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平井堅、「Ken's Bar 2016」 織姫と彦星に大人の夜を演出

MusicVoice 7/11(月) 18:21配信

 シンガーソングライターの平井堅が7日、千葉・幕張メッセで『Ken's Bar 2016』を開催した。98年5月に第1回が開かれた『Ken's Bar』は、大人の空間を演出したコンセプトライブ。この日もアコースティック編成で、1st Stageと2nd Stageの2部をおこない、全17曲を披露した。6日にリリースされたばかりの9thアルバム『THE STILL LIFE』からの新曲や、カバー曲、更には訪れた観客からのリクエストソングを見事に歌い上げた。織姫と彦星が肩を寄せ合う七夕に、その圧倒的な歌唱力と、澄んだ歌声で素敵な大人の夜を演出した。

 この日は茹だるような真夏日、日が落ちても半袖1枚で過ごせる熱帯夜となった。千葉市美浜区の海浜幕張駅からほど近い会場には、煌びやかなドレスで着飾った貴婦人などが集い、七夕の夜を彩っていた。会場のステージ前にはテーブル席も設けられ、大人の夜を演出していた。

 海岸にあるバーを模したステージに、ピアニストとギタリストが真っ白な衣装に白いパナマ帽を被った出で立ちで登場し、それぞれが中央に設置されたピアノと、1人掛けソファに腰かけスタンバイする。少し遅れて、紫のシャツを着た平井堅が登場。観客から歓声が上がり、拍手が巻き起こった。

 平井の歌い出しから「思いがかさなるその前に…」を披露。真夏の熱帯夜に優しく染み渡る歌声に観客は静かに聴き入る。続けてピアノの伴奏とともに「君の好きなとこ」を演奏。出番を待つギタリストは、ステージ右奥に設けられたバーのカウンターに腕を掛け、バーテンダーが作るカクテルを受け取るなど、細部にまでこだわった演出で、会場が本当のバーのように寛げる空間になっていた。平井はピアノ伴奏に乗せて見事なファルセットを披露し、会場は大きな拍手で応えた。

 ここで平井が「Ken's Barへようこそ!」と挨拶。まずは「平日の、なかなかこのアクセス大変なところに、こんなにたくさんのお客さんに来て頂いて本当にありがとうございます」とお礼を述べた。「今日は皆さんご存知の通り、七夕でございまして年に1回、“彦摩呂”と織姫じゃなかった、彦星と織姫が出会うロマンチックな夜です。今宵は僕が歌の“彦摩呂”じゃなかった、彦星として皆さんに命がけで愛を届けようと思います」と一笑いを入れながら今夜の意気込みを語った。会場は瞬時に和やかな雰囲気に包まれた。

 平井の「『Ken's Bar』(1st STAGE)は、楽器1本と歌だけでどれくらいいけるかという、トライということで」との言葉通り、1998年のモーニング娘。のヒットシングル「抱いて HOLD ON ME!」をパーカッションのみの演奏の中、アカペラでカバー。曲のイメージをガラリと変えた、平井のズバ抜けた歌唱力でのみ成立する大胆なアレンジで披露した。打って変わって、今なおヒットを続ける俳優・桐谷健太扮する“浦ちゃん”こと浦島太郎の「海の声」を、ギターの弾き語りで歌い上げた。青い照明に照らされたステージが南国の海岸を想起させる。

 そして、5月に発売されたシングル「Plus One」をウッドベースとともに披露。野太く会場に響き渡るベースラインに平井の透き通る歌声が乗り、極上のダンスミュージックに昇華する。続けて6日にリリースされたばかりの9thアルバム『THE STILL LIFE』に収録されている「かわいいの妖怪」をエレキベースとカホンによる演奏で歌唱。小気味の良いリズムとメロディに観客からも手拍子が起きた。

 平井は『THE STILL LIFE』と「かわいいの妖怪」について「今回のアルバムは、柔らかいものは、より柔らかく、鋭利なものはより鋭くというような物事の持つ二面性を、より色濃く表したものだと自分では思っています。その毒っ気のある、鋭利な面を担った曲」と語った。

 1st Stageの最後の曲は同アルバムに収録されている「魔法って言っていいかな?」をギターの弾き語りで披露。『THE STILL LIFE』の柔らかな面を担う曲であろう、想い人との思い出と純粋な気持ちの歌詞を、優しいメロディに乗せて平井のハイトーンボイスで歌い上げた。

