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さかいゆう、高密度な音楽と歌で魅せた「4YU」ツアー終幕

MusicVoice 7/11(月) 18:42配信

 歌手でシンガーソングライターのさかいゆうが3日、東京・昭和女子大学人見記念講堂で全国ツアー『TOUR2016 “4YU”』の最終公演をおこなった。このツアーは2月にリリースされたアルバム『4YU』を引っさげ、6月17日の札幌を皮切りに、全国6カ所で展開。この日は『4YU』の楽曲を中心に、カバー曲、新曲「But It's OK !」を初演奏するなど、アンコールを含め全18曲を熱唱。さかいゆうのソウルフルな歌声で観客を魅了した。また、12月21日に大阪・NHK大阪ホール、25日には東京・中野サンプラザでスペシャルライブ「“POP TO THE WORLD”SPECIAL」をおこなうことも発表した。

 世田谷区三軒茶屋にある昭和女子大学の、クラシック演奏も多々おこなわれてきた由緒あるホール、人見記念講堂には先日他界した故・PRINCEさんの音楽が流れていた。これから始まるライブへの期待感が高まる中、開演が迫るにつれ2000人のオーディエンスによって会場は埋め尽くされていった。

 開演を告げるアナウンスが流れ、定刻を少々過ぎたところで暗転。オープニングSEである今回のツアーテーマソングに乗って、まずはバンドメンバーがステージに登場。流れるSEに合わせて生演奏を加え彩っていく中、さかいが登場。オーディエンスの大歓声と拍手でホールは包まれた。「さあ始めよう♪」と歌うSEが終了すると、さかいの力強い鍵盤のイントロがホールならではのリバーブ感に包まれ響き渡った。

 オープニングナンバーはニューアルバム『4YU』1曲目の「SO RUN」。イントロでさかいは「東京!!」と叫ぶ。オーディエンスは、さかいの伸びやかでクリアな歌声に冒頭から魅了された。1曲目らしく、疾走感あるパワフルな楽曲でオーディエンスの心を掴んでいくと、続けて「トウキョーSOUL」を演奏。絶妙にバウンスしたリズムによって心と体が躍る感覚に酔いしれた。

 「(ツアー)ファイナル、声を聞かせてくれよ!」とさかいがオーディエンスに投げかけ、コールアンドレスポンスで会場を盛り上げていく。更に「どいつもこいつも騒げ!」と叫んで始めたのは「Doki Doki」。タイトルのように“ドキドキ”するような、躍動感あふれる演奏と歌に酔いしれる。続けて「サマーアゲイン」を披露。力強くセクシーな歌声でこの夏を彩っていく。オーディエンスも一緒に掛け声を入れて盛り上がり、高揚感を得ている様子。

 ここでMCを挟む。「『4YU』はいろんな要素が詰まったアルバム。いろんな人が聴いてくれて嬉しいです。さかいゆうが好きっていうのは、割と変わり者ですからね。(お客さん同士で)仲良くしてくれれば、それが僕が一番嬉しいことですね」と自虐ネタも盛り込みながら、会場を楽しませた。

 MCに続いて「愛は急がず -Oh Girl-」を演奏。さかいが「(曲は)一見簡単そうに聞こえるけど、お前の曲は演奏すると難しんだよとバンドメンバーにいつも文句を言われる」と話していたように、熟練のスキルによる完成度の高い演奏で、オーディエンスを魅了した。続けて、ジャジーな雰囲気を持つ「下剋情緒」、熱いギターソロがハイライトの「あるギタリストの恋」と緩急をつけダイナミックな歌声でライブを展開していく。

 ここからアコースティックコーナーへ。さかいの憧れのボーカリストでもあるサポートメンバーの高宮マキとデュエットで「Life is」を披露。高宮の日本人離れしたソウルフルな歌声と、さかいの芯のあるシルキーな歌声が合わさって優雅な空間を作り上げていった。Fender Rhodesの音色が印象的に響く「薔薇とローズ」では、サポートメンバーの吉岡悠歩を加え、絶妙なコーラスワークで楽曲を彩っていく。声と鍵盤だけというシンプルな構成で、歌の持つ力を体現していくようだった。

