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歌詞をビジュアライズする「Lyric speaker」は音楽エンタメをどのように変えるのか?

SENSORS 7月11日(月)13時30分配信

スピーカーで再生した楽曲が、音楽として流れるだけでなく、独自のモーショングラフィック技術と搭載された透過スクリーンによって、歌詞を目で見て楽しむことができる「Lyric speaker」。開発にあたって込めた思いを株式会社SIX 斉藤迅氏に伺った。

音楽の楽しみ方は、時代とともに大きく変化してきた。 アーティストによるライブ演奏はもちろん、レコードやカセット、CDなど、音楽をフィジカルなものとして手元におき楽しむ時代から、現在ではストリーミングによるより手軽な、かつ自分の好みに最適化された音楽が私たちの元に届けられる時代となった。 その中で、便利になった反面、失われてしまった体験があるかもしれない。それは「歌詞カードを見ながら曲を聴く」という、アーティストが楽曲に言葉として込めた情景を直接受け取る体験である。

そんな状況に改めて問いを投げかけ、忘れてしまった音楽体験を今の時代に即した形で再提案するのが「Lyric speaker」だ。 このスピーカーで再生した楽曲は、ただ音楽として流れるだけでなく、独自のモーショングラフィック技術と搭載された透過スクリーンによって、歌詞を目で見て楽しむことができる。 音楽と映画とスタートアップの祭典・SXSWのアクセラレーターコンペティションでは2015年、日本発の企業としては初めてのファイナリストに選ばれ、国内だけでなく海外でも高い評価を受けている。 そしてこの度この「Lyric speaker」が三越伊勢丹にて先行予約販売を行うこととなった(現在伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店およびオンラインショッピングにてプレオーダー中・9月中旬以降お届け)。 開発を担当したのは株式会社SIXのクリエイティブディレクター斉藤迅氏。自身の「歌詞」に対する想いと開発にあたって「Lyric speaker」に込めた想いについて伺った。

音楽を構成する「歌詞」とその力

--今年の5月には『一瞬でやる気を引き出す38のスイッチソング』(文響社刊)と言う本を出されるなど、歌詞と音楽の関係について提案することが一つの活動の軸として確立されているようにお見受けしたのですが、斉藤さんの考える「歌詞」の力についてお伺いしたいです。いつ頃から「歌詞」に注目するようになったのでしょうか。

斉藤: 僕は中学生の頃から音楽活動をしていました。高校時代はインストルメンタルやノイズ、歌詞もわからずに聴いている洋楽ロックが好きなジャンルで、僕にとってもっとも音楽に魅了されている部分は、そのメロディやバンドのあり方でした。しかし、浪人時代に謎にスパルタ式の予備校にうっかり入ってしまい、自由な外出がほぼ出来ずにひたすら寮の中で勉強し続ける、という修行のような日々があり、それがひとつのきっかけで音楽の聴き方が変わりました。
その予備校の寮は、ディズニーランドのすぐそばにあり、毎晩、遊園地の花火が窓の外に見える中、自分たち予備校生は1日中ずっと勉強するような環境で、なんともストイックにならざるをえない日々だったんですが、その頃、寮の仲間たちがみんな、やたらと熱い音楽を聴くようになっていって、みんなそれで辛い日々を乗り越えていくというところがあって。辛くなり過ぎても、音楽を聴いているとなんとかなる、という毎日の中、歌詞って気持ちを盛り上げてくれる凄いパワーがあるんだな、と痛感しました。

その後、そんな歌詞の強い音楽への魅力に興味を持ち、THA BLUE HERBなどの力強いリリックのグループや、はっぴいえんどなど歌詞による豊かな世界を構築している音楽の魅力が深く心にしみるようになり、歌詞を大切にした音楽の魅力が、わかって行きました。
そして、ここ数年は、自分自身もP-VINEやJETSETなどからシングルやアルバムをリリースできる機会に恵まれたのですが、昨年、ソウルシンガーの藤井洋平さんをフィーチャリングした楽曲をリリースした中でも、歌詞づくりって音楽の中のかなり大きな要素を占めている、ということに改めて気づきました。長い時間をかけて藤井さんとのコラボ曲を作ったのですが、歌詞がハマらないと歌がはまらない、ということで、曲作りの中でもっとも時間をかけた部分は歌詞でした。そう思うと、きっと、多くのミュージシャンにとって、歌詞づくりはメロディーづくりと同じくらい熱量が篭っているものなのでは、と思いました。そうすると、詞世界を余すところなく伝えることのできるデバイスというのはミュージシャンにとっても、リスナーにとっても非常に有意義なことではないかと思いました。

--『一瞬でやる気を引き出す38のスイッチソング』ではさまざまなアーティストが書いた歌詞を紹介するなかで、そのアーティストが置かれていた状況やエピソードを盛り込んでいらっしゃいますが、そういったバックグラウンドについて知ることも大事なのでしょうか。

斉藤: 歌詞のテーマには、恋愛模様のちょっとした心の機微だったり、60年代ロックの「社会を変えよう!」というような大きなものもあると思いますが、共通しているのは、ミュージシャンや作詞家が毎日の中で感じてきたことを、3分程度の楽曲の中に凝縮して表現した言葉であることだと思います。心に浮かんだイメージを短歌のように短い言葉の中に詰め込んだものなのだと思います。
そんな歌詞という芸術の中で、ミュージシャンのバックグラウンドや、どうやってその歌が歌われているのか、というコンテキストを知ることは、その歌詞をより味わい深く楽しむきっかけになると思います。
音楽の楽しみ方はいろいろありますが、ミュージシャンが乗り越えてきた軌跡だったり、生き様だったり、そういうリアルなストーリーに共感し、さらに、そして歌った言葉がこれなんだ。そんな視点で音楽を聴くのは、「曲がカッコイイ!」とはまた一味違う、深い味わいがあると思います。

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最終更新:7月11日(月)13時30分

SENSORS

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