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欧州から初受注もライバルに差をつけられたMRJ。巻き返しは可能か

ニュースイッチ 7月13日(水)10時3分配信

森本社長「17年パリショーで実機展示できる」

 【英ファンボロー=戸村智幸】三菱航空機(愛知県豊山町)が航空機市場の本場欧州での国産小型ジェット旅客機「MRJ」の初受注を、スウェーデンの航空機リース会社から獲得した。欧州市場開拓が前進した上に、リース会社からの2件目の受注という意義も大きい。

 ただし、ブラジルのエンブラエルが2018年に量産初号機を引き渡すライバル新型機「E2」の受注実績で先行。航空宇宙産業展「ファンボロー国際航空ショー」に実機を出展し、アピール度でMRJは差をつけられた格好だ。今後の巻き返しが課題となる。

 三菱航空機は航空機リース会社、ロックトンとMRJ20機(10機はオプション)を受注し、20年に納入を始めることで基本合意した。ロックトンのニクラス・ルンド社長は「MRJはゲームチェンジャーだ」と高く評価した。

 座席数100席ほどのリージョナルジェット(RJ)では、エンブラエルとカナダのボンバルディアが2強。407機の受注実績があったMRJだが、新規参入に保守的な欧州では受注できていなかった。三菱航空機の森本浩通社長は「RJ発祥の地の欧州に参入したかった」と喜ぶ。

 2月の米エアロリースからの20機(10機はオプション)に続くリース会社からの受注基本合意で、MRJはリース会社に認められつつあることを示した。RJの4割がリース会社の資産とされ、航空機業界で存在感を放つ。三菱航空機はリース市場が今後も広がると見て、営業を強化していた。

 リース会社への納入は、リース先の航空会社に三菱航空機が整備拠点を置くため、サービス網を充実させやすい利点もある。今回の基本合意は欧州、リース業界と両面でMRJをアピールする機会になった。森本社長は「航空会社、リースともに欧州で引き合いが来ている」と手応えを感じている。

<エンブラエルの壁は高い>

 ただ、RJ市場で主導権を握るとみられるエンブラエルのE2の存在は気になるところ。受注数は640機でMRJの407機を上回る。すでに5月に初飛行し、今回出展した機種「E190―E2」を18年、残り2機種を19、20年に納入する計画だ。

 E190―E2の座席数は97―106で、88座席のMRJとは異なるが、一定の競合関係にはあるとみられる。三菱航空機は(08年の開発)当初、MRJ量産初号機を13年に納入し、E2の登場前に市場シェアを奪う戦略だった。だが度重なる延期で納入時期は18年半ばになり、先行性は薄れた。

 座席数80―88の競合機種「E175―E2」の納入は20年で、MRJが先とはいえ、差は2年ほど。森本社長は「納入時期の優位性がたいぶ短くなった。これ以上遅れないようにしなければ」と危機感を示す。

<来年のパリショーで実機展示へ>

 三菱航空機は今回、従来通り客室の実物大模型(モックアップ)展示にとどまり、実機展示でエンブラエルE2に先行された。森本社長は「実機を飛ばすのが一番のアピール。17年のパリ国際航空ショーでは展示できるだろう」と見通す。E2の実績を着々と築くエンブラエルに対し、三菱航空機は巻き返しが求められる。

《解説》
 ファンボローやパリの航空ショーはそれまで温めていた受注を発表する晴れの舞台。MRJには嬉しい欧州第一号顧客の誕生となった。ただ、今回は実機展示でMRJに先行したエンブラエル「E2」の方が現地では話題で、現時点でイスラエルとインドネシアの航空会社から計20機の受注(基本合意を含む)を発表している。

 また中国COMACのARJ21というリージョナル機は中国・香港のリース会社から60機の受注を得た。こうした中ではMRJの受注も「ワンノブゼム」。もちろん喜ばしいことではあるが、ライバルも受注を積み重ねている。

最終更新:7月13日(水)10時3分

ニュースイッチ

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