 そして、カバー曲コーナーへ。小沢健二 featuring スチャダラパーの「今夜はブギーバック(NICE VOCAL)」をピアノをフィーチャーしたアレンジでスタイリッシュに聴かせた。高知県出身のさかいは、高知県民謡の「よさこい鳴子踊り」をパワフルさを残しながらも、さかいらしいAORアレンジで展開。そして、MISIAのデビュー曲「つつみ込むように…」では、体が跳ねるようなグルーヴの中、さかいのファルセット(裏声)が美しく印象的にホールに響き渡った。

 2001年、アメリカに留学していた時に良く聴いたセンテンス「アメリカ イズ ジャスティス」という言葉から15年越しに作った曲だという「SELFISH JUSTICE」を披露。さかいは独り言のようなモヤモヤした曲と話したが、サウンドは熱いメリハリの効いた前衛的なアレンジで、コンテンポラリーでエネルギッシュな演奏で魅了。起承転結のある楽曲構成で、JUSTICEという言葉の重みを体現しているかのような歌と演奏に、オーディエンスも圧倒されていた。

 クリムゾンレッドの照明によってステージが真っ赤に染まり、アコースティックギターの音色が情熱的に響く「愛は微熱」を演奏。「あっという間でした、次の曲で最後です」と眩いライティングの中、大地を踏みしめるような力強さを感じる新曲「再燃SHOW」を披露。4つ打ちロック要素を彷彿とさせる、開放感あふれるナンバーで本編を終了した。

 アンコールを求める手拍子が鳴り響く。再びステージに戻ってきたさかいとバンドメンバーたち。アンコール1曲目はPrinceの「Purple Rain」。熱いコーラスワークで彩られ、圧倒的なスケール感、原曲の持つ良さを更にブラッシュアップし、さかいらしさを前面に押し出した演奏に耳を奪われた。

 そして、7月10日(日)スタートのNHKプレミアムドラマ『受験のシンデレラ』の主題歌に決まった新曲「But It' s OK !」を初演奏。オーバードライブしたギターとドラムの高速なハイハットワークが曲の疾走感を強調し、さかいの歌声もアクセントを強めにパワフルに響く。さかいは「この曲だけ緊張しちゃった。もう一回やりたいぐらい」と初演奏の楽曲に緊張したことを、ユーモアを交え話した。

 「最後はゆっくりと聴いて欲しい」とラストはペルシア語で“天からの贈り物”という意味を持つ「ジャスミン」を披露。「大切なジャスミンを想いうかべながら聴いてください。自分は僕のジャスミンを想像しながら歌います」とさかい。ゆったりとしたリズムと音にホールが包まれる。訪れたオーディエンスに語りかけるように、歌うさかいの声が響き渡った。曲のアウトロが流れる中、さかいが「言ってないことがありました。僕のジャスミンはあなた方だ!! ありがとう」と力強い声で叫び、『TOUR2016 “4YU“』の幕を閉じた。

 類稀なる歌声は、いつまでも聴いていたくなる。時に力強く、時に優しく表情を変え聴くものをさかいゆうの世界観に惹きつけていく。音楽と歌の力を再確認したライブであった。12月21日・25日には大阪と東京でスペシャルライブ「“POP TO THE WORLD”SPECIAL」も決定し、どのような歌と演奏で楽しませてくれるのか期待は高まるばかりだ。(取材・村上順一)

■セットリスト

さかいゆう TOUR2016 “4YU” 
7月3日 昭和女子大学 人見記念講堂

1.SO RUN
2.トウキョーSOUL
3.Doki Doki
4.サマーアゲイン
5.愛は急がず -Oh Girl-
6.下剋情緒
7.あるギタリストの恋
8.Life is(アコースティックver)
9.薔薇とローズ(アコースティックver)
10.今夜はブギーバック(NICE VOCAL)(小沢健二 featuring スチャダラパー カバー)
11.よさこい鳴子踊り(高知県民謡)
12.つつみ込むように…(MISIA カバー)
13.SELFISH JUSTICE
14.愛は微熱
15.再燃SHOW ※新曲

ENCORE

EN1.Purple Rain(Princeカバー)
EN2.But It's OK ! ※NHK プレミアムドラマ『受験のシンデレラ』主題歌
EN3.ジャスミン

最終更新:7/11(月) 18:42

MusicVoice