ここから本文です

『ひとりぼっち惑星』の大ヒットにみる昨今のヒットアプリの法則とは?

オリコン 7月14日(木)8時40分配信

 空虚で寂しい空が広がるどこかの星、そこに浮かびあがる電子文字…スマートフォン(iPhone/Andoroid)向けに提供されているアプリ『ひとりぼっち惑星』が人気を集めている。誰もいなくなった惑星から宇宙にいるどこかの誰かに向けてメッセージを発信したり、逆に名前も顔も知らない誰かからのメッセージを受け取ったり…という、アプリ版の“ボトルメール”のようなゲームアプリだが、受信されるメッセージが考えさせられるものだったり、そんなに触らなくても遊べる、いわゆる“放置ゲー”ということもあって、Twitterを通して6月下旬頃より急速に人気を拡大し、サーバーがダウンする事態にまでなっている。

【写真】“泣ける”と話題 実際に受信した“こえ”の画面

■個人で開発・運営 大量アクセスによりサーバダウンする事態に

 『ひとりぼっち惑星』は、人が誰もいなくなった惑星が舞台。ジンコウチノウたちが戦争をし、お互いを壊し合っている世界で、“ひとりぼっちのいきもの”(ユーザー)がジンコウチノウの部品を拾って、アンテナを少しずつ拡張しながら宇宙からの“こえ”を探す――という内容で、部品を集めてアンテナを拡張し、“じゅしん”ゲージを最大にすると、他ユーザーからの“こえ”を受信。また、“そうしん”ゲージを最大にすると、宇宙(他のユーザー)に“こえ”を送れるようになっている。ちなみに、“こえ”を送ったり、受信したりする相手を選ぶことはできず、ランダム。言ってみれば、アプリを使った“ボトルメール”のやり取りに近いかもしれない。

 アプリは6月17日よりOS/Android向けに配信を開始。それからわずか1週間ほどで瞬く間に広がり、27日にはApp Storeの無料ゲームランキングで総合1位を獲得。実は開発者の「ところにょり」氏は“ひとりぼっち”でアプリを運営しており、あまりに急速に人気が拡大してしまったため、大量アクセスによりサーバーがダウンする事態にまで陥ってしまった。個人が開発・運営するアプリが、なぜ配信から1週間ほどでそんな爆発的ヒットに? と思う人もいるかもしれない。しかし、今回のヒットの経緯を辿っていくと、実は『ねこあつめ』など昨今のヒットアプリの流れを踏襲していることがわかる。

■『ねこあつめ』とも共通点 昨今のアプリのヒットパターン

 まずひとつめは、“ゲーム”としての要素はほとんどなく、放置していても楽しめるということ。えさを置いて集まってくる猫を眺めて楽しむヒットアプリ『ねこあつめ』では開発に携わったヒットポイントの担当者が「ゲームと呼べるようなゲーム要素はほとんどなく、ゴハンを補充しなくてもゲームオーバーになることはありません」と話していたが、『ひとりぼっち惑星』も基本的に放置していてもゲームオーバーになることはなく、好きな時間にアプリを立ち上げ、壊れたジンコウチノウの部品を集め、“こえ”を送信したり、受信したりすることが可能。通勤・通学、家事の合間など、ちょっとした隙間時間にプレイすることが可能だ。

 『ひとりぼっち惑星』が瞬間的に広がった一番の要因は“Twitter”であり、これも『ねこあつめ』といった昨今のヒットアプリのパターンと似ている部分。アプリ内に画面をスクリーンショットできるボタンを配置しているが、ユーザーが受信した感動するこえや、ユニークなこえを面白がってどんどんTwitterに投稿したことで、急速に拡散された。日常の些細な悩みからストーリー仕立てのもの、はたまた若者を諭すようなものまで、内容は様々。時にはガッカリ……という“こえ”もあるが、何が届くかわからないというドキドキ感と、受信したこえが「泣ける」「笑える」「感動する」など意外と創りこまれたものが多いことに加えて、“ひとりぼっち”の自分に届くことから、「誰かに共有したい」という想いが増幅するようだ。

 そしてこの「共有したい」という想いを掻き立てるのは、アプリのつくりこまれた世界観があってこそだろう。薄暗い空、シルエットで闘いを繰り広げるジンコウチノウ。送受信する“こえ”から説明文まで、全て文字は「ひらがな」で表示されており、どこか物悲しい音楽も相まって、想像力に訴えかけ、世界観にのめりこんでしまう。くだらないメッセージであっても、この世界観があれば、その言葉にどこか深みを感じてしまうのが不思議なところだ。こうして見ると、昨今の“ダークホース”的なアプリは、放置しながらでも楽しめて、他のユーザーと世界観を“共有”することで楽しさが増幅できる、というのがヒットパターンといえそうだ。『ねこあつめ』はグッズ展開や阪神タイガースとのコラボなど、様々な分野へと波及しているが、『ひとりぼっち惑星』も幅広い分野に広がるヒットコンテンツとなるか、注目したい。

最終更新:7月14日(木)8時40分

オリコン

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。