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平行線たどる出光興産の“お家騒動”、公取委審査後の議論が焦点に

日刊工業新聞電子版 7月13日(水)15時0分配信

問題は何のか?双方の主張まとめてみた

 出光興産と昭和シェル石油の合併への道のりが、一段と険しくなってきた。合併に異を唱える出光の創業家と同社の経営陣が11日に行った会談は、互いの主張を述べ合うだけで議論がかみ合わずじまい。経営側は合併を巡る公正取引委員会の審査を乗り切れば、より踏み込んだ議論ができると期待するが、創業家側の態度は硬く、予断を許さない状況だ。
(編集委員・宇田川智大)

 11日の会談で出光の月岡隆社長らは、9月に英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルグループから議決権比率33.3%の昭和シェル株を取得し、2017年4月の合併を目指すスケジュールを変更する考えがないことを伝えた。対する創業家の出光昭介名誉会長らは、あくまでも「白紙撤回を求める」考えを示した。

 出光の関大輔副社長は、公取委による審査を通って「(合併後の)具体的な絵姿を示せば、出光家の不安を払拭できる」とする。公取委の審査中は当事者である2社の関係者同士も接触を制限され、相手が大株主の創業家であっても、明かせる情報は限られる。審査を無事に通って昭和シェル株を取得し、合併協議が本格化すれば、議論の環境が整って創業家側の理解も得られるとの期待感がある。

 ところが創業家側は昭和シェルを傘下に置くだけでも影響が出ると反対している。株式取得に株主総会の決議は必要ないものの、創業家代理人の浜田卓二郎弁護士は「できるだけ速やかに手放してほしい」との意向を示している。今後、出光が昭和シェル株を手放さないことを理由に、創業家側が一方的に協議を打ち切れば、合併は暗礁に乗り上げる。経営側はこうした事態も想定し、決着を急ぐ必要に迫られそうだ。

■「反対ありき」の議決権乱用
 ただ創業家の反対表明を巡っては、出光の経営に対する影響力の低下を防ぐ狙いだとの見方がある。昭介氏には出光会長だった00年代に、同社の経営難を受けて持ち上がった株式上場計画に反対したものの、当時の社長らに押し切られた経験がある。経営の重要な意思決定に関与できる議決権比率3分の1強の維持は「譲れない線なのだろう」(業界関係者)との指摘だ。

 浜田弁護士はこのような見方を否定するものの、会社側が11日の会談で展開した主張を覆すほどの明確な反対理由は、今のところ見当たらない。この状況だと「反対ありき」の姿勢と見なされ、議決権の乱用を疑われる可能性もある。

最終更新:7月13日(水)15時0分

日刊工業新聞電子版