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猛暑はまだまだ 冷茶 人気“沸騰” 水出しでうま味、機能性も

日本農業新聞 7月13日(水)12時31分配信

 猛暑を逆手に取り、「水出し冷茶」で消費拡大につなげようという動きが茶業界や産地で広がっている。熱湯ではなく冷水で茶を入れると、体の免疫力を高める機能性成分「エピガロカテキン」の含有率が高くなることに加え、ワインボトルのようなおしゃれ容器の登場が、人気を後押ししている。車内で冷茶を無料で提供するタクシーも走る。今夏は冷茶が“熱く”なりそうだ。

・茶こし付きボトル登場 リーフ需要に産地注目

 これまでも夏に冷茶は飲まれていたが、新たなリーフ茶の消費拡大策として、静岡県や日本茶業中央会などでつくる全国お茶まつり実行委員会が昨年、「水出し緑茶元年」を宣言、今年は2年目に当たる。

 冷茶ブームの追い風となっているのが機能性だ。農研機構・果樹茶業研究部門の物部真奈美研究員によると、水で茶を入れると機能性成分が高まるだけでなく、苦味や渋味のもととなるカフェインやガレート型カテキンが抑えられ、うま味成分のテアニンが抽出されてまろやかな味になるという。

 「冷茶をおしゃれに飲みたい」という若い女性のハートを射止める容器も登場した。2013年に、ワインボトルのようなおしゃれな「フィルターインボトル」を発売したのは耐熱ガラスメーカーのハリオ(東京都中央区)。ボトル上部に茶こしが付いているため、茶葉をそのまま入れて水を注ぎ、冷蔵庫で冷やせば気軽に冷茶が楽しめる。750ミリリットル用で2160円と、数百円で買える一般的なボトルと比べて割高だが、当初から「生産が追い付かない」ほどの人気になった。その後も「2、3割増と、右肩上がりで売り上げは伸びている」(同社広報担当)という。

 これに産地や茶業界が飛び付いた。

 鹿児島県のJAあおぞらは今年から、このボトルと茶葉とのセット販売を始めた。茶は品種別に複数取りそろえ、味の違いを楽しめるように工夫した。JAは「お茶だけ売ろうとしても厳しい時代。おしゃれなボトルと組み合わせることで、あまりお茶を飲まない層にも普及したい」と力を入れる。

 佐賀県嬉野市の中島美香園は店頭にボトルをずらりと並べ、冷茶を提案する。蒸し製の玉緑茶に加え、緑色が鮮やかになるよう抹茶を加えた冷茶専用商品も開発した。中島陽一郎代表は「ボトルがあるとリーフ茶も売りやすくなる。若い女性がプレゼントに買っていくことも多い」と話す。

 愛知県の西尾茶協同組合も、水で抹茶を入れた「冷抹茶」を27日から東京都庁でPRする。日本茶インストラクター協会は、今年から茶の味を競う品評会に「水出し茶部門」を新設した。

 冷茶需要が高まっていることを受けて、日本茶業中央会の柳澤興一郎専務は「冷茶の人気をきっかけに、緑茶ファンが増えたらうれしい」と期待を込める。

車内の一服・・・ 快適に

 車内で冷たいお茶が飲める「おもてなしタクシー」も登場した。8月4日までの期間限定で、3台を運行する。

 暑い夏の移動時間を快適に過ごしてもらおうと日本交通(東京都千代田区)とサントリー食品インターナショナルが連携。車夫の格好をした運転手が番傘を持って客を出迎え、車内では冷茶を無料で提供する。風鈴やのれん、うちわ、スリッパで涼しさを演出する。運行エリアは東京都の23区と武蔵野市、三鷹市。日本交通の川鍋一朗会長は「日本のおもてなしを体験してほしい」と話す。(近藤真規)

日本農業新聞

最終更新:7月13日(水)12時31分

日本農業新聞