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【インタビュー】ふくろうず「ちがった世界に行ってもらえたら」

BARKS 7月13日(水)10時49分配信

内田万里(Vo&Key)、石井竜太(G)、安西卓丸(B)からなる3ピースバンド ふくろうずが、7月13日にレーベル移籍第一弾アルバム『だって、あたしたちエバーグリーン』をリリースした。

◆「うららのLa」ミュージックビデオ/アルバムジャケット

内田が好む、少女趣味な世界が全面に押し出されたドリーミーなサウンドと、何かをなくしてしまうことを綴った歌詞で構成された今作のテーマは“夜の遊園地”だ。このアルバムを聴いたときに「ほんとに少しでいいので、ちがった世界に行ってもらえたら」と彼女は語る。美しさと妖しさが共存するその場所で、あなたを待つのはどんな物語だろう?

  ◆  ◆  ◆

■コンセプトがあるアルバム、一貫性のあるものが作りたくて

――最新作『だって、あたしたちエバーグリーン』が完成しました。とても濃くて、ファンタスティックな世界観で頭から終わりまでどっぷりと浸かれるアルバムになっていますね。今回はテーマとしたことはどんなことですか。

内田:夜の遊園地っぽいイメージを持って。ドリーミーな感じにしたかったので、聴いていただいてそういう雰囲気を感じとっていただけたのなら、うれしいです。

――その、“夜の遊園地”というのは?

内田:もともとそういう世界が好きなんです。今回は、コンセプトがあるアルバム、一貫性のあるものが作りたくて。どんなテーマにしようって思った時に、ふくろうずというバンドだし、夜っぽいもので……遊園地が特別好きなわけではないんですけど、夜の遊園地って雰囲気がいいし。イメージがわきやすいテーマだなと思ったんです。

――夜の遊園地でも、人のいないような哀愁感のある遊園地ですよね。

内田:じつは最初は、ディズニーランドっぽい感じをイメージしていたんですけど、もともとディズニーランドにあまり行ったことがなかった(笑)。なので、自分のなかにある夜の遊園地のイメージが、人がいないような、しかもそんなに派手じゃなくていかにも潰れそうな、みたいなものに自然となっていきました。

――コンセプトが決まって、最初に作った曲はどの曲なんでしょう。

内田:「白いシャトー」と「メリーゴーランド」はもともとあった曲だったんです。それもあって、夜の遊園地が出てきたのかもしれないですね。最後の「エバーグリーン」という曲もあったんです。「エバーグリーン」は世界が終わるみたいな歌詞の内容なんですけど、遊園地も、閉園する、終わるイメージと繋がるなと思ったし。テーマが決まって意図的に作ったのは、「ファンタジック/ドラマチック/ララバイ」で、それっぽい曲を作ろうと思って作りました。

――「白いシャトー」はまさにこのアルバムのオープニングにふさわしいサウンドですね。華やかなストリングスや管楽器、ピアノの音色が印象的で、物語を幕開ける曲になっている。

内田:これはかなり自分の趣味が色濃く出た1曲になっていますね。そういう意味では、もともとそういうコンセプトに沿っている曲だったんだと思います。

――曲のきっかけはどういうものでしたか。

内田:突然そういう曲のアイディアが浮かんだんです。ストリングスからはじまるんですけど、そのフレーズもパッと思い浮かんだもので。作るのはまったく苦労しなかったですね。わりと全部のイメージが最初からあって。

――フレーズやアンサンブル、コーラスなどにクラシックの香りが色濃いですね。バンドサウンドとのバランスはどのように考えましたか。

内田:すごくクラシックが好きな親だったので、家ではわりとかかっていたんです。クラシックのオーケストラのものを作りたいと思ったというよりは、小さい時から聴いていたものを自然に出したっていう感じですね。

石井:すっとできた曲だと言っていましたが、全体のアレンジを内田が持ってきたこともあり、ギターも全体的にすっとできた曲だなと思いますね。ということは、自分たちっぽい曲なのかなと思ったりします。

内田:わりとロックなギターを入れてもらったんです。ギターが入らないと、しっとりとした、ストリングスの派手なクラシックっぽい曲になっちゃうので。そこをバンドっぽくするためにドラムもしっかりと叩いてもらったし、ギターもエレキギターを弾いてもらいたいなと思っていました。

