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有機EL曲面デジタルサイネージ、DNPが導入

EE Times Japan 7月12日(火)9時58分配信

■臨場感や没入感を体感できる

 大日本印刷(DNP)とLGエレクトロニクス・ジャパンは2016年7月11日、大型有機EL曲面デジタルサイネージに関する記者発表会を東京都内で開催した。DNPはLG製有機ELディスプレイを用いた業務用デジタルサイネージ事業を2016年10月より始める。LGグループはこれを機に、日本市場において有機ELを活用したデジタルサイネージ事業を本格展開する。

 DNPは、同事業を本格展開するため、同社五反田ビルのショールームに、LG製の55型有機ELパネルを24(4×6)枚組み合わせた約225型の曲面デジタルサイネージを設置した。55型有機ELパネルは4枚1セットで用いると4K映像に対応できる画面サイズとなる。今回はこれを6セット組み合わせており、解像度は7680×6480画素となる。映像表示領域寸法は4920×4231×25mm。映像表示領域面積は約20.8m2である。

■日本市場で初設置、世界でも3例目

 LGグループはこれまで、大型有機ELディスプレイを用いた大型曲面デジタルサイネージ装置を韓国の仁川国際空港と南山タワー(ソウル)に設置している。DNPは世界でも3番目の導入事例であり、日本市場では初めてのケースになるという。

 記者発表会には、DNPで常務取締役を務める北島元治氏や、デジタルサイネージ推進本部の本部長を務める閑郁文氏、LGエレクトロニクス・ジャパンの社長を務める李仁奎(イ・インギュ)氏らが出席し、デジタルサイネージ事業への取り組みや日本市場における事業戦略などについて語った。

 デジタルサイネージ装置は、屋外や店頭、公共空間、交通機関などに設置され、企業のブランディングや販売促進、広告、災害・緊急時の情報提供など、さまざまな目的で利用されている。こうした中でDNPは、デジタルサイネージ事業として、機器の販売、供給にとどまらず、コンサルティングや設置、施工、コンテンツ制作および、配信、運用、保守まで、総合的に支援するサービス体制を整えている。

■有機ELの強み、「漆黒」を表現

 同社五反田ビルのショールームに導入した最新の曲面デジタルサイネージは、アーチ状の曲面対応となっている。桜や雪、落ち葉などの映像シーンでは、空から舞い落ちる演出を可能とした。これによって視聴者は、臨場感や没入感を体感できるという。また、液晶ディスプレイに比べて、「漆黒」などの色表現力に優れ、コントラスト比は100万対1以上、応答速度は約1000倍以上といった特長がある。DNPの北島氏は、「柔軟なディスプレイ装置のデザインと、高画質な映像コンテンツを実現できる」と、大型有機ELを用いた曲面デジタルサイネージの特長を話す。

 なお、製品化時における曲面デジタルサイネージの価格は未定だが、目安として同等サイズの液晶ディスプレイを用いた場合に比べて、当初は3~4倍を価格を想定している。消費電力はほぼ同等と見込む。輝度は約400nitである。

■空間演出を豊かに! 独自コンテンツも容易

 DNPは、ディスプレイの特長を生かすための独自コンテンツも用意した。その1つは「京都・文化遺産アーカイブプロジェクト」の4K特別映像および8K映像を新たに編集した「京 春夏秋冬」である。もう1つはフランス国立図書館(BnF)が所蔵する地球儀・天球儀の3Dデジタルアーカイブデータから制作した超高解像度映像である。顧客から要求があればオリジナル映像の受託制作も行う予定である。

 DNPは、2016年10月を目標に、今回導入した最新の曲面デジタルサイネージを製品化する計画だ。大型商業施設や公共交通機関、オフィスビルやマンションのエントランスなどに向けて販売する。関連する製品やコンテンツ、サービスを含め、2019年度には20億円の売上高を目指す。特に、期待している利用目的として、空間演出(アンビエント)やブランディング、広告などを上位に挙げた。また、DNPの強みとして、顧客が有する素材データを有効的に2次利用する「ワンソースマルチユース」の展開が可能なことを強調した。

LG、日本のデジタルサイネージ市場に本格進出

 LGエレクトロニクス・ジャパンの李氏は、「当社は2013年1月に世界初となる民生用55型有機ELテレビを発表した。2015年5月には日本市場でも有機ELテレビを発売した。大型曲面デジタルサイネージ向け製品としては、2015年11月に韓国仁川国際空港へ納入した。本日をもって日本のデジタルサイネージ市場に本格参入する」と語った。

 有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイに比べて、「コントラストが高く色再現性に優れている」「視野角が広い」「薄型で曲面形状が可能」「軽量で設置場所の制限が少ない」といった利点がある。「新たなビジネスを創出できる素材である。視聴者に対しても新たな満足と感動を与えることができる」(李氏)として、新規の用途開拓を積極的に展開していく方針である。

最終更新:7月12日(火)9時58分

EE Times Japan