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社説[2016参院選 きょう投開票]人物と政策見極めよう

沖縄タイムス 7月10日(日)5時0分配信

 参院選の投開票日を迎えた。
 最大の焦点は、憲法改正の国会発議に必要な3分の2以上の議席を、自民党などの改憲勢力が確保するかどうかである。すでに衆院では3分の2を占めており、今回の結果次第では、憲法を巡る問題は新たな段階へと進む。
 それにしても、議論がまったくといっていいほど深まっていないのはなぜか。
 そもそも改憲を「党是」とする自民党と、憲法の原則を守る前提で「加憲」を提唱する公明党では、連立与党でも主張に大きな隔たりがある。安倍政権での憲法改正に国民の過半数が反対しているのも、自民党が争点化を避けてきたもう一つの理由だ。
 しかし安倍晋三首相は「在任中に成し遂げたい」と、改憲に積極的な発言を繰り返している。世論の反対が根強い特定秘密保護法や安全保障関連法の時と同じように、選挙に勝てば間違いなくアクセルを踏むだろう。
 平和憲法が変えられるかもしれないという警戒感は、地上戦を経験した沖縄で強い。
 日本国憲法を審議した戦後の衆院に沖縄選出の議員はいなかった。憲法の適用がないまま、米軍統治下の沖縄では広大な基地が建設されていったのだ。
 復帰によって憲法は適用されたものの、同時に日米地位協定と関連取り決めも適用され、地方自治や人権が大きな制約を受けることになった。
 県民が求める地位協定の改定は一向に進まないのに、平和憲法に手が付けられようとしているのである。
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 沖縄選挙区では憲法に加え、辺野古新基地問題も重大な分岐点となる。
 候補者の訴えに耳を傾ければ分かるように、経済政策や子どもの貧困対策では重なる部分が多いが、憲法と辺野古に対する考え方は決定的に違っている。
 普天間返還・辺野古移設で民意が問われる選挙が、今年はもう2回実施されている。
 宜野湾市長選で示されたのは普天間飛行場の早期返還を求める市民の切羽詰まった声だった。県議選ではっきりしたのは辺野古ノーの民意の根強さだ。
 今回の選挙は、辺野古で反対運動を続ける市民らを抑え込むよう国会で発言した島尻安伊子氏と、辺野古新基地建設断念を求める伊波洋一氏という、対立軸のはっきりした構図の選挙である。
 新基地問題に対する県民の判断が注目される。
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 参院選は衆院選とちがって政権交代が懸かる選挙ではない。
 衆議院の優越を認めながらも国会が二院制を採用しているのは、熟議の機会を保障し、大切なことを参院で慎重に判断するためである。衆院の決めたことに行き過ぎはないかチェックし、衆院の足らない点を補うところに参院の「良識の府」「再考の府」としての役割がある。
 「安倍1強体制」下で、自民党、政府、行政のチェック機能が揺らぐ中、改めて参院の役割を問い直す選挙でもある。

最終更新:7月10日(日)5時0分

沖縄タイムス