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THAAD配備で韓国経済を窮地に 中国が切る五つの報復カード

ハンギョレ新聞 7月11日(月)11時56分配信

中国と香港で韓国の対外貿易の31.8% 外国人観光客の45%、平均支出の5倍消費 通関検査強化と観光客統制、韓国企業取り締まり 高強度経済制裁せずとも韓国の地位失墜は不可避

 韓米政府が高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)配備の方針を発表すると、中国の習近平国家主席が側近数人を執務室に呼んだ。「中韓関係の悪化が長期化するのは望ましくないと思いますが、出口を探るべき時が来たようです。韓国の急所を探してみます。核心は3つ。速戰、速決、快復。韓国が話を理解できないなら、米国を直接相手にしなければなりません。米国の考えを変えるには、ロシアと手を握り戦略的に対応することが必要です。韓国には経済的圧迫で、米国には戦略的圧迫で対応しましょう」。平和ネットワークのチョン・ウクシク代表が最近出した朝鮮半島情勢に関連した仮想小説『言葉と劍』で書かれたTHAAD配備決定直後の中国の動きだ。フィクションと笑って見過ごせることではない。

 習主席は3月30日、米国ワシントンの核安保首脳会議を契機に行われた韓中、米中首脳会談で、THAAD配備反対の意志を繰り返し明らかにした。ロシアのウラジミール・プーチン大統領との首脳会談(6月25日)では、「THAADの朝鮮半島配備は、中ロの戦略的利益を損なう」という共同声明を発表し共助を誓った。

 習主席のこうした態度からして、韓米のTHAAD配備強行に対して、中国は口先だけの反対にはとどまらないだろうというのが専門家らの評価だ。実際、中国共産党機関紙の人民日報姉妹紙、環球時報は、9日付社説で「5つの対応方案」を中国政府に建議した。THAAD配備に関与した韓国政府、企業、政治家の中国入国遮断および制裁、「北朝鮮制裁」再検討などが核心だ。大胆に要約すれば「北朝鮮制裁」から抜け出し「韓国制裁」へと政策の重点を移すべきだという提案だ。

 THAAD論議と関連して、韓国政府と財界が最も憂慮しているのが経済制裁だ。中国は韓国にとって圧倒的1位の輸出対象国(26%、2015年基準)だが、香港(5.8%)まで加えればその比重は31.8%に至る。昨年来韓した外国人観光客の45%(600万人)が中国人であり、外国人観光客1人当りの平均支出(400ドル)の5倍を消費する「大得意」だ。中国資本が保有する韓国国債など上場債権の規模は17兆5千億ウォン(18.1%・1兆5300億円)で、もちろん国家別順位1位だ。中国に進出した韓国企業は2万3千カ所余り(2013年基準)に達する。中国が制裁を行えば、韓国経済は致命傷を避け難い。中国に進出したある韓国企業の関係者は10日、「2010年の釣魚島事件の後、日本の対中国輸出、投資、中国人韓国客流入などが一斉に急減し、中国の輸入国1位が日本から韓国に変わった」として「韓中両国は政治・経済などすべての領域で関係が密接で、THAADの配備により相当な影響を受けざるをえない」と憂慮した。

 中国が経済制裁に活用する政策手段は5つほどあると、亜洲大中国政策研究所のキム・フンギュ所長と檀国大国際大学院のチェ・ジヨン教授が「THAAD導入論争と中国の韓国に対する経済報復可能性の検討」という報告書で指摘した。第一に、韓国産製品の通関、衛生検査など非関税障壁の強化、第二に、観光商品の中断とビザ発行遅延など中国人観光客の統制、第三に、官営メディアなどを活用した不買運動と韓国企業のイメージダウン広報、第四に、中国に進出した韓国企業に対する標的取り締まり、第五に、債権をはじめとする韓国金融市場に進出した中国資本の撤収などがそれだ。両教授は「中国資本の撤収は波紋があまりに大きい」として「最も容易なのは非関税障壁の強化と観光客統制で、次いで反韓感情の活用、韓国企業取り締まりの順と予想される」と指摘した。ただし、「中国はTHAADを巡る軋轢を米国との直談判で解決する側に方向を定めたと判断する」とし、中国が韓国を相手に高強度の経済制裁には出られないかもしれないと但し書を付けた。この場合にも「朝鮮半島問題について中国が韓国を責任ある対話相手とは見なさないという意味」であり、むしろ一層深刻な問題だと二人の教授は憂慮した。

イ・ジェフン記者、北京/キム・ウェヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:7月11日(月)11時56分

ハンギョレ新聞