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イタリア銀行危機 Brexitが引き金に

ZUU online 7月13日(水)7時10分配信

英離脱の火種がイタリアの銀行を直撃。以前から大量の不良債権を抱えていたイタリアの銀行が、深刻な危機にさらされている。

このままイタリアが景気後退に突入すれば、Brexitですでに激震している欧州全体を、さらなる混乱に巻き込む恐れがあり、イタリア政府はモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行への資本注入の承認について、EU当局と交渉中だと報じられている。

離脱、銀行危機、EU加盟国のあちらこちらから聞こえる国民投票を求める声。設立以来最大の転換期がEUにもたらす未来とは、一体どのようなものになるのだろう。

■伊銀行の不良債権総額は、リーマンショック後の米国の10倍

長年にわたる融資基準の緩さに足をすくわれ、銀行融資の約17%が不良債権化しているというイタリア。この数字は、リーマンショック後に米国が抱えた不良債権の10倍に値する。

米ウォール・ストリート・ジャーナル誌の報道によると、不良債権総額は4000億ドル(約40兆3040億円)にものぼり、ムーディーズ、スタンダード&プアーズと並ぶ世界三大信用格付け会社、フィッチ・レーティングスには「ユーロ最弱国」と称されている。

6月23日の英国民投票日以降、世界中の金融機関に試練の時が訪れているが、経済、政治基盤ともに不安定なイタリアの受けた打撃は、予想を上回る致命的なものだった。

Brexit決定直後、イタリアの銀行株の多くは30%を上回る急落を見せ、もともと不安定だった経済基盤を一気に根こそぎ崩壊させた。

米CNBCのデータによると、欧州の主要銀行の一つといわれるウニクレーディト・イタリアーノ銀行株は、今年に入って60%低下。

イングランド銀行(BoE)は今月4日、イタリアの銀行で最大の不良債権を抱えるモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行に、今後3年間で不良債権を469億ユーロ(約5兆2332億円)から30%削減するようにと、書簡で要求している。

■不良債権基金「アトランテ」は焼石に水

今年4月にはイタリアの銀行監督当局と金融機関によって、不良債権の分離を支援する基金「アトランテ」が設立されたが、アナリストからは「40億から60億ユーロ(約4459億1950万円から6688億7925万円)いう規模では焼石に水だ」という意見が聞かれた。

そうした懸念は見事に的中。一時的にはモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ株が9.8%高、ウニクレディト株が2.4%高となるなど、イタリアの銀行に短期間恩恵をもたらしたが、他のEU加盟国(ドイツ2.3%、フランス3.7%)と比較しても桁違いの不良債権を、根本的に解消する決め手には欠けていた。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのシニアリサーチ・マネージャー、ジュリアン・ジャーモズコ氏は、「不良債権を帳簿から抹消するべきだ」と提案。これ以上投資家の不安を掻き立てれば、どんな結果が待ち受けているかは想像するにたやすい。

フィッチのアナリストは、アトランテから援助を得ることは可能だが、WSJに報じられたほどに不良債権額が膨れ上がっているのであれば、「基金の規模を広げる必要がある」と主張。より広範囲な支援を求め、不良債権にあてることができれば、危機を最小限に抑えられる可能性が高まるというわけだ。

現時点で検討されている具体策は政府による資本注入だが、金融機関への公的援助に関するEU規則の適用が免除される必要があり、実施には全加盟国からの支持が求められる。

それとともに今年EUで導入されたベイルイン制度が、イタリアの救済に適用されるか否かという問題も浮上してくる。この制度が適用された場合、劣後債保有者に負担が課されることになる。

火種となった英国でも国債利回りが過去最低を更新、一躍バブルを築き上げた不動産ファンドへの解約停止が相次ぐなど、離脱決定の影響がますます色濃くなり始めた。過去に数々の試練を乗り越えてきたEU。その行く末が、これほどまでに不透明に見えたことはない。(ZUU online 編集部)

最終更新:7月13日(水)7時10分

ZUU online

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