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「時間やお金に使われている」という自覚がある人は“人生改善”が必要

ITmedia ビジネスオンライン 7月11日(月)8時14分配信

 「あなたの好きな金額をここに書きなさい。例えば、○○億円でもいい。そして、その金額が手に入ったとしても、あなたは今の仕事を続けますか?」

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 少し現実離れした話ですが、もし足長おじさんのような人にそう言われたら、あなたはいくら欲しいと答えますか? そして、今の仕事を辞めますか、それとも続けますか?

 今回は、生涯かけて稼ぐということについて、お話ししたいと思います。

●欲しい金額と働くことの意味

 実は、先の質問をしたのは、とある会社の会長・Aさん。Aさんが私に「仕事が好きか?」と聞いたので、「もちろんです」と答えたところ、この質問が飛んできたのです。

 この質問の真意を尋ねたところ、Aさんはこのようにおっしゃいました。

 「好きな金額というのは、その人が生涯かけて稼ぎたい金額。つまり、そのお金を手にしても仕事を辞めないという人は、その仕事が好きで向いているから自ずと結果は出せるだろう。

 しかし、その金額が手に入るなら辞めるという人は、生活、あるいは何かほかのことのためにその職業を選んでいるということ。『好きこそ物の上手なれ』とはよくいったもので、お金さえあればいますぐ転職を考えているような人は、何年働いても欲しいと思っている金銭は手に入れられないと思うよ。

 みんなこぞって就職活動をするのは、『生活しなくちゃいけない』と思うからだよね。だけど、就職したら仕事と生活に追われて毎日クタクタ……その繰り返し。働いていると、あっという間に年を取る。だけど、時間もお金も使うためにあるということを忘れてはいけない。少しでも『時間やお金に使われている』という実感があるのなら、いますぐ生活改善ならぬ、“人生改善”をしないとダメだよ」

●生涯稼ぎたい金額と引退時期を決める

 では、Aさんのおっしゃる「人生改善」とは、具体的にはどういうことなのでしょうか? Aさんによると、まず生涯で稼ぎたい金額と、1年後、3年後、5年後に稼いでいたい額を手帳に書く。それから1日の過ごし方、24時間の配分を考える。最後に、引退時期を決めるのだそうです。

 「稼ぎ続けるというのは体力がいる。人間、年齢を重ねれば体力は必ず落ちる。それなら『一生稼ぎ続けるのは無理だ』とあらかじめ線引きをしておいて、生涯稼ぎたい金額を先に決めた方が人生は楽になる。

 不思議なもので、稼ぎが増えたり数字が伸び出したりすると、『まだまだ行けるぞ』って欲が出る。すると、伸びているときはいいけれど、少しでも減退してくると気を病むようになる。伸びないというのは、能力うんぬんより“稼ぐ体力”がなくなってきているということ。

 だから、先に数字のラインを決めて、それ以上稼げているときは宝くじが連続して当たっているラッキーな時期だと思うようにしていた。そうすれば、自分で自分の首を絞めるようなことはない。

 自分は田舎者だったからね。上京したてのころはなまっていたから、はじめはとても苦労したけれど、生涯稼ぎたい金額と引退時期はもう決めていたから、逆算するのは簡単だったよ」

 はるか昔、Aさんは上京してすぐに営業を始めたのですが、東京に向かう列車の中で、今の自分はすでに見えていたと言います。千里眼などというものではなくて、「自分が●●歳のときにはこうなっておこう」と、若いうちから決意していたそうです。

●スイッチをオフにする時間を決める

 Aさんのおっしゃる人生改善をさらに突き進めていくと、1日24時間の時間配分までも細かく決めなくてはなりません。この理由を尋ねたところ、Aさんはこのようにおっしゃいました。

 「特に、営業職というのは常に神経を研ぎすませてアンテナを張り巡らせていないと数字は伸びない。なのに、仕事と日々の生活に追われていたらアンテナなんて張り巡らせられない。それなら、朝起きる時間を決めるのと同じようにスイッチをオフにする時間を決めて、あとは自分のために時間を使うんだよ」

