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横浜に立ち上がる「仮想発電所」、初の公民連携で構築

スマートジャパン 7月11日(月)6時25分配信

 横浜市、東京電力エナジーパートナー(以下、東電EP)、東芝の3者は2016年7月6日、同市内における「仮想発電所(バーチャルパワープラント、以下、VPP)」の構築を目指す「スマートレジリエンス・バーチャルパワープラント構築事業」の実施において、基本協定の締結を発表した。自治体と民間事業者が共同で仮想発電所の構築を行うのは全国初の事例になるという。

 VPPとは地域内に点在する再生可能エネルギー発電設備や蓄電池、さらにデマンドレスポンスシステムなどを組み合わせ、地域全体を1つの発電所のように機能させる仕組みのこと。各地点の発電量・蓄電量・消費量などのデータを取得して、地域内の電力需給を最適にコントロールしていく必要がある(図1)。今回の実証では国の補助を受け、実証事業として横浜市内でのVPPの構築を目指す。実証機関は2016年7月6日~2018年3月31日までを予定している。

 実証では横浜市内の地域防災拠点に指定されている小中学校に、容量10kWh(キロワット時)の蓄電池設備を設置する。合計18校の小中学校に導入する予定だ。この蓄電池設備と東芝が開発した制御システムを使い、平常時には東電EPがデマンドレスポンスに利用する。非常時には防災用電力として横浜市が活用する。蓄電池設備の導入メリットを小売電気事業者とユーザー側が分け合うユニークなサービスモデルだ。

 VPPを構築する上で、大きな鍵となるのが蓄電池の制御システムだ。東芝では今回導入するシステムにおいて、3つの要素の実現を目指す。1つ目が設置環境の特性、季節変動、天候などにより変化する充放電可能量の予測に基づいた蓄電池の最適な制御だ。2つ目が複数の蓄電池ごとに異なる充放電量を考慮したポートフォリオ管理と制御。3つ目が電力システム改革の進展に沿った柔軟なシステム拡充である。

 蓄電池を組み合わせた再生可能エネルギーの有効利用や、現在2017年の市場創設に向けて進められている節電(ネガワット)取引市場への対応など、今後求められる技術の開発を目指す方針だ。

スマートシティ実証の成果を活用

 横浜市では2010年度から政府の補助を受けて「横浜スマートシティプロジェクト」に取り組んでいる。これは民間企業34社と共同で、家庭やビルなどの既成市街地へのエネルギー受給の最適化に貢献するシステムの導入と実証を目的としたものだ。

 横浜市はこのプロジェクトを通して2015年度までにHEMSを4200件、太陽光発電システムを合計37MW(メガワット)、電気自動車を2300台を導入することに成功している。こうした取り組みによって、現在、横浜市における使用電力量の10%は、再生可能エネルギーなどの市内の分散電源が占めているという。

 このプロジェクトには東電EP(当時は東京電力)と東芝も参画しており、そこで得たノウハウや技術を今回のVPP構築事業でも活用していく。

「もっと大きな」仮想発電所も視野に

 横浜市は今後、今回の事業を庁舎、病院、民間ビルなど市内の他の施設へも展開していきたい考えだ。太陽光発電設備などの再生可能エネルギー電源との連携も進め、「あかりの途切れない拠点づくり」を目指していく。

 東電EPは導入する蓄電池設備を、今後創設される節電取引市場での活用も想定する。東芝は同社の蓄電池群制御技術の高度化を進め、再生可能エネルギーの導入を促進しつつ、事業者と需要家の双方にメリットのあるシステム・サービス提供の水平展開を目指す。

最終更新:7月11日(月)6時25分

スマートジャパン