――バンドっぽさはもちろん、今回はドラムがより出ている。今までになく全体的にビートが意識されているように思うんです。

安西:それはきっと、その人が出てるのかな(笑)。

内田:出てますね。粗野な感じというか。ラーメンとかすごい食べる人で、そういう感じがドラムに出てる。今回のアルバムは、わたしの少女趣味っぽい世界を全面に出そうとしたので、それだけになってしまうと、ウッとなる人もいると思うんです。ドラムの、男らしさというかドラムらしい感じとか、エレキギターが入ることで少女趣味になり過ぎず、全体のバランスがとれたかなと。バンドらしい成り立ちでできていると思います。

――今回、どなたがドラムを叩いているんですか。

内田:友だちを連れてきて、叩いてもらいました(笑)。

安西:今回は、曲作りの段階からかなり一緒にやっているんですよね。4人でせーのでやる機会が前よりも増えているので。そういうのも、バンドっぽさに表れてるのかなって思います。

内田:普段は、ぱいぱいでか美ちゃんのマネージャーとかをやってるんですよ。結構、面白い友だちで。

――安西さん、石井さんは、ファンタジックに、甘くなりすぎないようにと意識する部分もあるんですか。

安西:なろうと思ってなってないんだと思うんですよ(笑)。これでいいのかなっていう気持ちではありますけどね。

内田:わたしがかなり意図的にやって、他の人たちは自分の持っているものを自然に出してくださいっていう感じですね。一応、夜の遊園地というテーマは共有しながら、自然にやってもらいました。

■なんでも切ないものが好きなんです、漫画でも映画でも小説でも

――前半の曲で、リード曲となる「うららのLa」。これはすごくメロディがグッとくる曲ですね。心地よいループ感のあるビートが歌を引き立てていて、そのキャッチーなメロディが、今までにない歌謡性の高さがあって、新鮮でした。

内田:これは意図したところはありましたね。より多くの人に聴いてもらおうと思って作った曲です。1曲目の「白いシャトー」は自分では好きですけど、必ずしもキャッチーだと思ってもらえないかもなと思うんです。「うららのLa」はある程度、誰が聴いても心地よかったり、キャッチーだと思ってもらえるんじゃないかなと思って。そのへんも、ほんとに多少ですけど意識しながら作りました。

――今回切ない曲が多いですよね? 失っていくものへの気持ちが強いように思うんです。

内田:それも少女趣味っぽいところを出していこうと思ったからだと思いますね。なんでも切ないものが好きなんです、漫画でも映画でも小説でも。でも、一枚目のアルバム『ループする』(2010年)の時から、歌詞に関しては何かをなくしていくっていう内容ばかり書いているので。そういう意味ではあまり変わらないのかもしれないですね。曲を作る動機が、楽しいとかイエーイみたいなのを表現したいというわけではなくて。生きてるとまあ、切ないこととかなんとなくやりきれないこともあるけど、まあまあまあ……みたいな(笑)。そんな感じのことを書くのが好きで。そこらへんは一貫してあると思います。

――そして一方で「マイノリティ」のようなシニカルな曲もできちゃうという。ふくろうずがやる、ポップに毒を巻き散らすこういう曲もまたすごく好きですけどね(笑)。

内田:ガーン(笑)。

安西:はははは。

――くるくると転調していく面白さもある曲ですが、サウンド自体にバンド感と勢いがありますね。レコーディングでもそこは大事にしたんですか。

安西:けだるさみたいなものも出したいなと思ったので、それが出る演奏をしたいなと思ってました。

石井:実はみんなで合わせた時のテイクが採用になっていて。だから勢いありますよね(笑)。スタジオでやってる感じの軽いノリみたいなものが自然に出ていると思います。

内田:ピアノも、みんなと一緒に合わせたテイクがOKテイクになっているので、そういう意味ではいちばんバンド感が出ている演奏になっているかもしれないですね。

――テイクによってはまた全然ちがったフレーズを弾いているようなバージョンも?