 ちなみに、Aさんは営業職になりたてのころからこれを実行されていて、オフのときには図書館や映画館、ショッピングセンターなどにもよく行っていたのだとか。

 「ショッピングセンターというのは景気動向が分かりやすいし、流行り廃りもよく見える。図書館は趣味の域だった」とAさんはおっしゃいます。

●成功する秘訣とは

 「人生の成功する秘訣(ひけつ)は何ですか?」と、子どものような質問をAさんに投げかけたところ、こんな答えが返ってきました。

 「いい意味で、己の目は己だけに向けてそれを満たすこと。他人を気にしてああだこうだと言っている人はまず成功しない。そもそも、成功したとかしないとかも他人が決めているだけで、その人自身が満たされていなければ本当に成功したとは言えない。自分自身が『成功したな、がんばったな』と思えれば、もうその人は立派な成功者だよ」

 とはいえ、並大抵のことでは成功しません。営業には常に数字が付きまといますし、ときには大きな失敗をすることもあります。そんなときはどうすればいいのでしょうか。

 「重要なのは、今の仕事が好きで喜んでやっているかということ。最初の話に戻るけれど、欲しい金額を誰かがくれると言ったら仕事なんか辞めると思っている人は、その職業に就いていること自体、その人の人生をマイナスに引き込んでいる。

 いろいろ理由があってすぐに転職や独立はできない、とあれこれと言い訳を考えてしまう人は、思考の多くをマイナス要素が占めるクセがついている。そういう人は、おそらく何年仕事を続けても、ただ年を取るだけ。

 言い訳を考えるより先に“自分とはどういうものか”を客観的に見て、考えなくてはいけない。子どものころは国語が得意だったのか、数学が得意だったのか。リーダーシップがある子どもだったのか、それともリーダーの横にいるタイプだったのか――これらをよく思い出して、自分がどういう人間なのかをきちんと見直す必要がある。それをもとに、自分の得手不得手を見極めてから転職や独立を考えれば、人生きっとうまくいく」

 男性にはあまり縁がないかもしれませんが「シャネル」というブランド名をご存じのビジネスパーソンは多いでしょう。創業者のココ・シャネルは、裕福な家の出身ではありません。彼女は孤児院や修道院で育ちましたが、亡き今もシャネルはハイブランドとして世界に君臨しています。

 生まれたときからデザイナーを目指していたかどうかは分かりませんが、帽子作りを始めたころから彼女は自らの得手不得手を見極め、その結果、今の不動の地位があるのだと思います。

●信頼できる人を作る

 私の知る限り、上司や部下、恋人や家族はさておき、大成している人は信用できる人を必ず1人は見つけているように思います。

 今大成されている方は生まれたときから大成していたわけではありませんから、ダメな人をそばに置いて裏切られたという辛い経験もされています。

 「成功者が残した言葉は“名言”と言われるけれど、成功者も普通の人間。勝てば官軍とはよく言ったもの。誰にもそういう可能性があるから、自分の得意なことをいち早く見極めて、仕事相手も含め、双方にとって良い仕事を続けていれば必ず大成する」と、Aさんはおっしゃいます。

 これは私の経験則ですが、安易に「あなたのためです」と言う人は信用できません。せんえつながら、私も経営者の1人。例えば「あなたを助けたい」「君のためにがんばる」などと、出会って間もないのに安易に言葉に出す人は腹黒さが見え隠れし、何かあると一目散に逃げて行くという共通点があるようです。人間関係は時間をかけて構築すれば、何かあってもすぐにほつれたりはしません。逆に、簡単に結んだ糸はあっという間にほどけてしまうのではないでしょうか。

 日本人に親しみのある「あやとり」は、今や世界中でコミュニケーションツールとしても使われています。今回は、私が大変お世話になっている飲食業社長のBさんの言葉でしめくくろうと思います。

 「両手にかけた1本の糸はずっと掛かったままだけど、中の糸は誰かが手を入れるとすぐに形を変えられる。仕事の人間関係も同じこと。中の絡み合った糸はすぐに形を変えるけれど、左右にかけた糸は形を変えない。そんなもんだと思えば、仕事の人間関係で頭を悩ます必要は全くないんだよ」

(桃谷優希)

最終更新:7月11日(月)8時14分

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