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バツイチの兄が心を病んで、子どもを育てられない…「養子」に出す場合の選択肢は?

弁護士ドットコム 7月12日(火)10時13分配信

「兄が心を病んで、子どもを育てられる状況にない」。そんな嘆きの声がネットの掲示板に書き込まれていた。

投稿主の兄はバツイチ。離婚後、1歳になる子どもの親権は得たものの、精神のバランスを崩して、現在は休職しているそうだ。子育てできる状況になく、半年ほど前から実家の母親や、近所に住む従兄夫婦が面倒を見ていた。従兄夫婦は子どもを望めないため、とてもかわいがっていたという。

そしてつい最近、その従兄夫婦から子どもを養子に迎えたいという申し出があったそうだ。実家では「復職できても一人で育児ができるとは思えない」という賛成意見と、「養子に出したら、(精神状態が)悪化するのでは」という意見が対立し、投稿主を悩ませている。

「育てられない子ども」を養子に出そうとした場合、どのような選択肢があるのだろうか。また、状態が回復したとき、子どもを引き取ることはできるのだろうか。田中真由美弁護士に聞いた。

●実親との関係が続く「普通養子縁組」、消える「特別養子縁組」

「養子縁組と言っても、『普通養子縁組』と『特別養子縁組』の2種類あります。いずれも、養子は、養親の嫡出子の身分を取得します。

決定的に違う点は、実親との親子関係です。普通養子縁組の場合、実親との親子関係が消えることはありません。しかし、特別養子縁組は子と実親との親子関係を消滅させ、養子と実の父母と血族との親族関係は終了します。そして養子と養親との間に法定血族関係が生じ、実の親と同様の関係になるのです。原則として6歳未満の子どもの福祉のために特に必要があるときのみに行われ、要件が厳格です」

戸籍はどうなるのだろうか。

「普通養子の場合は実親の戸籍(A)から養親の戸籍(C)に入籍します。しかし、特別養子の場合には、Aから中間的なBを経てCに入籍します。Cの戸籍を一見しただけでは、養子であることがわからないような配慮がなされるのです」

今回ようなケースでは、どのように対処するべきだろうか。

「精神疾患に罹患した親のもとで養育することは困難ということですね。養育能力を有する養親のもとで生活することが、子どものためになると言える場合もあるでしょう。

ただ、特別養子縁組は、養子と養親との間に実の親子関係と同様の法的関係を生じさせるものです。もし離縁しようとしても、養親による虐待など厳格な要件のもとでしか認められません。実親が育てられるようになった場合に養子関係を解消して、引き取るということを考えるのであれば、普通養子縁組の方がよいでしょうね。

また、親権者は養親のままで、監護者(実際に養育する人)として兄を指定するという方法をとることもできます」

田中弁護士はこのように述べていた。



【取材協力弁護士】
田中 真由美(たなか・まゆみ)弁護士
あおば法律事務所共同代表弁護士。熊本県弁護士会所属。「親しみやすい町医者のような弁護士でありたい」がモットー。熊本県弁護士会子どもの人権委員会、両性の平等に関する委員会所属。得意分野は離婚、家事全般、債務、刑事事件、少年事件。
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-kumamoto.jp/

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:7月12日(火)10時13分

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