石井:そうですね、ニュアンスで内容をガラッと変えてしまう時もスタジオだとたまにあるので。

内田:結構、適当にやりました、キーボードとギターは。

石井 そうそう(笑)。

内田:「白いシャトー」とか「うららのLa」とかは、大げさに言えばちゃんと計算をして、ここにこういうものがくるというように組み立てていますけど、「マイノリティ」は大きな決め事だけあって、あとはかなり自由で。だから、同じプレイは絶対できないです。歌いながら合わせて適当にやっていたものそのままなので、自分で何を弾いているのか把握してないですね(笑)。耳コピを頑張ればCDに近いものにはなると思うんですけど、それも意味がないと思うので。

――そういう話を聞いていると、今回のレコーディングは楽しそうですね。

内田:比較的楽しかったですね。でも、果たして楽しくてよかったのかな?って(笑)。

――いいんじゃないですか(笑)。

内田:バンドが仲悪かったりしたときの方が、いいものできそうかなとか。でも「マイノリティ」はその仲のいい感じや楽しかった感じがいい方向に出たと思います。

――はい、いいレコーディング風景が思い浮かぶアルバムですよ。

石井:はははは。

内田:もちろん、そんなにイヤな感じはなかったですよ(笑)。たまにピリッとなることはありますけどね。

――後半でとてもいいなという曲が「春の王国」で――。

内田:ああ……そうなんですね。

――あれ、そんな反応なんですか。

内田:この曲はアルバムに入れなくてもいいかなという話になっていたんですけど、プロデューサーの方とかが、「入れたほうがいい」って言ってくださったんですよね。やっぱり、他の人の意見は大事だなって。

――童話のような、美しくて情緒的な曲です。心地よく耳に入る曲でありながら、どんどん引き込まれていって、心にずしんと残る曲だと思う。

内田:女の子っぽい曲ですよね。女の子が好きな世界観だと思う。でもそのくらいの思い入れのほうがいい曲だったりするんですよ。メンバーが変に思い入れがありすぎたり、満足しすぎていたりすると、聴く人には押しつけがましかったりとか、情報が多かったりすることがあるので。聴く人がいいと思ってくれるのがいちばんいいので、よかったです。

■めっちゃいい歌詞書けたなと思っているんです

――そして終曲の「エバーグリーン」。シンプルな曲であり歌であるけれど、アルバムのすべてを集約しているような深みある曲ですね。

内田:自分が書きたい歌詞が全部凝縮されているというか。めっちゃいい歌詞書けたなと思っているんです。自分がいちばん向いている歌詞ってこういう歌詞なんじゃなかなって。自分が思ういちばんいいものと、人が思ういいものってちがったりするので、難しいけど。自分らしいですね、歌詞は。

――歌詞の最後の方に、<まだ やってないことあったっけな/全部 やったしやってないって感じ>というフレーズがありますね。これは、自分たちの音楽についてや作品についても触れているんですか。

内田:音楽もそうなんですが、わたし食べることが趣味で。たぶん芸能人の人とかはもっと美味しいもの食べているんだと思うんですけど、わりともう美味しいもの食べたなと思うんですよね(笑)。でも、もしかしたらまだ知らない世界があるだけなのかなあ、とか。

石井:なんだそれは(笑)。

内田:漫画とかも、読み漁っちゃったので。もう面白い漫画全部読んじゃったのかなとか。服もすごく好きなんですけど、もうお洒落も頑張ったかなとか(笑)。音楽に関しては、ちょっと言ってみただけで、もちろん全部やったなんて思っていないですけど。趣味に関しては、やり尽くして息詰まってるところがありまして。

――なんとなく、一巡はしたかなというところなんですね。

内田:自分の手の届く範囲での食べられるものは頑張って行ってみたりもしたし。若干、限界を感じてます(笑)。

――(笑)。アルバムのエンディングであり、映画でエンドロールが流れている感覚に近いんですよね。それも物語がちゃんと着地はしていない感というか、結末をポンと観客に投げるような余韻がある曲になっている。アメリカンニューシネマっぽいエンディングですね。

安西:たしかに(笑)。これから頑張る、なのか、ちがうのか?っていうどっちともとれますよね。

内田:映画でも、そういうタイプの内容の方が好きなんですよね。はっきりとハッピーエンドとかバッドエンドよりも、ちょっとだけモヤっとするというか。なぞかけみたいなものを残した映画がすごく好きなので。

安西:そのほうが、リアルだったりする。

内田:自分のなかにモヤモヤが残るからね。そこまで意図したわけではないんですけど、「エバーグリーン」で終わることにも自分の趣味が出ているんだと思います。でも、ただ暗いだけじゃなく多少なりとも明るい気持ちも込めたし、聴いている人が暗いだけじゃないなって思ったなら、うれしいなって思います。どの曲でもそうですけどね。

――暗さはないですよ、アルバム全体を通して、ちょっとだけ違う世界に入ってみた感覚のアルバムじゃないかなと思います。夜の遊園地というテーマ自体まさにそうで、妖しさや怖い雰囲気もあるけれど、別世界に紛れ込んだようなファンタジー感もあるっていう。

