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<高校野球>同じ日、同じ病院で産声の二人 グラウンドでまた「再会」 /千葉

千葉日報オンライン 7/13(水) 12:34配信

 絶対に負けない。でも、頑張れ!頂点を目指す球児の熱戦が始まった「第98回全国高校野球選手権千葉大会」2日目の12日、かつてのチームメートが、今度は対戦相手としてグラウンドで相まみえた。今春まで連合チームを組んでいた市原八幡高3年の座主恭佑君(17)と、鶴舞桜が丘高3年の津根宏行君(17)。17年前、同じ日に、同じ病院で産声を上げるという奇縁に結ばれた2人はチームの勝利を願いつつ、ゲームセットの瞬間まで互いにエールを送り続けた。

 「君が津根君?」

 昨秋、両校野球部が行った合同練習。座主君が津根君の元に駆け寄り尋ねた。

 「そうだよ」

 この日、それ以上言葉を交わすことはなかった2人。だが、帰宅後に津根君が母親のトモ子さん(48)に伝えると驚きの事実が。

 「同じ日に、同じ病院で産まれたと教えられた」(津根君)

 病室も同じで、3歳ごろまではよく一緒に遊んでいたが、別々の小学校に入学してからは交流が減った。座主君も当時の記憶はなかったが、母親から津根君の名前を聞かされており「もしかして」と思い声を掛けたという。思いも寄らぬ最初の「再会」だった。

 その後、部員数が足りず満足に試合もできない状況だった両校野球部は、他2校を加えた連合チームを結成。2人は毎週末の練習で顔を合わせるように。バッティングのアドバイスをし合うなどして、まるで幼いころのように、すぐに打ち解けた。「津根は明るくて、チームのムードメーカー。実は幼なじみという親近感もあった」(座主君)

 だが今年4月、春の大会を戦ったのを最後に連合チームは解散。夏はともに単独で出場できるようにと固い約束を交わした。それぞれ部員集めに奔走した結果、両校そろっての単独出場が実現した。鶴舞桜が丘は実に8年ぶりの単独出場だった。

 “高校野球の神様”は、努力に応えるように最高の舞台を用意した。両校が初戦の対戦相手となったのだ。「(知ったときは)まさかと思いました。でも、負けられない-とも。それから練習にも気合が入った」(津根君)

 迎えた決戦の場は両校の地元・市原市のゼットエーボールパーク。第1試合。グラウンドでの2度目の「再会」。互いの懸命なプレーが原動力となり、一回、津根君がランニング本塁打で会場を沸かせると、直後の二回、座主君も負けじとランニング本塁打。「津根が打ったときは『やられた』と思ったけど、自分も頑張らなきゃと思い切り振った」(座主君)

 試合は11対1で市原八幡のコールド勝利。一方的な結果も、両校のアルプスには健闘をたたえる大声援が響いた。スタンドには「息子を誇りに思う。座主君も本当に頑張った」と涙を拭うトモ子さんの姿もあった。

 試合後、鶴舞桜が丘の選手たちの元へ駆け寄った座主君。かつてのチームメートたちに「お疲れ。ありがとう」と声を掛けた後、目を赤くした津根君の右手をがっちり握った。

 「次も、必ず勝てよ。俺たちの分まで」

 盟友のエールを胸に刻んで誓う。

 「任せろ。絶対勝つよ」

最終更新:7/13(水) 14:09

千葉日報オンライン