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ドコモも自動運転に参入――DeNAと連携し九州大学で自動運転バスの実証実験を計画

ITmedia Mobile 7月11日(月)18時33分配信

 NTTドコモ、DeNA、福岡市、九州大学は7月8日、「スマートモビリティ推進コンソーシアム」の設立に合意したことを発表した。九州大学伊都キャンパスで実証実験を進め、2018年下期に学内自動運転バスのサービスインを目指す。将来的には、公道での自動運転バスを実現し、交通の利便性向上、ドライバー不足の解消など、公共交通が抱える課題の解決に貢献していく。

【DeNAの自動運転バス「Robot Shuttle」】

 4者はどのように連携していくのか。ドコモは車両制御システムおよび車両管理システムや、AIを活用した自動運転技術の開発を担当。既に自動運転関連事業を展開するDeNAは、車両「Robot Shuttle」や自動運転に関わる各種ノウハウを提供する。

 コンソーシアムでは自動運転の基本技術である「走る・止まる・曲がる」技術に加え、ネットワークやAI(人工知能)を活用したさまざまな技術を開発し、自動運転の懸念点である安全性の課題を解消。路車間協調や遠隔監視センターなど、より安全性を高めた自動運転システムの構築を図る。

 さらに「音声対話エージェント」が降車後の道順を声で教えてくれるサービスや、ビッグデータをもとにAIが効率的なルートを自動予測して経路を選ぶ運行管制技術など、自動運転ならではの機能で利便性も高めていく方針だ。

 同コンソーシアムで使用する実証実験の場は、広大な土地を持つ九州大学伊都キャンパス(福岡市西区)だ。面積275ヘクタールの敷地では学生と教職員約1万6000人が生活しており、私有地でありながらも街1つ分の規模感がある。坂、カーブ、信号など公道の要素がそろっているうえ、バスや自動車、歩行者などの往来も多く、将来の公道での運行に直結する最適な環境といえる。

 自動運転実証実験のためには、路車間通信に必要な機器の設置場所を確保し、模擬環境を作る必要がある。また公道での走行実験には規制緩和が必要などさまざまな課題があるが、九州大学伊都キャンパス内の道路は私有地内をめぐる「準公道」であり、大学の所有地であるため自動運転バスに必要な路車間通信設備も設置しやすい。一方で、キャンパス内の道路はクルマやバイク・自転車、歩行者などが利用する混在交通の環境であり、信号機も設置されている。このように公道ではないにもかかわらず、公道での実利用環境に限りなく近い場所で実証実験ができることが、今回のプロジェクトの特徴だ。

 自動運転バスが公道を走るには、現在さまざまな法規制がハードルとなっている。しかし福岡市は国家戦略特区の指定を受けているので、特区による法律の規制緩和が実現しやすいのもメリットだ。

 今後のスケジュールとしては、2018年下期のサービス提供をめどにできるだけ早く実験を進める。2016年下期は現行の車両と自動運転データの収集、路車間のセンサーの埋め込みの選定と設定を行う。2017年度下期からは走行試験を行いつつ、実証実験で得たデータを元に改善、性能強化に取り組み、2018年下期のサービスインに備える構えだ。

 またコンソーシアムでは「レベル3.5」という新しい概念を提唱する。自動運転支援システムには制御の段階ごとにレベルが定義されている。レベル3では自動運転が機能するが、ドライバーは運転席に座り、システムが要請した時にドライバーが対応する状態となる。レベル4は完全に自動運転で、ドライバーは関与しない無人運転の完全自動走行だ。

 今回の取り組みにおける「レベル3.5」は、自動運転レベルが3と4の中間をイメージ。バス車両には運転席を設けないが、緊急時に対応できるオペレーターを同乗して運行する形をとるという。

 ドコモの吉澤社長は、自動運転に参入する理由について「近年IoTを展開していくなかで、自動車と交通は世の中を大きく変えていく可能性を秘めた有力な分野と考えている。交差点での交通事故の減少、ドライバーの高齢化への対応、渋滞の解消など、自動運転によって解決できる課題を、どこかと連携してやっていきたいと思っていた」と以前から自動運転分野に興味があったことを明らかにした。

 また今回のコンソーシアムは、地方創生や社会的課題を解決し、新たな社会価値を協創する「+d」の取り組みの一環であるという。吉澤社長は「ドコモとしては、通信ネットワークと人工知能の技術で貢献していきたい」と意気込んだ。

 高島福岡市長は、自動運転の実証実験が九大で始まることに「大変興奮している。九大生は情報リテラシーが高く、実証実験のステージとしてふさわしい」と評価。人口が増加している福岡市でも、赤字路線の廃止などで過疎地域における交通手段の確保が課題になっているといい、「福岡市として、自動運転の中でも一歩先を行く取り組みを実現していきたい」と積極的な姿勢を見せた。

 DeNAの守安社長兼CEOは、福岡市と連携する理由を2点挙げた。まず「九大の構内、敷地はプライベーエリアだが、公道に近い環境で実証実験が実現できる」点。もう1つは高島市長のリーダーシップだったといい、「行政サイドと調整が入ることが予想される中、高島市長から『なんでも実現するぞ』と言っていただき決断した」と笑顔で語った。

 九州大学の久保総長は、「移転後の新しい伊都キャンパスでは、水の循環利用や水素エネルギー利用の研究など、新しい社会システムの実験と実用化を進めてきた。産学官で連携することでスピード感を持ち、新しいモビリティシステムの構築や過疎地域の交通課題の解決につなげられれば」と期待を寄せた。

 2016年に入り、ソフトバンク、KDDI、そして今回のドコモと通信キャリアが自動運転事業に続々と参入してきている。2020年の自動運転実用化に向け、各社の競争がいよいよ始まろうとしている。

最終更新:7月11日(月)18時33分

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