ここから本文です

非常時でも「停電しないまち」を実現

ニュースソクラ 7/13(水) 12:00配信

日本初、マイクログリッドで再生可能エネルギーを地産地消

 災害などで万一、系統電力が断たれても自前の発電設備でまち中の電力の供給を可能にする――。

 そんな非常時でも「停電しないまち」が、宮城県東松島市に実現した。太陽光発電設備や大型蓄電池と、災害公営住宅、病院などを自営線で結びマイクログリッドを構築。需要と供給をコントロールしながらタウン内に電力を供給する、日本初の取り組みだ。東日本大震災で被災した教訓から、系統電力に頼らなくても電力の供給を可能にするまちづくり目指した。

 宮城県東松島市で日本初のマイクログリッドにより電力を供給する電力マネジメントシステムが稼働を始めた。同市と積水ハウスが進めてきた「東松島市スマート防災エコタウン」プロジェクトの核となる取り組みだ。

 マイクログリッドとは太陽光発電などの再生可能エネルギーを含む発電・蓄電設備をネットワーク化し、電力需要に合わせて最適に制御することで、系統電力から独立した電力供給を可能にするシステム。自立分散型エネルギーシステムとも呼ばれる。送電によるロスが減らせ、再生可能エネルギーも導入しやすいため、省エネルギー化や地球温暖化防止に貢献するシステムとして注目されている。

 今回、稼働を始めた電力マネジメントシステムは、同タウン内の太陽光発電設備(400kW)や大型蓄電池(480kWh)と、災害公営住宅や周辺の病院、公共施設を自営線で結び、マイクログリッドを構築した。電力の需要と供給を統合的に管理するCEMS(Community Energy Management System)によって、最適制御しながら電力を供給するしくみだ。再生可能エネルギーによる地産地消を実現した。自営線によるマイクログリッドの構築は全国でも初めてだ。

 マイクログリッドは系統電力ともつながっているので、電力が不足したら系統電力から供給を受けることができる。

 一方、災害などで系統電力が遮断した場合は、やはり同タウン内にある非常用の大型バイオディーゼル発電機と組み合わせることで、3日間は通常の電力供給が可能だ。

 東日本大震災で被災した東松島市では、震災によって電力が断たれたことから、人工透析が必要な患者のいる病院から阿部秀保市長のもとに「このままでは患者の命が危ない」という切羽詰った声が寄せられたという。

 「人命に関わるところは、行政が自らやらないといけない。自立分散型エネルギーの必要性を痛感した」(阿部市長)という。

 そんな阿部市長の強い思いが原動力となって、日本初のマイクログリッドによる自立分散型エネルギーシステムの稼働を見た。

 「今日からここは災害時にも停電しないまちになった」と阿部市長は言う。震災の被災地からマイクログリッドが環境面だけでなく、災害対策としても有効なことを全国に発信していく。

 今後はこの電力マネジメントシステムをいかに運営していくかが課題だ。「東松島市スマート防災エコタウン」では、自営線や発電設備などは東松島市が所有し、産官学による地域新電力事業者(一社)東松島みらいとし機構(HOPE)にシステムの運営を委託した。

 HOPEは住人などに売電して得た利益を設備投資の回収や保守費用などにあて、市内に循環させるビジネスモデルを描いている。ビジネスとして成立しなければ、マイクログリッドの継続的な運営も難しくなるだけに、HOPEの経営手腕が試される。「東松島市スマート防災エコタウン」の挑戦は今後も続きそうだ。

ハウジング・トリビューン編集部

最終更新:7/13(水) 12:00

ニュースソクラ