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【千葉魂】 監督の喝で気付かされた原点 細谷「気持ちでプレー」

千葉日報オンライン 7月12日(火)12時19分配信

 3打席凡退をして戻ってくると、交代を告げられた。7月5日のライオンズ戦(QVCマリンフィールド)のことだ。選手たちが守備に就くべく散らばった後、閑散としたベンチで細谷圭内野手は指揮官に呼ばれた。伊東勤監督は厳しい表情で交代の理由を伝えた。

 「気だよ!気持ちが入っていない。オマエは相手のピッチャーと闘っていない。自分と闘っている。結果のことばかり、気にして自分の中であれこれ考え過ぎてしまっている。結果的に本来、一番大事な気持ちの部分を忘れてしまっている。なにくそという気持ちが大事なんだよ」

 今シーズン、一番大事にしていたはずのことがいつの間にか、ないがしろになってしまっていた。指揮官の厳しい檄(げき)に、唇をかんだ。自分のことが情けなく感じた。

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 この日の練習前、細谷は小学校を訪問していた。千葉市立幸町第三小学校の生徒たちの前で、夏休み直前のスピーチを行った。その場で、絶対に言いたいと決めていたことがあった。前夜から考え、伝えようと決めていた思いを子供たちに自分の言葉で伝えた。

 「夏休みはどんなことでもいいので、挑戦をしてください。それはなんでもいい。新しいことにチャレンジをしてください。失敗をするかもしれないとか、そういう結果を怖れずに、失敗をしてもいいので挑戦をしてください。失敗は悪いことではない。それを糧に得ることも必ずあります」

 自身の小学校、中学校時代を思い返し、何が必要だったか、大事だったかを考えた。そして、子供たちには失敗を怖れずに挑戦をすることの大事さを説いた。大きな拍手を浴びる中、この日、行われる試合で活躍をすることを約束して、学校を後にした。しかし、その日の試合。細谷は3打席、凡退をして交代を命じられた。その理由はこれまで一番、大事にしていたはずの「気持ち」。いつしか結果を追い求め、失敗を怖れていた姿勢が問われた。子供たちに伝えたかった思い。それを自分自身が実践していなかったことを悔いた。悔しさがふつふつと湧いてきた。その目に指揮官は確かな手応えを感じていた。だから、すぐにチャンスを与えた。翌6日のライオンズ戦。代打で登場をした。空振りをしてもいいので、思いっ切り振っていくと決めていた。だから、1ストライク1ボールの3球目をフルスイングした。空振りに終わった直後、ベンチの指揮官と偶然、目が合った。両手をたたいて、力強くうなずいていた。細谷には「それでいいんだ。その気持ちが大事なんだ!」と言っているように聞こえた。だから、その直後も強気の姿勢で振り抜くことができた。強振した打球は大きな弧を描き、レフトフェンスに直撃した。勝ち越しの適時三塁打。「どうだ!」。ベンチに向って、右手を突きつけ、喜びを表現した。まさに気持ちのこもった一打だった。

 「監督には本当に感謝をしています。大事なことを思い出させてくれた。ボクのスタイルは気持ちでプレーをすること。もう、絶対に忘れません」

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 伊東監督は優しくもあり、時には厳しい指揮官だ。細谷に関しては、特に気持ちの面での指摘が多い。本人は、それを愛情と受け取っている。開幕当初、打撃練習でポンポンとなにげなく打ち返していると、厳しく指摘されたことがあった。「打撃練習の時に調整のように打つな。調整をしたければ、全体練習前に室内練習場で、一人でやれ。この場はもう試合だと思って、真剣に打ち返せ。そうでなければ打撃練習の意味はないぞ」。いつしか練習のための練習になっている自分に気が付かされた。試合前打撃練習という貴重な時間は、本来はそういうものではない。試合に備え、本番モードで気持ちを高めていく場。試合のような気持ちで打つことで、感覚は研ぎ澄まされていく。これまでも何度もその喝で、ハッとさせられてきた。

 「伊東監督を胴上げしたい。これだけ、期待をして起用していただいている。その思いに応えないと男じゃないでしょ!これからも気持ちでプレーをする。失敗を怖れずに、挑戦し続ける。前に進む」

 小学校訪問をした際、学校側から「学校に張りたいので、なにか一筆、書いてください」と頼まれ、大きな画用紙を渡された。そこに細谷は「挑戦。失敗を怖れず、前に進もう」と書いた。それは子供たちへのメッセージであり、自分自身への檄でもあった。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

最終更新:7月12日(火)12時19分

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