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ブロックチェーンが貧困・難民救う! エストニアで始まった「ビットネーション」

日刊工業新聞電子版 7月12日(火)10時37分配信

 仮想通貨「ビットコイン」の基盤技術として知られるブロックチェーン(分散型台帳技術)が注目されている。ブロックチェーンの利点は、決済などの仕組みを低コストで利用できること。用途は想像以上に広く、海外では銀行口座が持てない貧困層や難民向けに金融サービスを提供する動きもある。

 ブロックチェーンは、ピア・ツー・ピア(P2P)と呼ぶ分散ネットワーク環境で、個人同士の直接取引や権利の移行などを安全かつ低コストで可能にする技術。まだ発展途上だが、欧米を中心にさまざまな用途が試されている。

 特に途上国では、生活費の貸し借りなどのマイクロ(少額)ファイナンスが有望視される。日本ではイメージしにくいが、銀行を利用できない環境で生活する人は世界で推計20億人にのぼるという報告もある。こうしたニーズをすくい上げる手段として注目されているわけだ。

■電子居住制度、難民を仮想的に受け入れ
 また欧州連合のバルト三国のひとつ、エストニアでは「ビットネーション」という難民支援策が始まっている。難民の多くは身元の証明ができず、支援を受けるのも簡単ではない。ビットネーションは難民にブロックチェーンを使ったIDを発行し、身元照会に役立てている。また日常生活を支援するデビットカードの発行も検討中だ。

 エストニアは人口134万人の小国で、多くの難民を受け入れる余地がない。一方で同国はIT先進国として知られ、「イー・レジデンシー(電子居住)」制度を世界で初めて導入。居住地に関係なく公的な電子サービスにアクセスできる環境を整えた。これをうまく利用すれば、移民や難民を仮想的に受け入れ、証明書などを交付することも可能になる。

 移民や難民の支援に限らず、ブロックチェーンには多くの可能性があるが、日本ではあまり活用事例がない。わが国も「世界最高水準のIT活用社会の実現」をかけ声で終わらせないために、ブロックチェーンのように各国が興味を示す最先端技術を使った新商品・新サービス開発を急ぐべきではないか。

最終更新:7月12日(火)10時37分

日刊工業新聞電子版