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Google Glassが“バーチャル専門医”に?

EE Times Japan 7月13日(水)10時38分配信

医療分野に“第2の活路”

 「Google Glass」は、“新しいもの好き”な技術者や開発者の間では人気を失ったようだが、一方で救急医療の分野で“第2の活路”を見いだした。

 米国のマサチューセッツ大学メディカルスクール(University of Massachusetts Medical School:UMMS)の教授は、米国のニュース専門チャンネルであるCNBCに対して、「Google Glassは、救急救命室(ER)に“バーチャル専門医を派遣”するための効果的なツールになり得る」と語った。

 救急医療学准教授のPeter R. Chai氏は、CNBCの番組「The Spark」で、「救急科にいる医師がGoogle Glassを装着し、目の前の映像を専門家の元へ送信することで、実際に現場にいない専門医があたかもベッドサイドにいるような形で患者を診察できるようになる」と述べた。

 Chai氏の研究では、ERの医師らがGoogle Glassを装着して患者を治療している間に、Google Glassで撮影した映像を安全な方法で毒物専門医に送信した。University of Massachusetts Memorial Medical Centerの救急医療の研修医らは、Google Glassを用いて、毒物に関連した18症例について専門医からの助言を受けることができた。なお、Chai氏はこの研究に関する論文を共同執筆し、2015年8月に医療雑誌「Journal of Medical Toxicology」で発表した。

 毒物専門医はGoogle Glassに表示されるテキストメッセージを用いて研修医らを指導する。また、基本的に口頭で研修医からの相談を受けるが、薬の瓶や心電図などの静止画像を得ることも可能だ。

 追加で集められたデータによると、Google Glassを使用することで、全体の半数以上の症例で患者ケアの管理を変えることができたという。実証に協力した患者のうち6人は、Google Glassを用いて診断しなければ使わなかったであろう解毒剤を使った治療を受けることができた。さらに、Google Glassを用いて治療を行ったケースのうち89%は、毒物専門医によるアドバイスによって治療に成功したと考えられるという。

 Chai氏は、米国のニュース専門チャンネルであるCNNに対し「われわれ救急医が常に考えているのは、“専門医にいち早く治療してもらうなど、患者のケアをどう充実させるか”という点である」と述べた。

 今回の研究で治療に助言を与えた毒物専門医は、Google Glassを用いて中毒症状を診断することへの自信を深めたという。

「HoloLens」にも期待

 医療分野で活躍を期待されるAR(拡張現実)ヘッドセットは、Google Glassだけではない。Microsoftは、米国オハイオ州の私立大学であるケース・ウエスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)と共同で、MicrosoftのARヘッドセット「HoloLens」が医学教育にどのように役立つかを検証した。解剖の実習で献体の代わりにHoloLensを用いることで、学生は解剖模型の周囲を“仮想的に歩き回って”骨や筋肉、臓器が状況に応じてどのように機能するのかを学んだり、(手術などの)シミュレーションを行ったりできるなど、従来の医学教育が一変する可能性がある。

最終更新:7月13日(水)10時38分

EE Times Japan