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リオ五輪まで1カ月を切る。本当に大丈夫か、ブラジル経済

ニュースイッチ 7月10日(日)9時4分配信

産業別で明暗 日系企業、景気回復を見据えた戦略に腐心

 リオデジャネイロ五輪の開催まで1カ月を切ったブラジル。しかし2015年の実質国内総生産(GDP)成長率がマイナス3・8%と、リーマン・ショックの影響を被った09年以来のマイナス成長に落ち込み、景気回復の兆候がみえない。ただ、同国は石油や農産物などの豊富な資源に加え、2億人の人口に支えられる巨大な消費市場も大きな魅力。日系企業は今後の景気回復を見据えた戦略を展開できるのか、実力が試される。

 ブラジル経済は、原油や鉄鉱石などの資源価格下落に加え、深刻な財政難や高インフレにより悪循環に陥っている。ただ、自動車や建設機械は販売の落ち込みが続く一方で、「食品や農業関連は悪くなく、産業別で明暗が出ている」(大久保敦日本貿易振興機構サンパウロ事務所所長)という状況だ。

 政治の混乱が収まり、インフレの克服が進んでいけば「自動車や家電などの消費財も回復が見込める」(同)と期待する。また現地の日系企業からは、「医薬品や化粧品の分野は、景気の影響を受けにくく今後も成長する」(ブラジル住友商事)との声も上がる。

<投融資額は最も大きい日系企業>

 三井物産はブラジルでの投融資残高が約9000億円と、ブラジルに進出した日系企業の中で最も大きい。手がける事業分野は資源開発から農業、教育分野まで幅広い。中でもインフラ開発は物流網の整備ニーズが拡大しており、成長分野の一つとして重点を置いている。

 南米最大の貨物取扱量を誇るサントス港から北西約10キロメートルに位置するティプラム港。従来は肥料の輸入専用港だったが、現在、肥料の輸入増加と穀物輸出に対応するためのターミナル増設工事が進んでいる。

 同港は現地貨物輸送会社のVLI(サンパウロ市)が保有・運営しており、三井物産も20%出資している。大型船が着岸できるバースや倉庫、港内を走る貨物鉄道線を整備し、17年10月までに順次稼働させる予定。

 また「ブラジルは広大な国にもかかわらず、十分な鉄道網を持っていない」(アレッサンドロ・ガマVLI統括部長)という課題を抱えている。そのため内陸の鉄道事業にも投資し、穀物などの輸送効率化につなげる方針だ。

 同国では犯罪防止や業務効率化のため、IT投資を拡大する動きがある。NECは15年に、リオ五輪で使われる競泳用プール向けの映像監視システムに加え、主要な国際空港14港の税関向けに顔認証システムを受注した。

 今後も空港の民営化が進むことで、サービス改善に向けたIT投資の伸びが見込まれる。NECでは「我々の事業機会につながる」(米州・EMEA本部中南米グループ)と、受注拡大に期待する。

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最終更新:7月10日(日)9時4分

ニュースイッチ