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「円高」アベノミクスに影。選挙後の経済対策、財源が焦点に

ニュースイッチ 7月10日(日)19時24分配信

法人税収6年ぶり減少。歳出総額10兆円超も視野に入るが・・

 英国の欧州連合(EU)離脱問題に伴う円高基調は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の先行きに影を落としている。政府は経済成長による税収の上振れをアベノミクスの成果と位置づけ、少子化対策や女性の活躍を促す「ニッポン一億総活躍プラン」の財源とする方針だ。だが2015年度に6年ぶりに減少した法人税収は16年度も増勢を期待しにくい。歳出総額10兆円超が視野の経済対策も財源問題が焦点になる。

<24年ぶり高水準>
 財務省がまとめた15年度の一般会計決算概要によると、国の税収は前年度比2兆3147億円増の56兆2854億円で、24年ぶりの高水準だった。だが法人税収は同2042億円減の10兆8274億円と、6年ぶりに減少した。経済対策を盛り込んだ16年度第2次補正予算案に回せる剰余金は2544億円にとどまり、10兆円規模とするには赤字国債の発行が視野に入る。

 日銀がまとめた6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、全規模・全産業の16年度の経常利益は同7・2%減の見通し。主要シンクタンクは、16年度の実質国内総生産(GDP)成長率を0%台と予測する向きが多いほか、16年度は法人実効税率(国・地方)が32・11%から29・97%に引き下がった。

 日本経済は円高を背景に“踊り場”から抜け出せず、法人減税も経営者マインドへのプラス効果よりも税収減が懸念されてきた。

<経済成長に依存>
 政府は経済財政運営の基本方針(骨太方針)の中で、税収の上振れや歳出抑制効果をアベノミクスの成果と位置づけ、ニッポン一億総活躍プランの財源とする考えを盛り込んだ。経済成長に伴う税収増を成長戦略などの歳出に充て、さらに税収が増える「成長と分配の好循環」を実現するシナリオを描く。

 だが、過度に経済成長に依存した経済財政運営は危うさがつきまとう。日本の潜在成長率が0%台前半―半ばとされる中、内閣府は実質2%以上の高成長を前提に、17年度に消費税率を10%に引き上げても20年度に6兆5000億円の基礎的財政収支(プライマリー・バランス、PB)赤字が残ると試算。黒字化目標には遠く及ばない。

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は、仮に税収が上振れても、税収増は借金の返済に回すべきだと提言する。足元の円高は、財政健全化計画の練り直しを政権に促しているようにも映る。

最終更新:7月10日(日)19時24分

ニュースイッチ