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文字通り「本に埋もれて死んだ」古書店主 死後、見つかった妻への手紙が感動呼ぶ 大阪・青空書房

withnews 7月13日(水)7時0分配信

 「本に埋もれて死ねたらええ」。大阪で知る人ぞ知る古本屋「青空書房」の坂本健一さんが93歳で亡くなりました。生前の言葉通り、本が山積みの店舗兼自宅で息を引き取りました。戦時中は論語に詩集をはさんで出陣。約70年間、大阪・天神橋筋商店街の近くで小さな店を営み、文豪から若者まで愛された人でした。本の山から見つかった遺言書には、亡き妻への温かい言葉がつづられていました。(朝日新聞大阪本社社会部記者・宮崎園子)

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遺言書に《死んだら葬式するな》

 亡くなったのは7月2日、心筋梗塞(こうそく)でした。家族が見つけた遺言書には、《父が死んだら葬式するな ひとに知らさず直葬にしなさい》。4日、家族や友人ら約20人に見守られて、荼毘(だび)に付されました。

 坂本さんの訃報を受けて、ネットに突然の死を惜しむ声があふれました。「坂本さんの言葉や背中に励まされたひとは多い。僕もその一人」「本の魅力をたくさん伝えてくださってありがとうございました」「悲しくて、心にぽっかりと穴が開いたような気分です」。亡くなったいまも、店を訪ねる人が後を絶ちません。

休みを知らせる手書きのポスターでブレーク

 坂本さんを一躍有名にしたのは、休業日に毎週手描し、下ろしたシャッターに貼り出した「ほんじつ休ませて戴きます」のポスターでした。70代まで無休でしたが、通院などから定休日を設けることになり、「知らずに来る人に申し訳ない」と始めたそうです。

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《感動のない人生なんてあんこの入ってない鯛焼き》(2012年4月1日)
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 四季折々の味のあるイラストに、大阪への愛や社会風刺あふれるひと言。これを見たいがために、わざわざ店が休みの日にやって来る人も現れました。ブログやSNSに投稿する人もいて、人気が広がりました。

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最終更新:7月13日(水)10時58分

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