四半期純利益42.9%増の2ケタ増収増益で、過去最高益。四半期純利益の通期見通しに対する進捗率は32.9%と高い。接触冷感機能を持つ寝具「Nクール」シリーズや自社開発品のソファーなど家具、インテリア用品が好調に売れ、新規出店も業績に貢献した。粗利益率は前年同期比で2ポイント改善し54.4%までアップした。

 ホームセンターのDCMHD <3050> は営業収益3.9%増、営業利益17.1%増、四半期純利益9.0%増の増収増益。四半期純利益の通期見通しに対する進捗率は34.1%と高い。売上高は昨年7月に子会社化したサンワドーの買収効果が大きい。利益面では粗利率が高いPB商品の売上増が貢献した。

 外食の吉野家HD <9861> は、売上高1.5%増、営業利益58.3%減、四半期純利益48.5%減で、利益が前年同期から半減。四半期純利益の通期見通しに対する進捗率は6.8%しかなかった。吉野家では4月に4年ぶりに発売した「豚丼」が好調で、夜の居酒屋営業「吉呑み」も人気を呼んで売上高は増収を確保したが、うどん店「はなまるうどん」を第1四半期に19店舗も積極出店したため出店費用がかさみ、利益を大きく押し下げた。


 ■海外出店、新商品、新業態、M&Aなど専門店は戦略が明確

 百貨店、専門店業界大手の2017年2月期の通期見通しは、本決算発表から3ヵ月経過した第1四半期決算の時点では上方修正も下方修正もなかった。

 今期について百貨店は控えめ、専門店大手は強気という傾向に変わりはないが、百貨店はインバウンド消費の鈍化に加え、6月の英国のEU離脱で東京株式市場の株価が大幅安になった影響もあって外商部門の売上、宝飾品など高額商品の売れ行きが鈍化しており、夏場の販売実績次第では中間期の決算発表時に通期見通しの下方修正がありうるだろう。

 百貨店は、高島屋は営業収益2.5%増、営業利益3.1%増、当期純利益0.7%増を見込み、西武・そごうなどセブン&アイHDの百貨店事業は営業収益0.1%増、営業利益214%増(約2倍)を見込む。ともに修正なし。

 専門店チェーン大手では、良品計画は営業収益9.4%増、営業利益10.3%増で連続2ケタ増収増益、5期連続最高益。当期純利益11.9%増の連続2ケタ増益で修正なし。この夏、インドに新規出店するが、為替の円高によって海外事業の日本円ベースの売上高、利益の伸びは抑えられるとみている。

 しまむらは修正なし。売上高は5.2%増、営業利益は15.8%増、当期純利益は23.7%増と2ケタ増益を見込む。粗利益が取れる独自ブランド商品を押し出して最終利益は4期ぶりの最高益更新を狙う。

 ABCマートは、売上高2.0%増、営業利益2.9%増、当期純利益9.0%増の見通しに修正なし。輸入品は円高差益で仕入れコストが下がり、営業利益は14期連続、最終利益は4期連続の過去最高益を見込む。インバウンド消費に陰りが見えて客単価はこれ以上は伸びないだろうとみており、新規出店の効果で売上、利益を押し上げる算段。

 ニトリHDは売上高9.1%増、営業利益8.2%増、当期純利益9.4%増。修正なしだが第1四半期の業績は30期連続の営業最高益、18期連続の最終最高益へ視界良好。それでも先行きは決して楽観視していないと慎重姿勢。

 DCMHDは営業収益は2.2%増、営業利益は4.6%増、当期純利益は3.3%増で増収増益、4期ぶりに最高益更新を見込む。昨年7月に青森県のサンワドーを買収し、3月にはユニーGHD <8270> からホームセンター事業の譲渡を受け、4月には関東のケーヨー <8168> との経営統合を発表した。6月に山梨県のくろがねやを買収、完全子会社化するなど、同業のホームセンターへのM&Aが続いている。その成り行き次第では上方修正もありうる。

 吉野家HD は売上高は3.9%増、営業利益は約2.1倍の110.7%増、当期純利益は約2.3倍の126.9%増と利益大幅増の見通しに修正なし。今期はスローなスタートだったが、「はなまるうどん」の新店が順調に立ち上がり、吉野家で「豚丼」とともに「麦とろ牛皿御膳」のような高利益率の商品が期末まで人気を保てば、利益倍増見通しの達成は可能とみている。円高が続けば牛肉など輸入食材の仕入れ価格低下のメリットも出てくる。最終利益では国内の土地・建物の売却益を特別利益として約14億円計上する計画。(編集担当:寺尾淳)

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最終更新:7月10日(日)15時7分

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