内田:それがいちばん素敵じゃないですか。音楽を聴くとき、少しちがう世界とか、ちがう気分とか、そういうのになりたいから聴くので。このアルバムを聴いてもらって。ほんとに少しでいいので、ちがった世界に行ってもらえたらいいですね。

――今回は移籍第一弾のアルバムでもありますが、そういったことは作品作りに関してなにか影響したことはありますか。

内田:今まではプロデューサーを入れて制作をしたことがなかったんですけど、今回はプロデューサーが入ることが前提だったので、最初はドキドキしたんです。でも今思うと、これはすごくいいことだったのかなって。もちろん大変なことも多少はあったし、最初はわりと人見知りしちゃって、ギクシャクしていたんですけど。最終的に、アレンジに関してはほんとに5人目のメンバーのような感じでしたし。それはちがうなって思うことは、やりたくないと言える関係性にもなったんですよね。

――これまでプロデューサーを立てることはなかったのは、自分たちの音を触られたくなかったからという思いから?

内田:そんな立派なものじゃないんですけどね(笑)。単純に人見知りだとか。

安西:いつもサポートのドラムと4人で入ってるスタジオに、よく知らない人がくるっていうのに抵抗があるとか、その程度のことなんですよ(笑)。

内田:もし自分たちでプロデューサーを入れるとなれば、知っている人にお願いすると思うんですが、今回はレーベルから紹介された面識のない方で。これは今までの自分たちだったらありえないことだからネガティヴな部分は最初にあったんですけど、結果的にすごくよかったと思う。

――第三者がいたことでの発見はありましたか。

内田:曲を作る時の、当たり前のことを指摘してくださるので。それはそうだよなと、素直に思いましたね(笑)。

安西:例えば音色についてとか、あまり自分たちのなかにはないものを提案してもらえたのはよかったです。

内田:「メリーゴーランド」が曲の途中で3拍子になるのは、プロデューサーの提案なんです。遊園地感が出るんじゃないかって言ってくださって。あと、「ダイナソー」はもともとギターはじまりの曲だったんですが、わたしの鍵盤の弾き語りではじめたほうがいいってアドバイスもいただきました。たしかにこの曲は、わたし視点の、ギターが弾けない女の子の曲なのに、ギターからはじまるのは変かもなって思って。根本的なところを納得できる形で言ってくださる方なので、新鮮で面白かったです。

石井:ギターを弾いていても、プロデューサーのテンション上がってくるのがわかる時があるんですよね(笑)。その方自身もプレイヤーでもあるので、ああ今すごいアガってるな、というのが伝わってきて面白かったです。

――アルバムタイトルの『だって、あたしたちエバーグリーン』。これは自分たち自身のことを指したものですか。

内田:ふくろうずのことですね、わりと長くやってきたけれど、まだエバーグリーンだぞって気持ちと。そうはいっても、長くやってきちゃってるよなっていう気持ちとが入ってます(笑)。タイトルやジャケットから、ユーモアとかおしゃれな感じ、ひねくれた感じを受けてもらえたらうれしいなと。

――ばっちり出ていると思います。

内田:それなら幸いです(笑)。

取材・文◎吉羽さおり

New Album『だって、あたしたちエバーグリーン』
2016年7月13日(水)発売 
TKCA-74384 / 2,500円(税込) / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
01. 白いシャトー
02. メリーゴーランド
03. うららのLa
04. マイノリティ
05. ラジオガール
06. ダイナソー
07. ファンタジック/ドラマチック/ララバイ
08. 春の王国
09. 夏のまぼろし
10. 思い出か走馬灯
11. エバーグリーン
作詞・作曲:内田万里 / 編曲:ふくろうず

[ショプ別購入特典]
・タワーレコードオンライン限定
ふくろうずアルバム購入者対象 抽選プレゼント・キャンペーン
ふくろうず直筆サイン入りポスター(A2サイズ)×20名様
抽選対象ご購入期間:2016年7月8日(金)正午12:00まで

・タワーレコード全店(タワーレコードオンライン含む)
内田万里 16.04.24 渋谷7th Floor弾き語りLive音源CD「うららのLa」(春うららバージョン)

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■東名阪ツアー情報
<だって、あなたたちエバーグリーンツアー>
11月17日(木)愛知・池下 CLUB UPSET
11月18日(金)大阪・OSAKA MUSE
11月23日(水・祝)東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO 

最終更新:7月13日(水)10時49分

BARKS