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[インタビュー]政府はVW不正で車両交換命令を下すべき

ハンギョレ新聞 7月13日(水)18時40分配信

「ディーゼルゲート」共同訴訟率いるハ・ジョンソン弁護士

「国内消費者も米国同様に詐欺の被害者」
「捏造認めないフォルクスワーゲンに交換命令出さねば」

 「100年に一度あるかどうかの稀有な詐欺事件だ」

 国内で「ディーゼルゲート」共同訴訟を率いる法務法人「パルン」のハ・ジョンソン弁護士(61)は12日、ハンギョレとのインタビューでフォルクスワーゲンの排出ガス不正操作事件をこう定義した。ハ氏は「韓国の被害者も、米国のように大気環境保全法が定めた排出ガスの許可基準を故意に違反した不法車両を購入した詐欺被害者であるため、同一の賠償を受ける理由が十分にある」と話す。ハ氏はアウディ、フォルクスワーゲンの所有者4500人余りを代理してフォルクスワーゲングループの経営陣を詐欺の疑いで告訴し、不当利得返還請求訴訟を起こしている。

 米国でこの事件が明るみになり、すでに10カ月が過ぎたが、国内での法的責任問題はまだ進行中だ。問題の車両は米国で47万台、韓国では12万5千台が売れた。表向きは検察や環境部など政府当局が全方位で圧迫しているように見えるが、フォルクスワーゲンは法的責任問題では一歩も譲らない姿勢だ。特に、排気ガス低減装置のソフトウェアの操作を意味する「任意設定」は、法的に米国だけで問題になり韓国では違反にならないというのが同社の主張だ。逆に環境部の行政処分に対して法的対応をとる方針まで示している。

 米国では素直に責任を認め、18兆ウォン(約1兆6300億円)規模の賠償案を示した同社が、韓国では全く異なる態度を示す背景はなんなのか。ハ氏は「米国で訴訟を進めれば途方もない打撃を受けかねないため、事前に合意案を出した」と指摘した。米国の消費者集団訴訟は1人が勝訴すれば、判決の効力が同じ立場の被害者に集団で適用される。米裁判所はまた、実際の被害額の数倍に及ぶ懲罰的損害賠償の判決を下すこともある。しかし、国内では証券分野にだけ集団訴訟が認められ、消費者の被害の立証責任も大きい。ハ氏は「国内の法律環境は企業に有利で、消費者に大変不利な構造になっている。私たちも懲罰的賠償制と消費者集団訴訟制を導入し、不法行為をした企業が消費者被害救済に積極的になるようにしなければならない」と話した。

 韓国の弁護士であると同時に米国の弁護士でもあるハ氏は、1986年から10年間、現代(ヒョンデ)自動車法務室長として活動した製造物責任法(PL)の専門家でもある。誰よりも自動車メーカーの特性を熟知する法律専門家なので、今回の訴訟依頼を快く受け入れたという。しかし、フォルクスワーゲンは手ごわい相手だった。ハ氏は「米国でああいった姿勢を示したのだから、韓国でも最小限の誠意は見せるべきだが、頑なに押し切ろうとする感じだ」と話した。

 フォルクスワーゲンは今回の事態で、国内市場で大きな打撃を受けた。今年上半期の販売量は、昨年上半期より33%急減。同社をさらに当惑させているのは、米国と韓国での差別問題に飛び火する点だ。一部では、同社が韓国だけでなくヨーロッパでも賠償する意向がないとしたことにより、韓国だけを差別しているわけではないと見る向きもある。だがハ氏の考えは違う。「フォルクスワーゲンの持ち株の20%はニーダーザクセン州政府が握っており、州政府が理事会のメンバーでもある。問題の車両はヨーロッパで850万台も売れた。ヨーロッパで米国のやり方で賠償したら、フォルクスワーゲンは会社を閉めなくてはならなくなる。ドイツも自国産業保護論が強い国だ。しかし、韓国は欧州連合(EU)加盟国じゃない」

 問題は同社が任意設定を認めないため、賠償どころかリコールも遅れている点にある。現実的な代案はないのだろうか。ハ弁護士は「環境部が車両の交換命令を下せばいい。大気環境保全法にそうした命令を下す十分な根拠と名分がある。米国も連邦環境庁とカリフォルニア州環境庁官僚たちが積極的にバイバック(払い戻し)を要求した」と指摘した。政府にリコールよりも強力な制裁の車両交換命令を下せる根拠があるため、問題の車両を新車へ交換したり、払い戻しができるということだ。

 これまで検察が明らかにした不法事例は、排出ガス不正操作以外にも、騒音、燃費、排出ガス試験成績書の偽・変造など様々だ。ディーゼル車以外にも、ガソリン車や環境認証を受けていないユーロ6車両も摘発された。ディーゼルゲートの終着点はどこにあるのか。ハ氏は「韓国の検察は他の国の検察が手もつけられないすごいことをしたと思っている。しかし排出ガス基準を10倍も超えた多くの車両が、まだ汚染物質を吐き出しながら走り回っている。まだ先は遠い」と語った。

ホン・デソン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:7月13日(水)18時40分

ハンギョレ新聞