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子どもが問題行動を起こしてしまった場合の対応策、家族内でできること

ベネッセ 教育情報サイト 7/10(日) 14:00配信

「家庭では素直で問題ないのですが、学校では問題行動が多くて困っています」「成績も態度も良いのに突然万引きして戸惑っている」など、良い子だと思っていたお子さまが突然、問題行動を起こしたら、戸惑う保護者も多いと思います。今回は、少年非行に詳しい立正大学社会福祉学部教授の村尾泰弘先生に、子どもが問題行動を起こしてしまった場合の対応策についてお聞きしました。

まずお子さまの声に耳を傾けよう

わたしは以前、家庭裁判所に勤務し、多くの非行少年たちと向き合ってきました。わたしが心がけているのが、お子さまがどんなストレスを抱えているのか、その原因をつきとめることです。そのために、まずカウンセリングを行い、お子さまの声を受容するようにしています。受容とは、良い悪いの観点で考えるのをやめて、その子の声に共感してあげることです。

たとえば、ある家庭からこんな相談がありました。中学生の息子さんが「オヤジをぶっ殺してやりたい」など暴言を繰り返している。学校でも授業態度が悪いため注意しているが、何も聞かずに困っているというのです。

多くの保護者は、「殺すなんて言ってはいけない」と注意したくなると思います。しかし、この息子さんは、本当に父親を殺したい訳ではなく、「お父さんにもっとわかってほしい」「お父さんにもっと愛してほしい」と願い、それがうまくいかず暴力的な言葉を使っているのだと考えました。そのため、わたしは、「なぜそう思うのか?」を聞くことに徹しました。すると「お父さんは仕事ばかりしていて自分のことを見てくれていない」という本音を聞くことができたのです。

このように非行行動の裏には、お子さまのメッセージが隠されていることが多いのです。ですから、何度叱っても改善しない場合は、非行行動を責めたり、注意したりする代わりに、「なぜ家からお金を盗んだのか」「なぜ夜遅く帰ってくるのか」、その理由を一緒にお子さまと考えてほしいと思います。

子どもの問題行動は、家族の問題

お子さまと話し合う中で、「自分の言動に問題があったかもしれない」と保護者の中には自分を責めてしまうかたもいるかもしれません。わたしは、お子さまの問題行動が起きてしまったのは、お子さまだけが悪い訳でも、保護者だけが悪い訳でもないと考えています。家族みんなの問題だと考えています。家族間のコミュニケーションが、何らかの事情で息苦しい状況になっているため、お子さまがストレスを抱えてしまっているのです。ちょっとした工夫や対策で、悪循環を断ち切り、良い家族関係を築くことができます。事例を挙げてご説明しましょう。

【事例…中学1年生Aさんの家庭の場合】
Aさんは、母親のすすめで中学受験をして、進学校に入学しました。進学校での成績をキープしようと、毎日夜遅くまで塾にも通うようになり、一生懸命勉強しています。しかし、ある日、学校から電話があり、お店で万引きをしてしまったと言うのです。真面目で素直なAさんがなぜこのような行動をしたのか、母親には理解できませんでした。

上記の家庭の場合、解決の糸口はお子さまとカウンセリングしていて、浮かび上がってきました。「小学校までは親子3人で夕食を食べていたけど、塾に通うようになり夕食を家族と食べなくなった」ということでした。Aさんは、学校での出来事だけでなく、進学校での勉強についていけるか不安な気持ちを吐き出すタイミングを失い、問題行動を起こしてしまっていたのです。

この家族の場合、塾に通う回数を少なくしてコミュニケーションの機会を増やす、塾の送り迎え中にも話すようにするなど、ちょっとしたことで家族の関係は変わっていきました。解決策は多くの場合、家族の中にあるはずです。問題行動が起こる前のお子さまの人間関係、家族のコミュニケーションについて振り返ってみましょう。きっと解決するカギがあるはずです。家族内で解決できないと感じたら、第三者を交えて話し合うのも一つの手です。学校のスクールカウンセラーや各都道府県の教育委員会が設置している教育センターで相談すると良いでしょう。家族の問題は相談しにくいかもしれませんが、お子さまを守るためにも早めに対策をしてあげましょう。

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最終更新:7/10(日) 14:00

ベネッセ 教育情報サイト