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【参院選】改憲を封印した「リベラル」な自民 争点作れなかった民進

BuzzFeed Japan 7月11日(月)12時36分配信

安倍首相の戦略は、岡田代表を上回っていた。

2016年7月9日、秋葉原。「たった3年半前まで、日本は先がみえない混迷の時代をさまよっていました。この3年半、日本を取り戻すために戦い抜いて参りました。誇りある日本を取り戻すために、この道を力強く前へ、ともに進んでいこうではありませんか」
荘厳なBGMが鳴り響き、丸川珠代参院議員が声を張りあげる。日の丸が振られるなか、安倍首相はマイクを握った。【石戸諭 / BuzzFeed】

選挙期間中、安倍首相の演説パターンは決まっている。
アベノミクスの成果をいくつかのデータとともに示す。安全保障政策や女性活用について語り、「日本中から魅力的で輝く女性が集まっている。こっちはかーっと輝いている、こっちはぴかぴか」と聴衆に語りかけ、笑いを誘う。
安倍政権への批判に対しては「批判からは何もうまれてこないんですよ」と叫ぶ。民進党と共産党による野党共闘は「野合で無責任の象徴」、「気をつけよう、甘い言葉と民進党」などと強い言葉を使う。
ヒートアップした安倍首相は野党を責めるが、憲法改正には言及しない。この日も「憲法」という言葉すら使わず、マイクを置いた。

連立を組む公明党も、7月7日にLINEでこんなメッセージを送って歩調をあわせている。「安定の自公か、混乱の民共か」「共産党は無責任」「民進党も《改憲勢力》」

自民党が争点化を回避したのは憲法だけではない。社会保障や経済の分野でもだ。
「子供の貧困を解消したい。給食費も払えない子供がいる。これは政治の責任だ」
「若者の所得が低いことが、結婚や出産を遅らせる原因になっている。非正規の若者賃金をあげる。同一賃金、同一労働を進めていく」
安倍首相の前で、こう声を張ったのは、東京選挙区から立候補した自民党の中川雅治さんだった。
貧困の解消、格差の是正、非正規雇用……。これまで野党、とりわけリベラル派に分類される議員が熱心に取り組んできた社会問題に言及し、彼らの主張も取り入れる。
いち早く、国民の関心が高い消費税増税延期を決断し、とりわけ安倍政権のもとで弱いと指摘され続けてきた再分配政策、労働問題にも積極的に言及することで、争点の無効化に成功した。

民進党に別のマクロ経済政策があれば、まだ対抗軸が打ち出せたかもしれない。2015年末、民主党時代にリベラル派の学者グループからこんな指摘も受けていた。

「かりに「消費増税の延期」を安倍首相が言い出したら、民主党サイドからできる手は事実上なくなる」

彼らの指摘は当たった。自民党の主張はとても「リベラル」になり、野党のお株を奪った。

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最終更新:7月11日(月)12時36分

BuzzFeed Japan