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「カラ売り屋」は第2の東芝問題を防ぐ資本市場の救世主?【米グラウカス日本進出】

投信1 7月13日(水)12時15分配信

小説の世界が現実に

2007年に出版された経済小説「カラ売り屋」(黒木亮著、講談社)では、不正会計を行った企業の「売り」のレポートを発行したカラ売り屋と、その企業との攻防戦が詳細に描かれています。まさに、その小説の世界が、今月から日本市場でも現実化しようとしています。

2016年7月8日付け日本経済新聞は、企業の不正を見極め、企業の本質的な価値に比べて株価が割高な銘柄を“空売り”することで利益を追求する米国籍の投資ファンド、グラウカス・リサーチ・グループが7月から日本株投資を開始すると報じています。

同社は、すでに数か月前から有価証券報告書などの公開情報を徹底的に調べあげ、数銘柄の空売り対象を選別したとのことです。

なぜ、注目のニュースなのか

空売りとは、一言で表すと値下がりで利益を得る取引です(売りはショート、買いはロングと言います)。具体的には、証券会社から株を借りて売却し、その株が値下がりした時点で買い戻すことで利益を得ることになります。

こうした投資手法自体は、ヘッジファンドだけではなく、個人投資家も日常的に行っている投資手法ですので特段の話題性はありません。また、実体に比べて高すぎる銘柄に対して証券会社が「売り」推奨のレポートを発行することも一般的です。

では、なぜ今回、この同社の日本進出がニュースになるのでしょうか。理由は3つあると思います。

第1は、単に株価指標などを見て割高株を空売りするのではなく、企業の不正会計やコーポレートガバナンスの不備に着目して空売りを行うというアクティビスト(物言う投資家)的な投資スタイルであることです。

第2は、空売りを行った銘柄に関する調査レポートを公開する(世に問う)というのも異例で、注目されます。

第3は、現物株を購入(ロング)し、その値上り益を狙うアクティビストファンドは、日本市場ではサードポイントなどが既に有名ですが、同社のように売り(ショート)から入るアクティビストファンドが、これまで日本市場ではほとんど見られなかったことも注目される一因です。

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最終更新:9月13日(火)17時30分

投信1