 2nd Stageでは平井が演奏陣とお揃いの真っ白な衣装で登場。少し斜めに被った白いパナマ帽が、平井の大人の魅力を引き立てていた。観客からの拍手が静まると、2000年のシングル「even if」を演奏。切ない片思いをバーという舞台で綴る歌詞と、切ないメロディラインが観客の涙腺を刺激した。続いて、米歌手ジャネット・ジャクソンの「Doesn't Really Matter」を英語でカバー。ギターのカッテングが心地よく響き、本家とはまた違った趣の歌声に観客も酔いしれた。

 そして、今回はリハーサル前日に急遽やることを決めたという、リクエストコーナー。観客席に向かって、平井がバズーカに込められたゴムボールを打ち込みそれをキャッチした観客が、平井のオリジナル曲のリクエストし、それを平井が歌うというもの。ボールは観客席中央あたりまで飛び、ゴムボールをキャッチした観客は、2011年の8thアルバム『JAPANESE SINGER』収録の「お願いジュリー☆」をリクエスト。アッパーチューンをギター演奏に乗せて披露し、観客からも自然と手拍子が起こった。

 続いて左手2階席後列までボールを飛ばし、観客からのリクエスト2004年の6thアルバム『SENTIMENTALovers』収録の「センチメンタル」を演奏。壮大なサビと平井の歌唱力に観客は圧倒された。

 平井は、5年ぶりとなった新作とその5年間について「ずっと僕自身との闘いの5年間でした。“平井堅”という作品を揺さぶり続けて、何かまだあるだろうと問い続けた5年間だったような気がしています」と語り、その沈黙の5年間を破る口火となったという曲「告白」を披露。ここからは演奏陣が勢ぞろいし、バンド形式で演奏。曲の輪郭をより際立たせた。

 そして、平井は「また遊びに来てください、今日はどうもありがとうございました」と感謝を述べ、最後に2005年のシングル「POP STAR」を演奏。ステージにはアライグマとモグラの着ぐるみを着たダンサーが現れ、サビで踊りを披露。2階席まで観客が総立ちとなり振付をともに踊り、観客の笑顔であふれたまま本編を終えた。

 鳴りやまない拍手がアンコールとなり、再び演奏陣が登場。会場が拍手に包まれ、平井は黒い衣装で現れた。そのまま『THE STILL LIFE』より、「TIME」を演奏。平井は「柔らかい、陽だまり的な曲を書いてると、僕も日々を大切に生きた方がいいなと思います。きっとそれが歌にも表れるだろうし。だから皆さん、日々その中で隣にいる人を大切にしてほしいと思います。それが人生で一番大切なこと」と語り、同アルバムより「それでいいな」を演奏。大事な人と過ごす日々を改めて噛み占める歌詞を、ピアノの伴奏とともに優しいメロディに乗せて歌い上げた。

 平井は鳴りやまない歓声と、スタンディングオベーションをさえぎり、マイクなしで「今日は皆さんありがとうございました、ニューアルバムよろしく!」と会場に響き渡る大きな声で挨拶し、ステージを去った。聴き耳を立てた観客は、それに応えるように再び拍手喝采を平井に送った。

 デビューから20年以上経ち、未だにその第一線で活躍し続ける平井堅の真価を感じさせる一夜だった。また何度も足を運ぶ観客も彼の魅力を十二分に分かっているし、『Ken's Bar』の評判の高さを実感した。観客とアーティストが、この素晴らしい空間を幕張メッセという大規模な場所で作り上げるところに音楽の力の偉大さを知った。これから更に高みへと踏み出した“平井堅”という作品に期待したい。(取材・松尾模糊)

■セットリスト

平井堅 「Ken’s Bar 2016」
2016年7月7日@千葉・幕張メッセ・イベントホール

(1st Stage)
01.思いがかさなるその前に・・・
02.君の好きなとこ
03.抱いて HOLD ON ME!(モーニング娘。 カバー)
04.海の声(浦島太郎=桐谷健太 カバー)
05.Plus One
06.かわいいの妖怪
07.魔法って言っていいかな?

(2nd Stage)
08.even if
09.Doesn't Really Matter(JANET JACKSON カバー)
10.お願いジュリー☆
11.センチメンタル
12.告白
13.style
14.ONAIR
15.POP STAR

Encore
en1.TIME
en2.それでいいな

最終更新:7/11(月) 18:21

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