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ディジー・ミズ・リジー、その圧倒的音楽力に地元の大観衆が喝采!

BARKS 7月10日(日)13時49分配信

去る5月の来日公演では、純度の高い音楽的興奮を存分に味わわせてくれたディジー・ミズ・リジー。このバンドについて評されるとき、「デンマークの国民的人気バンド」といった形容が伴うことが多々あるが、つい先頃、その言葉にはまったく誇張がないのだということを実感できる機会に恵まれた。そのデンマークの伝説的ロック・フェス、『ロスキレ・フェスティヴァル』での彼らの最新ライヴ・パフォーマンスを目撃することができたのだ。

◆ディジー・ミズ・リジー 画像

この『ロスキレ・フェスティヴァル』は1971年から続く由緒正しい欧州最大規模のフェスのひとつ。開催地であるロスキレ(Roskilde)がそのままフェス名になっているが、かつて王族の拠点でもあったというこの古都は、デンマーク史の起点ともいわれる場所。その小さな町がこの時期だけは尋常ではない人口になるというわけだ。フェス自体の歴史にも、1970年に始まった英国の『グラストンベリー・フェスティヴァル』に匹敵するものがあり、デンマークを拠点とする数多くのアーティストたちのみならず、世界的なビッグ・ネームも数多く集結する。今年は6月25日から7月2日にかけて開催され、各日のステージにはレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、LCDサウンドシステムをはじめ、ニール・ヤング、ニュー・オーダーからデーモン・アルバーン、スレイヤーに至るまでのさまざまな顔ぶれが出演。ディジー・ミズ・リジーは公演最終日にあたる7月2日の夕刻、広大な会場敷地内でもメイン格の規模といえるオレンジ・ステージに登場し、一帯を埋め尽くした大観衆を沸かせた。

去る4月にリリースされた実に20年ぶりとなるオリジナル・アルバム、『フォワード・イン・リヴァース』からの「フレイ」をイントロダクションに据えながら、同作のタイトル・チューンで幕を開けた彼らのライヴは、デビュー作の『ディジー・ミズ・リジー』(1994年)、第二作の『ローテイター』(1996年)からの人気曲を随所に配しながらも、やはり最新作のトーンを基調としたものだった。実のところ、フェスであるがゆえに演奏時間はややコンパクトなものだったし、先頃の日本公演でフル・サイズのショウを堪能した身としては、選曲面も含めた演奏内容自体についても特筆すべき目新しさは感じられなかった。が、すさまじいのは、やはりその楽曲浸透度の深さだ。

オーディエンスはまさに老若男女といえる幅広さで、着用しているTシャツからも、さまざまな嗜好のファンが入り混じっていることがわかる。つまり、ひと目でディジー・ミズ・リジーのファンとわかるような者たちばかりではないのだ。なのに、どのアルバムからの楽曲でもイントロで歓声が沸き、かならず合唱が起こる。インストゥルメンタル曲や比較的長めの演奏パートが設けられた場でも、観衆のテンションはまったく落ちることがない。

ステージ前に陣取っているティーンエイジャーとおぼしき若者たちは、当然ながらこのバンドがデビューした当時には生まれていなかったはず。つまりそうしたキッズにとって、ディジー・ミズ・リジーは親たちの世代から伝え聞かされてきた伝説のバンドであり、彼らの復活は夢にも等しい出来事。『フォワード・イン・リヴァース』こそが彼らにとって最初の原体験アルバムだったりするわけである。そんな世代が、デビュー作に収録の「グローリー」や「シルヴァーフレイム」から最新曲に至るまでで声を合わせ続けているのだから、ステージ上の3人も満足でないはずがない。日本公演でもバンドとオーディエンスとの音楽的な相思相愛ぶりが感じられたものだが、やはり当然のごとく、母国デンマークの巨大フェスの場でも、それと同種のものをより大きなスケールで体感することができた。実際、現地のプレスによるこの日のライヴの評価も高く、現地最有力紙である『BT』の評では、最高点の★★★★★★を獲得している。僕自身、フェス全体を観たわけではないから迂闊なことは言えないが、彼らこそが事実上のヘッドライナーだったといえるのではないかという気さえする。

ちなみにこの7月2日はティム・クリステンセン(vo,g)にとって42回目の誕生日。かつてプロモーション用写真で“42”という数字の入ったジャケットを着ていたことのある彼は、この日、自宅のクローゼットから見つけてきたそれを最前列のファンに投げ与えていた。そして演奏終了後、楽屋エリアに戻ってきた彼らを待ち受けていたのは、ケーキとシャンパンが並ぶバースデー・パーティーのテーブル。マーティン・ニールセン(b)とソレン・フリス(ds)は、彼にワインをプレゼントしていた。そこから先のことについては、この場には敢えて具体的には記さずにおくが、とにかく彼らの音楽力の高さと音楽愛の強さ、そしてバンドを取り巻く現地の空気のあたたかさを実感できたひとときだった。また、ライヴそのものも含むこの日の彼らの動きを追ったレポートは、8月5日発売の『BURRN!』誌9月号に掲載される予定だ。

そして彼らは10月、『ラウドパーク2016』に出演のため、今年二回目の日本上陸を果たすことになる。彼らの同フェスへの登場は、昨年に続き二年連続ということになる。これについて話を聞くと、メンバーたちは「連続出演というのはあまりないことだと聞いているし、すごく光栄なことだ」「昨年出た時は、メタル・フェスということで“果たしてどうなるんだろう?”という気持ちも少しあったけど、フェス全体のバランスという意味で自分たちがいい役割を果たせたようにも思う」などと語っていた。新曲が披露される可能性について尋ねてみると、「約束はしないでおくけど、もちろん可能性はある」とのこと。実際、彼らを昨年度の同フェスにおけるベスト・アクトに挙げる声も高かったが、それからさらに熟成の過程を経ている彼らのライヴは、昨年10月とも、去る5月とも、きっと違ったものになっているはず。まずは最新アルバムを改めて熟聴しながら、10月の再会を待ちたいものである。

文・写真◎増田勇一

最終更新:7月10日(日)13時49分

BARKS

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