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《白球の詩》仲間の言葉胸に全力 嬬恋・関翔太一塁手

上毛新聞 7月13日(水)6時0分配信

◎度重なるけが克服

 故障に苦しんだ高校生活だった。3年間のうち、2年間は満足に野球ができなかった。

 初めて万全の状態で臨めた12日の公式戦で、四番を任された。この一戦に懸ける思いは強かった。痛めた肘や膝をほとんど気にすることなくプレーに集中でき、2安打を記録した。

 「故障がちの自分を待ち続けてくれたチームの仲間たちのためにも、自分自身のためにも全力を尽くせた」。接戦に敗れた悔しさとともに、すべてを出し切った充足感も味わうことができた。

 2年生ながら先発出場を期待され、胸を膨らませて臨んだ昨シーズン。3月の西毛リーグの守備中に、走者と接触して左肘を骨折し、約2カ月間、ボールに触れなかった。なんとか間に合った昨夏の群馬大会は代打として打席に立ったが、結果を残せなかった。

 リベンジを期して練習に励んでいた7月末、さらなる衝撃に見舞われた。

 バットを振ったとき右膝に違和感を覚え、医師から「半月板損傷で手術が必要」と告げられた。目の前が真っ暗になった。昨秋の県大会は入院中に終わった。

 退院後もリハビリで日々が過ぎ、焦りも生じた。「ボールを追う仲間たちの姿を見ると、自分もプレーしたくなるのが苦しくて練習場に足を運べなかった」。ただマネジャーが書いた記録を読んで、常にチームの状況は把握していた。チームに戻れた12月は、グラウンドが真っ白な雪に覆われていた。

 ようやく本格的な練習を始めた3月に、右膝に痛みを感じて再手術することになった。復帰できたのは春季県大会の1日前。出場はしたが無安打だった。

 「なぜ自分ばかり、こんなことが続くのか」。折れそうな心を支えたのは、チームの仲間たちの「早く戻ってこいよ」の言葉だった。「もう一度、野球がやりたい」

 剣持佑都主将は「あいつが来れば、必ず打ってくれると思っていた」と振り返る。

 「このままでは終われない。今年の夏は結果を残さなくては」。仲間たちの期待を感じながら、時間を惜しんでバットを振り、イメージトレーニングも意識して取り組んだ。接触プレーを恐れないよう、守備練習も十分積んだ。

 金井昭洋監督は「つらい思いをした関が成長して戻ってきてくれた。迷いなく4番を任せようと決めた」と明かす。

 待っていてくれた球場はこれまで以上に広く感じ、全力でスイングし、全力で走った。うれしかった。

 「硬式球でプレーするのは、この試合が最後だと思う。フル出場できて悔いはない」。泥だらけのユニホームが輝いて見えた。(渡辺龍介)

最終更新:7月13日(水)6時0分

上毛新聞

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