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【コラム】これが生まれたてのKEYTALK! 幻のインディーズ集大成『KTEP COMPLETE』を聴いた

RO69(アールオーロック) 7月12日(火)19時0分配信

新作でないとは言え、これほどファンが待ち焦がれていた作品もないだろう。KEYTALKがインディーズ時代にリリースしてきた4作のEP『KTEP』シリーズを網羅した、『KTEP COMPLETE』の話だ。限定数販売、あるいはフリー配布といった形で流通した作品も含まれる『KTEP』シリーズは、例えば僕はレンタル店で借りて触れたりはしていたけれど、いずれも現在では入手が困難な作品になっていたからだ。

“MABOROSHI SUMMER”や“太陽系リフレイン”といった今日のライブの定番でもあるいくつかの楽曲は、メジャーデビューアルバム『OVERTONE』の初回盤に同梱された『KTEP SP』でも触れることができたが、それでもシリーズ作品の半分にも及ばない。あらゆるレコード作品には廃盤となる可能性がついて回るものだけれど、『KTEP COMPLETE』はアーティストもファンも、レーベルにとっても、Win-Winのリリースとなったはずだ。

しかし、あらためてこれらの音源に触れてみると、様々な発見があって驚かされる。演奏の力強さに関して言えば、さすがに現在の彼らと比較してしまうと線が細く感じられる部分もある(特に序盤4曲、『KTEP』の収録曲)のだが、巧みなソングライティングといい、スリリングな音の交錯といい、今のKEYTALKの基盤にあるものはほぼでき上がっているのだ。首藤義勝(B・Vo)&小野武正(G)の憂いを帯びた共作曲に、寺中友将(G・Vo)の歌詞ががっちり噛み合った“消えていくよ”のチームワークは素晴らしいし、“amy (KTEP ver.)”では義勝の少年性を浮かび上がらせる歌声に胸を掻きむしられる。

KEYTALKの登場は、「ロックの歴史の重さから解き放たれ、ロックバンドを自由に遊ぶ」というスタンスがとても鮮烈で刺激的だった。『KTEP COMPLETE』はそんな4人の音との出会いを思い起こさせる。一方で、ここには彼らを育てメジャーの舞台に送り出したKOGA RECORDSの思いや、当時の音源の数々をプロデュースしてきたTGMXの息づかいといった、パンク/オルタナティブな先逹による手引きの確かさも感じられる。4人の才能は間違いなく、ロックバンドとして世に送り出されていたのだ。

武道館の映像作品でKEYTALKのひとつの到達点を確認し、『HELLO WONDERLAND』、『MATSURI BAYASHI』という現在進行形の連続シングルで4人のクリエイティビティのさらなる爆発を見届けた。『KTEP COMPLETE』は、若かりしKEYTALKの4人の記録というよりも、ロックの歴史に導かれたKEYTALKの道のりを示している。今こそ触れるべき、ドラマティックな作品である。(小池宏和)

RO69(アールオーロック)

最終更新:7月12日(火)19時0分

RO69(アールオーロック)