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参院選受け、改憲論議が本格化

ニュースソクラ 7月13日(水)16時0分配信

何をどこまで変えるのか、駆け引きのなか政界再編も

 10日の参院選では自民党、公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党のいわゆる改憲4党が勢力を伸ばした。憲法改正を発議するための参院での3分の2の確保には改選121議席のうち78議席を確保する必要がある。4党では77議席と一歩届かなかったが、非改選の無所属議員に改憲賛成派が4人ほどいるので改憲発議可能となった。

 すでに衆議院は自民、公明で3分の2を確保している。ただ、世論はまだ改憲に慎重だ。参院選前の世論調査では安倍政権への支持率は極めて高く、自公の与党体制の存続を支持する比率は高かった。だが、NHKの今回の参院選での出口調査でも、憲法改正への賛否は必要33%、不必要32%と拮抗。前回の参院選よりも不必要の比率が増えた。強引に憲法改正に進めば、内閣支持率に響き、党内の反安倍の動きが蠢動し始めることになる。

 自民党執行部もそれはよくわかっているようで、安倍首相も「憲法問題が参院選で認められたわけではない」と慎重に進む考えを示した。

 しかし、参院選の結果を受けて、安倍晋三首相が悲願である憲法改正に乗り出すのは確実だ。自民党内の首相に近いひとの声を聞いても、安倍首相が本当にしたいのはアベノミクスという経済政策でも、少子化や女性対策でもなく、憲法改正だという。発議ができる数が確保できたとなれば、首相が改正へほとんどの政治的なエネルギーを注ぎ込んでくるだろう。

 改憲となれば、昨年の安保法制の際のような国会前を群衆が埋め尽くすような大衆的な動きも予想される。昨年と同様に最後は数で押し切るのだろうが、論議を尽くしたという形づくりを目指すのは間違いない。

 改選議席を減らしたとはいえ、依然として野党では最大の議席を持つ民進党を国会内でどうテーブルにつけるかが、政治的には大きなポイントになる。岡田代表は党内の改憲慎重派の立場をとっていたが、9月の代表選で改憲派が代表となれば、改憲論議の帰趨は変わる。民進党代表選の行方は大きいだろう。
 
 安倍首相が改憲に進めば、付き合わないわけにはいかない公明党がどこまで歯止め役になるか。その影響も大きい。山口代表は「憲法に関する意見は(自民党とは)違う」としながら、党としての立場、加憲論を持ち出して議論には加わる考えを示した。

 発議できることが確実になり、改憲が党是の自民党総裁として安倍首相は、次の衆院選までに改憲への道筋をつけようとするだろう。秋からの臨時国会での議論は始まる。改憲の国民投票が2年以内に実施されるのは確実だ。

 憲法の何をどう変えるのか。今後の日本の政治が改憲を軸に進むのは間違いない。一気に9条改正まで進むのか、緊急事態条項など飲みやすい形で進めるのか。自民内には改憲に慎重な人がいる一方、民進党内には改憲派もいる。改憲論議が進む中で、与野党の駆け引きが活発になるとともに、政界再編の火種がくすぶり続けることになるだろう。

■土屋直也(つちや・なおや) ニュースソクラ編集長
日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設

最終更新:7月13日(水)16時0分

ニュースソクラ

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